中園ミホ氏が手掛ける第112作目の連続テレビ小説は、アンパンマンを生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに描く。生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかったヒロイン・朝田のぶと柳井嵩の人生。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現したアンパンマンにたどり着くまでの道のりを通じて、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気の物語を届ける。
山寺が演じる座間晴斗は、嵩が通う芸術学校の教師。嵩にとって生き方、人生の考え方の基本を教えてくれた恩師…という役どころだ。
「やなせ先生と奥様がモデルとなっている作品ということで、何かしらの形で関わりたいなとずっと思っておりました」と作品発表時から意欲十分だったという山寺。出演オファーには「来たか!」と飛び跳ねるくらい喜んだといい「声だけの出演でもと思っていたんですけど、やなせ先生の恩師という風に伺って、これは頑張らなくちゃと思いました」と振り返った。
役作りのため、やなせ先生の書籍や資料などを何度も読み返した。「(モデルとなった)杉山(豊桔)先生は“縮れ毛”だったということが本に書いてあって、まずは『パーマをかけるか!』って(笑)。台本を頂く前だったので中身よりも先に外側から入ろうと思いました(笑)」というエピソードも明かしてくれた。
そんな座間先生を軽妙に、ときにパワフルに、そして温かく演じた。
「『アンパンマンのマーチ』の歌詞に象徴されるような、人間にとって大切なことを深いけれども優しい言葉がメッセージが、あの歌には込められているんです。作品の根底にそういうものがあるということは分かってはいたんですけど、(『あんぱん』の出演を通じて)より深い部分を理屈じゃなく理解できた気がして。いきなり『アンパンマン』が生まれたわけではなく、作品が生まれる前に先生のいろんな経験があった。この作品を通じて、全部がつながった感じがしました」。
『あんぱん』の出演を経て、声優業にも大きな刺激も受けた。「より大切に演じようと思いましたね。今までいい加減にやっていたわけではないですよ?(笑)。36年間、一生懸命やってきました。
半年間にわたって全国の朝を彩る連続テレビ小説。『あんぱん』の反響の大きさを山寺も肌で感じているようで「ドラマ『あんぱん』のおかげでアニメ『それいけ!アンパンマン』もまた注目されるんじゃないかな。大人になって見なくなった人もいるかもしれないけど、大人になってから見ても面白いよって伝えたいですね!」と期待に胸を膨らませていた。