1.「me to me」(’17)/MONO NO AWARE
みんな大好き斎藤工がストーリーテラーを務める問題作、『世界の闇図鑑』のエンディングテーマに起用されたMONO NO AWARE。7~80年代のノスタルジーを刺激するローファイサウンドは幻惑的な音の襞を広げ、反復するディレイの中で乾き切ったニヒリズムが言葉遊びとともにこぼれ落ちる詞は“シティポップ”に食傷気味のリスナーの足首をも掴んで引きずり込むほど濃密。SFもUMAも都市伝説もごた混ぜの荒唐無稽さとホラーの間隙を縫う本作と、今年の『フジロック』にも抜擢された期待のニューカマーのタイアップには度肝を抜かれましたが、STYLE BAND TOKYOの脈動も感じさせる輝度の高い楽曲には、「あぁ、怖いけど怖くない…」と少しだけ励まされました。
https://www.youtube.com/watch?v=eMGmdDTTmlA2. 「怪々絵巻」(’13) /てにをは × AVTechNO! feat. 初音ミク
みんな大好き人気作品『闇芝居』。
3. 「春のかたみ」(’06)/元ちとせ
みんな大好き薬売り様の復活フラグを某アニメーターさんがツイートしていらっしゃいましたが、もうご覧になりましたか。ノイタミナシリーズでもひときわ異彩を放つ『モノノ怪』から10年経ちましたが、この曲は同作の前身となる『怪~ayakashi~』のエンディングテーマで、松任谷由実・正隆夫妻による共作です。
4. 「Sexy sexy,」(’00)/CASCADE
みんな大好き“学校の怪談”。児童書、漫画、実写映画等、最早“学校の怪談”自体が普通名詞になっているんじゃないかというくらい派生作品が数多生まれているのですが、こちらは2000~01年に放送されたアニメのエンディングテーマ。原宿系を標榜するルックスからビジュアル系にカテゴライズされることも多かったポップパンクバンド・CASCADEによるテクノポップナンバーです。ボサノバ調のイントロがスパニッシュなリフに同期し、軽薄で猥雑な恋の歌にメランコリックな影を落とし込み、アニメで散々恐怖を味わった子供の“大人への扉”をノックしたものです。
5. 「The Sore Feet Song」(’04)/アリー・カー
みんな大好き『蟲師』を世に放ったアートランドが倒産してしまいました。厳密には“ホラー”よりも“ファンタジー”と言ったほうが適確かもしれませんが、“異形のもの”と人との関わりが作品の主軸となることと、アートランドへのリスペクトを込めて。このアリー・カー、グラスゴーのシンガーらしいのですが、『蟲師』関連以外の情報は全く日本のメディアで取り上げられていないので、作中の“蟲”よろしく、まるで雲をつかむような存在です。穏やかなヴォーカルに瞬きのように繊細なアルペジオは、アニメの淡い寒色のグラデーションや幻想的な光源の精緻な作画をそのまま表したようで奇跡的なまでに符合しているのですが、柔和なトーンのまま突拍子もなく《強盗もしたし熊も殺した》と歌い上げるので気が抜けません。
TEXT:町田ノイズ