「Slow & Easy」(’15)/平井大
いろいろな海外の国へ行き、景色や建物や食べ物に人、好きな場所はたくさんあるけれど、結局は一番何度も訪れているのがハワイだったりする。島全体がパワースポットと呼ばれるように、とにかく降り立った者を心も身体も元気にしてくれる不思議な土地。平井大の「slow & easy」は、そんなハワイの風景はもちろん、風や空気、ゆるやかな時間の流れまで感じさせてくれる。
「さすらい」(’98)/奥田民生
毎週録画予約をして楽しみにしているテレビ番組のひとつに、テレビ東京系バラエティー『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』がある。全国各地を電動バイクで巡りながら、現地の人たちと触れ合う旅番組だ。
「Deep River」(’02)/宇多田ヒカル
世界中には実にさまざまな文化や宗教・生活習慣などがあって、日本での当たり前が良くも悪くも通用しないことが多々ある。それが新鮮だったり不便だったり衝撃的だったり、人生観が変わってしまうような経験との出会いもあるかもしれない。宇多田ヒカルの3rdアルバム『DEEP RIVER』のタイトル曲である「Deep River」は、聖なる河・ガンジスを舞台にした遠藤周作の小説『深い河』にインスピレーションを受けて作られたという、シタールの音色が印象的なオリエンタルなナンバー。《与えられた名前とともに 全てを受け入れるなんてしなくていいよ》という歌詞が象徴している、内省的で普遍的な深いテーマを、当時19歳の彼女が詞・曲ともに書いているということにもまた驚きではあるが、2010年に“人間活動”と称した活動休止を実行した、そこへつながる兆しのようにも感じられる。
「ハイウェイ」(’03)/くるり
旅は大好きでよく出かけるけれど、その理由なんて考えたこともなくて、この曲の始まりが《僕が旅に出る理由はだいたい百個くらいあって》だったので、試しに考えてみたら10個も見つけられなかった(笑)。映画『ジョゼと虎と魚たち』のテーマ曲としてサウンドトラックを担当したくるりが制作、のちにシングルカットとなった「ハイウェイ」。ミディアムテンポで淡々と進んでゆく気だるい感じが、どちらかと言うと高速というよりはドライブというイメージではあるが、車を走らせながら聴いていたくなる一曲だ。MVには映画の主人公を演じた妻夫木聡が出演、子供にしか見えない存在という設定で乗り物を次々と乗り換えて行く様子が描かれている。冒頭で理由は100個あるって言ったのに、最後には《旅に出る理由なんて何ひとつない》になっていて、一瞬どういうことだろうと思ったけれどMVを観ていたら、進んだ先でその都度目の前に現れたものを楽しげに乗り継いでゆくその表情に、そうか理由なんてあってもなくてもいいんだと納得。
「BANG! BANG! バカンス!」(’05)/SMAP
夏が来ると聴きたくなるという曲はそれぞれあるかと思うけれど、2000年代後半、聴こうと思わなくても実際夏がやってくると毎年巷に流れていて、それが今“聴きたくなる”になっているんだなと気づかされたのがSMAPの「BANG! BANG! バカンス!」。2005年、クドカンこと宮藤官九郎が作詞したこの曲、《男前だね木村くん》《稲垣って名字の半分はガキ》といったメンバーの名前が盛り込まれたユニークな詞も話題になったが、昨年や一昨年の夏をふり返って今年こそは!というところが、2023年の夏に持って来いなんじゃないでしょうか。2009年にバラエティー番組内でこの曲をMV仕立てで披露していたのだが、その様子がやけに“バカンス”していてテンションが上がったのを覚えています。特別彼らのファンでなくても、この曲を耳にすれば太陽と開放感と高揚感で夏をエンジョイしたくなる、これぞ国民的アイドルの所以! あ~、つくづくいい時代だったなぁ。さぁ、この夏、あなたも太陽とバカンスの打ち合わせしてみない?
TEXT:K子。
K子。 プロフィール:神奈川・湘南育ち。“音楽=音を楽しむ”ことを知り、好きな音楽の仕事がしたい!とOLをやめてオリコン株式会社に9年所属。旅行業界に転職後、副業で旅・エンタメ関連のWEBで執筆するも、音楽への愛が止められず出戻り人に。愛情込めまくりのレビューやライヴレポを得意とし、ライヴシチュエーション(ライヴハウス、ホール、アリーナクラス、野外、フェス、海外)による魅え方の違いにやけに興味を示す、体感型邦楽ロック好き。最愛のバンドと過ごす残りわずかな時間が愛しくてたまらない。