結婚して7年目になる主人公の真純と夫・進一郎。5歳の子どもと3人で幸せな家庭を築いている……ように見えるが、最後にセックスをしたのは3年前。妻になり、母になり、30歳も過ぎた。夫が何気なく投げかけた見下すような言動をきっかけに、このまま年を取って、女として見られることなく過ごしていくの?「……そんなの嫌だ!」と、真純はもう一度、女に磨きをかけて夫婦関係の改善を試みるーーしかし…というのが本作のストーリー。
「誰しも日常の中で、理不尽な言動や納得のいかない出来事にモヤモヤすることがあると思います」(編集者)というように、物語のスタートからモヤモヤシーンが続出。夫が「ママさー、専業主婦なんだからもっとちゃんと家事して? 俺が働いて養ってるんでしょ?」「妻であり母でもあるのに そういう『女の部分』見せられると 正直ひくわ」などと平気で言ってのけるシーンで、読者のフラストレーションも上昇。
読者レビューでも「夫に振り向いてもらいたい、結婚した頃のように…そんな妻を馬鹿にしてコスパがいい女と結婚したなんて最悪夫!」「このようなスピードで発言や態度が頭にくる登場人物(夫)はそういないと思う」と夫のヒールぶりへのコメントが際立つ一方で、「全く反省しない夫で、奥さんが強くて感動!!きっと天罰下るでしょう…と思って今後に期待します!!」「たくましいヒロインを応援したくなります」「ヒロインの、夫から虐げられてそこからどんどん魅力溢れる生き方を選択してのし上がっていく過程も好感が持てます」と、主人公・真純への共感と応援、逆襲への期待の声も高まっている。
しかし本作が「単なる夫へのヘイトにとどまりません」(編集者)というのは、夫が悪人というより、デリカシーに欠け、考えが浅く、妻の気持ちを理解しようとしない、目を覚ますべき“バカ”として描かれているからだろう。「主人公の旦那がぶっちぎりにバカ過ぎて、唖然」「大体女は若い方が良いとか、自分もおっさんになるのに何言ってんだ!?搾取されているだけなのにもう少しで落とせるとか、馬鹿だよな~って感じ。早く捨てられないかな」と、単純なモラハラ夫ものとは一線を画している。
そこには「読後に嫌な気持ちだけが残るのではなく、クスッと笑える瞬間があるのは、著者である岡野先生のキャラクター表現の巧みさによるものです」(編集者)と、作画・作劇の妙があるようだ。
■シーモアコミックス編集部:作品担当編集者コメント
本作は、夫婦関係のモヤモヤにフォーカスした作品です。誰しも日常の中で、理不尽な言動や納得のいかない出来事にモヤモヤすることがあると思います。しかし、現実ではその相手をぎゃふんと言わせるのはなかなか難しいもの。本作では、そんなモヤモヤを抱える読者に代わり、主人公が"嫌な相手"を痛快にこらしめてくれます。
本作の夫は、女性を年齢でジャッジし、自分の妻を当たり前の存在として見下すような男です。普段は横柄な態度なのに、妻が不機嫌だとわかると、コンビニのスイーツひとつで機嫌を取ろうとする──そんな浅はかさが絶妙に描かれています。広告でもこのシーンが多くの人の目に留まり、話題になりました。
しかし、この作品の魅力は、単なる夫へのヘイトにとどまりません。夫のキャラクターがどこか滑稽で、思わず笑ってしまう場面があるのも特徴です。読後に嫌な気持ちだけが残るのではなく、クスッと笑える瞬間があるのは、著者である岡野先生のキャラクター表現の巧みさによるものです。