好身さんは、息子3人全員を自宅出産で迎えたというアグレッシブな人物。
けんとは、大学で音楽の才能が開花しアカペラで2年連続で日本一になった。まじめな性格のため、すでにスターになっていた兄・将暉に気を遣い、大学卒業後は東京のコンサルティング会社に就職。取引先の企業の経営陣にアドバイスするという責任が重くのしかかる仕事だったが、毎日勉強を重ねて分析・提案をしていた。
2019年11月に父・新さん還暦を祝う会を予定していたが、その前にけんとが自宅で倒れたと好身さんに電話がかかってきたという。好身さんは「とにかく記憶が飛んじゃって倒れて、ちょっと会社に行けないみたいな。電話の声がいつものけんとのトーンと全然違ってたんでびっくりした」と当時を回顧。
けんとの診断は「双極性障害」。好身さんは、大阪に戻ってきた息子の様子に“異変”を察知した。「人が全く違ってたので危険だなと。私の言葉のかけ方で本当に自殺するんではないかって思うくらい危ないと思ったので、慎重に対応しないといけないなって思いましたね」と当時を語った。
その後、好身さんは寄り添い続けて良い治療法を探したが、けんとは会社に迷惑をかけたと落ち込み、部屋に閉じこもってふさぎ込んでしまった。
けんとはその後、会社を辞めてリハビリを兼ねて自宅で大好きな歌と動画づくりをスタート。そんな弟の姿を見て、将暉が「人の歌歌うのもうましいいけど、お前できるんやから自分のオリジナル作れよ」と助言したことが、けんとの人生を変えた。
けんとはこれをきっかけに一から曲作りを学び、楽曲制作にはげんだ。そして2024年に完成したのが「はいよろこんで」。SNSで170億回再生を記録し、その年の『紅白歌合戦』にも出場するヒット作となった。