「ロックの殿堂」入りも果たした伝説のミュージシャン、ボブ・マーリー(1945年-1981年)。36年という生涯の中で輝き続け、亡くなった後もミュージシャンのみならずさまざまなカルチャー、思想に大きな影響を与えている彼の波乱万丈な生涯を描く映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』(5月17日公開)より、世紀の名盤『エクソダス』(1977年6月3日リリース)誕生の軌跡を実の家族たちが追想する特別映像が公開された。

 ボブ・マーリーの最高傑作と名高く、米タイム誌が「20世紀最高の音楽アルバム (the best music album of the 20th century)」に選んだ世界の音楽史に輝く伝説の名盤『エクソダス』。自宅を襲撃され、銃弾がボブの胸をかすめ腕に命中するという死と隣り合わせの経験をし、同時に狙われた妻リタも奇跡的に命をとりとめるという衝撃的な体験の後に、海を渡って英ロンドンで制作されたこの1枚は、表題曲の「Exodus」をはじめ、「Three Little Birds / 3羽の小鳥」、「One Love」など、今も世界中で愛され続ける名曲がズラリ。

 このたび解禁された映像では、劇中でも世界を大きく動かすエポックメイキングなエピソードとして描かれるこのアルバムの製作過程が、当時を知るボブの実の息子・娘たちによって語られていく。

 「アルバム『エクソダス』は実験的でもあった。まさに父にとって発明の瞬間だ。当時の音楽の常識を覆した」と笑顔を見せるのが、プロデューサーとして本作の映画化をけん引してきた息子ジギー・マーリー。ともにプロデューサーを務めた娘セデラ・マーリーも「あらゆるジャンルや思想が融合していたの。『エクソダス』は世紀の名盤として世界中で絶賛されたわ」と振り返る。ジギーとセデラは自身もグラミー賞ミュージシャンであり、幼少期から親しみ、人生そのものを形作ってきたと言っても過言ではない父ボブの音楽に、いちアーティストとしての憧れも浮かんでいるような表情が印象的だ。

 さらに、実業家として活躍する息子ローハン・マーリーも「父の音楽に触れることは、目覚めなんだ」と、思いを言葉に込める。

 どんな苦境にあっても、すべての人々が幸せになることを願ってやまなかったボブの、心地よいサウンドと力強く前向きな歌詞に込められた計り知れないほどの想いがあふれだすこのアルバムは、ボブにとっても映画にとっても象徴的な1枚。

 本作の録音を担当したクリス・ムンロは「『エクソダス』の種から始まり、その後成長していって素晴らしい歌に仕上がる。その過程が観られるんだ。どのように出来上がっていくかがわかるだろう」と、制作・発売当時の本物の空気や裏側を知ることができる点を映画の見どころの一つに挙げている。

 “音楽で戦争を止めた”と言われるボブが生み出した、もっとも愛されるアルバムの誕生とその音楽から放たれるパワーとメッセージは、映像のみならずサウンドも優れた環境が整っている映画館で鑑賞してこそ何倍も響いてくるに違いない。