沖縄県本部町の海洋博公園で活躍するミナミバンドウイルカの「オキちゃん」「ムク」の2頭が今年5月、飼育開始から50年を迎えました。1975年に開かれた沖縄国際海洋博覧会のため沖縄にやって来て半世紀、同公園の「顔」として沖縄観光を盛り上げてきました。
今なお現役、元気な2頭に迫ります。

トレーナーの指示に従うイルカのオキちゃん(手前)=4月8日、本部町・海洋博公園イルカラグーン

 オキちゃん(雌)、ムク(雄)は今でもイルカショーやダイバーショーのキャストとして、同公園を訪れる国内外からの観客の目を楽しませています。99年から飼育に携わる水族館管理センター海獣課の古網雅也さんによると「口の部分が細長く、おなかに斑文があるのがミナミバンドウイルカの特徴」だそう。2頭とも愛嬌のある「ずんぐりむっくり」の体形ですが「運動神経は抜群。トレーニングをするとすぐに覚える優等生です」と評価します。
 オキちゃん、ムクの出身地は鹿児島県、奄美大島付近の海域です。沖縄国際海洋博覧会開催直前の75年4月、同地域から15頭の仲間と一緒にヘリコプターで運ばれて沖縄にやって来ました。

沖縄国際海洋博覧会の会場に到着し、地元の子どもたちから歓迎されるイルカのオキちゃん=1975年4月25日、本部町

 来沖当時、各個体を分けるために標識が付けられました。オキちゃんは「白緑」、ムクは「紫と黒」。その後オキちゃんは公募を基に命名され、ムクの名は「紫」「黒」の頭文字が取られています。
 各種ショーではトレーナーとあうんの呼吸を見せ、人懐っこい印象のあるイルカですが、普段のトレーニングでは「イルカたちといい距離感を保つことが大切です」と古網さん。隙間ができるとイルカは逃げてしまう一方、人間がかまれたり、強靱な尾びれでたたかれたりすることも想定されます。
「人とイルカの安全を保つことを、脈々と続けていかなければいけません」。
 オキちゃん、ムクともにミナミバンドウイルカの世界最長飼育記録を更新し続けています。今年は地元の本部町から「特別住民票」が交付されたほか、沖縄県から「県観光特別賞」、沖縄タイムス社から沖縄タイムス賞・感謝状が贈られました。

カメラを向けると愛嬌をふりまいてくれたムク=10月18日、本部町・海洋博公園オキちゃん劇場

 50年もの間、元気に過ごしている理由に、古網さんは「きれいな水を保つ水族館の環境やバランスのいいエサ」を挙げます。ホッケやサバ、アジなどの魚の他、足りない分はビタミン剤で補います。
 コロナ禍でショーを開けなかった時期、元気をなくすイルカもいたそうです。古網さんは「これからも健康な状態で生きていてもらいたい。よりいい環境を与えながら、イルカの訴えをくみ取れるように、客観的な視点で接していきたいですね」と話しました。=文・天久仁
 
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沖縄のレジェンドイルカ「オキちゃん&ムク」50年現役の秘密 水族館だけが知る“優等生”の素顔
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