本会は、手塚プロダクションの協力のもと、舞台『W3 ワンダースリー』上演へ向けてより作品への見識を高めるべく、手塚治虫の聖地、手塚プロダクション事務所ロビーの「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」のキャラクターが展示されている中で開催。ほかに、俳優の彩吹真央、成河、演出・上演台本のウォーリー木下、手塚プロダクションの湯本裕幸氏が参加した。
本作の原作『W3』は、1965年~66年まで『週刊少年サンデー』に連載されたSF漫画で、誕生してから今年で60周年を迎える名作。原作者である手塚さんは「ただ一つ。これだけは断じて殺されても翻せない主義がある。それは戦争はご免だということだ。だから反戦テーマだけは描き続けたい」と語ったといわれている。
そしてこの『W3』も、戦争、温暖化、食糧危機、地震やエネルギー不足など、人類が直面している自然と共存する上での多くの課題を抱えた地球の宇宙から観た姿を描き、宇宙からやってきたボッコ、ノッコ、プッコや、手塚漫画に欠くことのできないランプなど、多彩な登場人物で構成され、反戦テーマをベースに描かれている。
2000年生まれの井上は、本作出演をきっかけに手塚作品に触れたといい、「最初に感じたのは、連載されていた当時のメッセージというものが、今もしっかりと同じ状況で伝わり、同じ意味をもってしまっていることがすごく悲しくなった」と慎重に言葉を紡ぐ。
その上で「今まで手塚先生の作品に触れてこなかった層の方もきっと見に来てくださると思うので、そういった方たちにそのメッセージ、意図っていうのがちゃんと伝わるように頑張れたらなっていうのはすごく感じました」と前を見据えた。
これを受けて湯本氏は「先ほど井上さんもおっしゃいましたけど、60年前に描かれてるので、本当は人類にとっては古いよね、この話ってなってるといいんです。
また、最後のあいさつで井上は「間違いなくこの作品を上演することで、一歩平和に近づくような気はしていて」と語る。「僕は戦争というものに対して、事務所の舞台で反戦をうたったステージはあったりしたんですけど、自分が生まれた頃にはもう戦争はなくて、どこか他人事のように捉えてしまっていたんです。ただざっくりと戦争は良くないよねっていうことは思っていて」とし、「改めてしっかりと考えるすごくいい機会をいただいたなっていう風に思いました」と明かした。
さらに、「考えること、想像することがすごく大切だなっていう風に感じたので、これを見た皆さんも、何か1つ、その時感じたことを想像するきっかけになっていただけたら、すごく意味のあるステージになるし、また1歩平和に近づいていくことができるのかなっていう風に思います」と伝えた上で、「っていうと、なんかすごく重いメッセージが伝わってなんかきづらくなっちゃう」と苦笑い。続けて「でも間違いなく皆さん楽しんでいただける。そんな自信があるので、ぜひ皆さん遊びに来ていただけたらうれしいです」と呼びかけた。
舞台では、日本の田舎にある小川村に住む少年・星真一役を井上、星兄弟の母役を彩吹、秘密諜報機関フェニックスの一員である真一の兄・光一の潜入先で待ち受けるエーグニ警備隊のランプ役を成河が演じる。
本公演は、6月7日~29日に東京・THEATER MILANO-Za、7月4日~6日に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて上演される。