2003年7月2日シングル「ブラスター」でメジャーデビューを果たしたミクスチャーロックバンド・FLOWが、豪華ゲストたちを迎えて7月1日に『FLOW 20th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE 2023~アニメ縛りフェスティバル~』を開催。デビュー20周年をファンや仲間たちと共に盛大に祝った。


幕張メッセ国際展示場9~11ホールという、バンド史上最大キャパの会場での開催となった今回のライブ。ライブが開催されるホールの開場まではサブステージがオープン。アニソンDJやアニソン界の有識者たちによる「FLOWとアニメ音楽の変遷」をテーマとしたトークやDOES・氏原ワタルやBURNOUT SYNDROMES・熊谷和海、fhanaのkevin mitsunagaにROOKiEZ is PUNK’DのSHiNNOUKE、MADKIDのYOU-TAによるクリエイターズトーク、さらにカラオケ大会の決勝やコノミアキラらによるコスプレショーが見られ、会場はまるで海外で開催されるアニメのコンベンション会場の様相だった。

ニッポン放送・吉田尚記によるテンションMAXなアニクラDJでサブステージが閉幕すると、いよいよライブがスタート。『アニメ縛り』恒例の、人気声優による影アナ(開演前のアナウンス)を今回担当したのは梶裕貴。アナウンスに梶が演じる『七つの大罪』の主人公・メリオダスの声が混ざり幕を開けたステージ。
響きだしたのは「Perfect Time」だ。澤野弘之が手掛けた『七つの大罪』のメインテーマをFLOW、そしてGRANRODEOの楽器隊だけで響かせる。IWASAKIの力強いドラムと鼓動を叩くようなGOT’Sのベース、そしてTAKEとe-ZUKAの巧みなギター演奏の共演に会場が耳を奪われると次の瞬間、ステージ後方にスポットが当たり登場したKISHOWとKEIGO、KOHSHIの3人のボーカリスト。そこからFLOW×GRANRODEOで『七つの大罪』のED曲「7-seven-」、さらにOP曲「Howling」を響かせる。盟友バンドでのコラボレーションで生み出された楽曲は、熱を帯びるシャウトが響くラウドかつ軽快なサウンド。このコラボによってフロアの熱気は一気にクライマックスまで上昇した。


「(歓声に)とんでもないっすね! そしてとんでもないロケットスタート! アニメ縛りフェスティバルはじまりましたけど、一言だけ言っておきます。すごいよ? 我々の20周年にかこつけて、いろんな人、呼んじゃってますから! 今宵もアニメ、縛らさせてもらいまーす!」とKEIGO。前回のアニメ縛りから3年が経過し、FLOWが歌ったアニメ主題歌は当時よりさらに増えて30曲を超えたという。序盤から畳みかけるライブは、アニメ『べるぜバブ』のOP「Hey!!!」、アニメ『PERSONA -trinity soul-』のOP「WORLD OF THE VOICE」、アニメ『バック・アロウ』のED「United Sparrows」、アニメ『シャドウバース』のOP「新世界」を89秒のアニメ放送サイズで繋ぐスペッシャルバージョンに。このライブならではの勢いがついた楽曲は、スクリーンに流れる映像でアニメ放送時の記憶もよみがえらせ、湧き上がる大きな歌声が重なって、会場を揺らした。

ゲストアーティストの紹介VTRで美竹蘭 from Afterglowの登場が告げられると震動するほどの歓声に迎えられた佐倉綾音。
『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』とFLOWでのコラボ曲でありゲームの期間限定実装曲であった「優勝 feat.Afterglow」の熱いグルーヴを、佐倉演じる美竹蘭のパワフルボーカルと共に披露した。

「いつかライブでこの曲をやりたいですねって言ってもらっていたんですけど、社交辞令だろうと思っていました(笑)」と美竹を演じる佐倉も驚きを隠せなかったというライブ共演はもう一曲、Afterglowの疾走感あふれるライブユースなナンバー「Y.O.L.O!!!!!」に続く。スクリーンにはAfterglowのライブシーンが映し出され、メンバーのコーラス部分をKEIGOとKOHSHIの歌声で聴かせるAfterFLOWでの稀有なバージョンで聴かせた。

ガールズバンドの熱気のあとに会場に響いたのは美しくファンタジックなSEとスレイとミクリオの声。アニメ『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』の主人公たちだ。彼らの声に誘われるようにペンライトでフロアが美しいグリーンに染めあげられると、彼らとオーディエンスとで共にタイトルコール! 作品のOPを飾った FLOWがフォークロワ調で響かせる「風ノ唄」が鳴り響き、大合唱が起きる。
続く「INNOSENSE」の熱を上げるラウドなサウンドと共に「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」で紡いだ想いが放たれた。

続くゲストが影山ヒロノブだと告げるVTRに期待感が爆発するような大歓声に迎えられたFLOW×影山ヒロノブによる「CHA-LA HEAD-CHA-LA」ではなんとフロアを巨大な7つのドラゴンボールが舞う!オーディエンスの元気玉も集まり、きっと幕張メッセの上には神龍が来ていたことだろう。そしてさらなるコラボが!影山ヒロノブに加え、GRANRODEO、そして美竹蘭こと佐倉綾音も登場。厳かなマーチのビートな鳴る中、JAM projectガライブのはじまりにやるように敬意を見せるポーズを取りながらスタートした「SKILL」。Motto ! Motto !!」と声をあげ、「We can fly!」「You can fly!」とジャンプするオーディエンス。重なり膨らみ、割れんばかりの大きさとなった歌声と共に光の矢を放った瞬間に会場は灼熱の温度となった。


熱狂の後に静かになったフロア。一筋の光がステージに注がれるとそこに名塚佳織が登場。エウレカの想いを切々と紡いでいくと、そこに三瓶由布子も姿を現し、レントンの力強い言葉が続くといつしか会場は緑に染まり、作品とファンとの絆を感じさせる場面となった。レントンとエウレカの「I can fly!!」の声に観客の声も加わりひとつとなったところでライブはアニメ『交響詩篇エウレカセブン』のOP「DAYS」へ。大きな歌声が湧くと、アニメ『エウレカセブンAO』のOP「ブレイブルー」へと続いていく。幕張メッセの大合唱は、きっとエウレカとレントンに届いたことだろう。


「あ~…FLOWのみなさん、聞こえますか?」と様子をうかがうような声が会場に届く。こちらも『アニメ縛り』恒例であり現在皆勤賞で声の出演をしているアニメ『サムライフラメンコ』の主人公・羽佐間正義だ。タイトルコールを担った彼とオーディエンスとで「サムラ~イフラメンコッ!」と声をあげればライブは同作OP「愛愛愛に撃たれてバイバイバイ」に。スタイリッシュなヲタ芸ダンスパフォーマンス集団Fly-Nがステージへと駆け込み、ダイナミックなペンライトパフォーマンスで盛り上げると、池袋を舞台にしたアニメ『デュラララ!!×2結』のOP「Steppin’ out」へとライブは繋がっていく。こちらの曲ではFLOWの盟友であり世界唯一のアニソン×ダンスチーム・REAL AKIBA BOYZが登場。ブレイクダンスやタットダンス、ヘッドスピンといった卓越したダンスパフォーマンスで見せた彼らは、FLOWサウンドとの華やかな競演を届けた。

不敵の笑い声が響くと登場したのはゼロことルルーシュを演じる福山潤。「記念すべき日に立ち会い、民たちの前に姿を現せることをとても光栄に思う」と高らかに声をあげれば幕張メッセはエリア11に様変わり。そしてライブは『コードギアス 反逆のルルーシュ』の世界へ。アニメ『15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ』のOP「DICE」で群衆の声が集まるようにフロアから湧く歌声も重なる。ルルーシュの戦いの日々の幕開けを飾った「COLORS」のイントロが響くと会場から歓声が放たれた。再びルルーシュが登場。「素晴らしいステージだ。だがこれから奇跡が起こるそうじゃないか」と話すと、ルルーシュの妹・ナナリーとして名塚もステージへ。

敵対する兄妹だけではなく、会場の全ての人の心がひとつになったところで福山が声高に叫ぶ。「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。歴史的瞬間をその目に刻み込め。そして今宵を最高に盛り上げるのだ!」と。ギアスを掛けられたオーディエンスの耳に飛び込んできたのはORANGE RANGEとFLOWの2バンドによる「デイドリーム ビリーヴァー」という奇跡! ドラム、ベース、ギターの音が全て2つずつ、そして5人のボーカルが織りなすスペシャルライブは2バンドの色彩感豊かでエモーショナルな音のシンクロで生まれたアッパーチューン。

YOHとGOT’Sが視線を合わせて刻むビート、NAOTOとTAKEがギターを突き合わせて演奏するなど熱い場面に、畳みかける5色の歌声も届けば、会場も共に声をあげた。続いてORANGE RANGEの曲にして『コードギアス 反逆のルルーシュR2』のOP「O2」を2バンドのタッグで響かせる。YAMATOの歌うハイトーンをKOHSHIが歌い上げる豪華タッグのシーンも印象的だった。お互いにデビュー20周年という彼ら。HOROKI曰く「FLOWはちょうどいい先輩」なのだとか。そんなFLOW×ORANGE RANGEでもう一曲「幕張のみなさん、最高の笑顔を見せてください!」とRYOの声が響くと、アニメ「NARUTO」のED「ビバ★ロック」でのセッションへ。オレンジ色に染まったフロアを席捲するロックンロールで5人のボーカルの声に大合唱が重なった。

まるで祭壇になったかのようにステージに炎が立つと高梨康治が手掛ける『NARUTO』のメインテーマが流れ出すと幕張メッセは木の葉の里に姿を変える。和太鼓の音と勇ましい掛け声と共に「みんな、元気にしてっかー? FLOWの兄ちゃんたちも久しぶりだってばよ!」と元気いっぱいのナルトの声が。サクラ、シカマル、サスケも会場の盛り上がりを楽しむように声をあげる。オーディエンスを煽り、強大な歓声をあげさせるとここからはFLOWと共にある「NARUTO」の楽曲を聴かせるパートへ。「Re:member」「虹の空」をアニメサイズで響かせ、この曲が鳴っていたときのナルトたちの物語が蘇るようだ。

そして全世界でのサブスク再生数が1億回を突破した「Sign」はフルバージョンでの演奏に。世界中に響くこの曲を、幕張で、デビュー20周年の祝砲として鳴らすFLOWの5人。KOHSHIがマイクを向けると彼らの熱に応えるようにオーディエンスの大合唱が迎えた。そんなナルトの物語の先にある息子たちのストーリー・アニメ「BORUTO-ボルトーNARUTO THE NEXT GENERATIONS-」のOP曲「GOLD」ではボルトを演じる三瓶由布子が登場。「なりたい自分になろうとする自分だけは、捨てちゃダメなんだぁ!」のかけ声で会場一斉のジャンプ! FLOWのデビュー20周年に同じくアニメ20周年を迎えた『NARUTO』と共に大きく跳ねた瞬間だった。

最後はこの日の全ゲストがステージにあがり、幕張メッセに集う全ての人々で歌い上げた「GO!!!」。FLOW史上最大の会場でのライブでの、最大規模のウェーブも見せ、ここまで共に歩んできたアニメ作品たちへと想いを馳せながら「アニメ縛り」という奇跡の共演で魅せた宴は幕を閉じた。

FLOWがアニメと初めて出会った「GO!!!」が2004年のこと。あれから19年。ロックバンドがアニメと向き合い、手を取り合うことがまだまだ主流ではなかった時代から果敢に挑戦を重ねてきた彼らが、世界中のファンと共に築いてきた時間の集大成を見たこの夜。続く25周年、30周年とその果敢な挑戦が止まることがないであろうことを感じさせたフェスだった。

Live photo by 柴田恵理
Text by えびさわなち