■「なみ福」始動後、公私ともに大変だった3年間
難波が「なみ福」のプロジェクトに全力で取り組んでいたこの3年間、つらい出来事も数多く起こった。2023年2月に、Hi-STANDARDのドラムで長年苦楽を共にした盟友・恒岡章さんが、同年4月に長年病気を患っていた実母が、昨夏には実父が亡くなり、難波の心に大きな穴が開いた。
「この2、3年間、本当にとんでもなくて。すごかったんですよ。今でこそこんなんですけど、寝込んだ時もありますし。ツネちゃんが亡くなった時も、本当にきつくて。『なみ福』どころじゃないっていうところまでいきかけたんですけど、ツネちゃんのお葬式から帰ってきて、やっぱり窓磨いてたんですよ。『やることがあった』っていうのが本当に大きくて。
精神的に厳しい時期でも、強い意志のもと、物事を推進していく。その原動力はなんなのか?
「やっぱり『生きたい』からですね。もう大げさなんですけど、生かしてもらってね、やることがあるんですよ。Hi-STANDARDやNAMBA69がありますけど、僕は音楽をやるために生きていたんで。もし本当にやることなかったら、音楽やれてない状態で何もやることもない。そうなるとたぶん僕、生きれてないんですよ。寂しくなっちゃって。今、やっぱやることがあるんですよね。もうお金じゃないんですよ。もう(私財を)投じるし、もう『生きれる』がいいんですよ」
そしてもう一つ、難波の背中を強く押すのが「責任」だという。
「あと責任なんですよ。
■Hi-STANDARD/NAMBA69”音楽活動”への思い
以前、新潟角田浜本店オープンの際のインタビューで難波は、「作っているものが“音”じゃないだけで、今やっていることも『エンタメ』」と語っていたが、笑顔を創出するという点において、その根本は変わっていない。さらにその「責任」は「なみ福」においてだけではない。Hi-STANDARD/NAMBA69として、音楽を奏でる姿を心待ちにしているファンに対しての「責任」についても、難波は言及した。
「Hi-STANDARDを待ってる人、たくさんいると思うんですよ。
これだけ忙しい日々を送りながらも、難波は近況について、「もちろん曲作ってますね。めちゃくちゃ作ってます」「この経験や3年間の気持ちとか整理するためにも言葉書いてるし、それがきっと歌詞になっていったり、発するメッセージになっていくのかなと思う」と語る。そして、SNSなどを通じて届く、ファンからの音楽活動を望む声もしっかりと目を通し、「めちゃくちゃありがたい」と話す。
「俺はもういつでも“Ready”だし、(Hi-STANDARDの横山)健くんとは、すごい連絡取りあって、いつでもそういう話をしてる。Xの1番上(難波のXのアカウントに表示されている固定ポスト)に、『Hi-STANDARD NEVER ENDS...Akihiro Namba』て書いてあるんです。もちろんなんですよ。終わっちゃいないです、何も。
皆さん、Hi-STANDARD/NAMBA69を好きでいてくれた方は、『ラーメン屋さんもいいけど、音楽やってくれよ』って本当に思ってくれているのも分かってるんですよ。やりたいんですよ、俺は1番。
音楽もラーメンも、何事にも手を抜かずすべてに全力投球。真っすぐな瞳で取り組む難波の姿勢は、昔からまったく変わらない。
2016年、Hi-STANDARDがノンプロモーションで突如リリースした16年ぶりのシングル『ANOTHER STARTING LINE』の発表時、アーティスト写真で浅草・雷門の前に笑顔で並ぶ3人の姿が印象的だった。あれから9年、その浅草で難波は新たなスタートを切る。