沖縄地方は11月11日(火)から各地で雨が降り続きました。今回の台風26号の影響や線状降水帯発生予測について振り返っていきたいと思います。


2025年11月14日(金)vol.103

 11月6日(木)午前3時にマリアナ諸島で台風26号が発生しました。台風は発達しながらフィリピンの東から南シナ海へ向かい、その後は台湾の南海上から先島諸島付近に進み、11月13日(木)午前9時に与那国島の北の海上で温帯低気圧に変わりました。
 11月11日(火)午前8時頃、沖縄県石垣市大浜(おおはま)付近で突風が発生し、その後の気象台の現地調査によりますと、突風の種類は竜巻と推定されました。また、同日の午前11時頃、宮古島市伊良部字長浜(いらぶあざながはま)では突風が発生しましたが、こちらは竜巻の特定には至りませんでした。

公園の駐車場に倒れたガジュマル。突風の影響とみられる=11月12日午後、宮古島市伊良部長浜・平成の森公園

 11月13日(木)午後3時20分に沖縄気象台から“沖縄本島地方では、13日(木)夜遅くから14日(金)の未明にかけて、線状降水帯が発生して大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性がある”と気象情報が発表されました。つまり、線状降水帯発生の予測情報です。
 台風から変わった低気圧は前線に取り込まれるようにして、帯状の雨雲は13日(木)から14日(金)にかけて沖縄本島地方を通過しました。
恐怖を感じる雨
 実際は沖縄本島地方には線状降水帯の発生はなかったものの、11月11日(火)午前0時からの降り始めから14日(金)午後1時時までの降水量(アメダスによる速報値)は、久米島町謝名堂で416.5ミリなどとなっています。
 13日(木)の夜は、那覇市内の自宅にいましたが、午後9時頃から2時間程度、窓をたたきつける雨や時々鳴り響く落雷に恐怖を感じるほどでした。 
 沖縄では、昨年11月に北部豪雨があり、台風シーズンを終えた沖縄では異例の大雨への対応が問われましたが、今年も11月に大雨となり、今後は台風シーズン後も油断が出来ないと感じました。
線状降水帯はなぜ発生しなかったのか
 11月13日(木)午後9時の実況天気図では、沖縄地方には台風から変わった低気圧と前線が進み、前線の北側には大陸からの寒気、南側には暖気があって沖縄付近では寒気と暖気がせめぎ合いをしているような状況でした。
寒暖差が顕著になることで、南側の暖気がより際立ったかと思います。

2025年11月13日(木)午後9時の実況天気図※データ、ウェザーマップ

 天気図には沖縄付近には停滞前線が描かれているものの、雨雲の動きとしては全体的には東の方向に進み、寒冷前線に伴う雨雲の動きのようになっていたと考察しています。

2025年11月13日(木)午後9時の雨雲の動き※気象庁HPより抜粋・加工

―線状降水帯の定義―
次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、長さ50~300km程度、幅20~50km程度の線状に伸びる強い降水域
―今回の大雨―
大陸からの寒気の影響で寒暖差が顕著
帯状の雨雲は寒冷前線のような動きに
 また、先週のコラムではこの時期の暑さのぶり返しの“十月夏小(ジュウグヮチナチグヮー)”を紹介しましたが、那覇では11月13日(木)に最高気温30.2℃を観測し、真夏日の最遅記録2位となっています。(1位は1898年11月16日の30.7℃)
 大雨の直前に真夏日となったのも、日中は暖かい空気が沖縄地方に入っていたものと思われます。
 なお、今回の一連の大雨の影響で沖縄本島北部のダムの周辺にも雨が降り、11月14日(金)午前0時時点での沖縄本島の合計11ダムの貯水率は92.0%で平年値との差は+3.2ポイントとなっています。
18日(火)頃は一気に真冬の寒さに 上着の用意を
 11月30日(日)にかけての天気と気温の予想です。17日(月)頃に、沖縄地方は雨雲が通過する予想です。雨の後、18日(火)頃から19日(水)頃にかけては、寒気の影響で一気に気温が低くなる見込みです。
 朝と日中の気温差があまりなく、日中の気温は20℃を下回る可能性もあります。県内全域で北寄りの風が強く吹いて風冷えしそうです。上着やパーカーなど重ね着の用意をお願いします。また、波の高い状態も続くため、船舶などは高波に注意が必要です。


那覇の11月30日(日)にかけての天気と気温予想※11月14日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
宮古島の11月30日(日)にかけての天気と気温予想※11月14日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
石垣島の11月30日(日)にかけての天気と気温予想※11月14日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
南大東島の11月30日(日)にかけての天気と気温予想※11月14日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
11月18日(火)午前6時の雨と風の予想 ※11日14日(金)午後1時のデータ、ウェザーマップ

 11月22日(土)頃にはようやくこの時期らしい気温に戻り、各地の最高気温は25℃くらいの予想です。天気は、11月下旬にかけて大陸の高気圧が張り出す予想となっているため、沖縄付近では曇りベースの天気が続きそうです。

服装と気温の目安※ウェザーマップ

今週末は“十月夏小(ジュウグヮチナチグヮー)” 暑さのぶり返し
 今週末の沖縄地方は、大陸からの高気圧の南側のヘリにあたり、やや雲の多い天気となりそうです。気温は高く11月16日(日)にかけての最高気温は28℃くらいの予想で、10月下旬並みの暑さが戻りそうです。大雨の後の片付けなどはこまめに休憩をしながら暑さに気を付けて作業をしましょう。
 週明けは気温が低くなるため、気温の変化で体調を崩さないようご注意下さい。

沖縄本島地方・大東島地方の予報 ※11月14日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
宮古島地方・八重山地方の予報 ※11月14日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
 

崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
 沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。
Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。
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那覇の11月30日(日)にかけての天気と気温予想※11月14日(金)午前11時、ウェザーマップ発表">
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宮古島の11月30日(日)にかけての天気と気温予想※11月14日(金)午前11時、ウェザーマップ発表">
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石垣島の11月30日(日)にかけての天気と気温予想※11月14日(金)午前11時、ウェザーマップ発表">
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南大東島の11月30日(日)にかけての天気と気温予想※11月14日(金)午前11時、ウェザーマップ発表">
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