■『私の夫と結婚して』
小芝風花と佐藤健がダブル主演を務め、Amazon Originalにて配信中の『私の夫と結婚して』。原作は、ラブコメの女王パク・ミニョン主演で2024年に放送され、世界的にも爆発的人気を誇った作品です。
本作は、親友と夫の不倫を目撃し、殺害された女性が10年前に戻り、人生2回目を経験し、泥沼のような復讐をして自分の人生を取り戻す“運命開拓”復讐ドラマ。夫にも姑にも虐げられ、悲惨な人生を送っていたジウォン(パク・ミニョン)は、末期がんを患い、余命宣告を受けます。そんなある日、夫パク・ミンファンと親友チョン・スミンの不倫現場を目撃してしまい、彼らに殺害されてしまいます。そして目を覚ますと10年前の過去にタイムスリップ!過去に戻ったジウォンは、運命を変えるため、そして自分を裏切った者たちに復讐するために自分の人生をやり直すことに…。
クズ夫や裏切った親友に次々とスピーディーに仕返ししていく展開がスカッと痛快で、次はどうやり返す?とワクワクさえしてしまいます。でもそれだけじゃなくって、弱い自分から覚醒して、自分の人生を切り開いていく主人公ジウォン(パク・ミニョン)の姿にグッとくる場面も。内面の強さも相まって、どんどん強く、美しく、輝いていく姿が本当にカッコよくて、“自分も変われるかも”と励ましと勇気をもらえるはず。復讐劇はもちろん、自己肯定感、女性の自立といった共感できるテーマがしっかり描かれているのもまた、本作の深みです。
そして夫ミンファン(イ・イギョン)と、親友スミン(ソン・ハユン)が清々しいくらいのクズっぷりで、それがまた本作の面白さ。夫ミンファンが自信満々に振る舞うのに、ジウォンに一瞬で出し抜かれる間抜けさや、親友スミンの表の「良い子」ぶりと裏の「腹黒さ」のギャップが強烈だったりと「超絶クズなのにどこか憎めない」、滑稽な2人のキャラが、イライラするけれどちょっと笑えるんですよね。
そして、なんといっても主人公のジウォンの上司で、2回目の人生の助力者ユ・ジヒョクを演じているナ・イヌが沼すぎる…!188センチの異次元スタイルで冷静なスマート系男子なのに、どこか“ワンコ系男子”を感じるというギャップ萌え必至キャラ!一途で真っ直ぐかつ、セクシーな魅力に骨抜きにさせられること間違いなしです。
クスッと笑えるコミカルな要素もあり、オフィスラブの胸キュン展開ありで、ドロッドロな愛憎劇はちょっと苦手な人にもおすすめです。
▼配信情報
Amazon Original 『私の夫と結婚して』Prime Videoで独占配信中
■『怪物』
安田顕と水上恒司主演で、6日よりWOWOWにて放送される『怪物』。実は筆者、原作を擦り切れるまで(?)観てきた強火オタクなんですが、日本版のホームページを見に行ったら俳優、制作陣の方々の原作へのとてつもないリスペクトを感じて、思わず泣きそうになってしまいました(激重)。
そんな激重オタクから見ても、日本版、序盤からキャストと空気感の再現性が秀逸すぎて、言葉を失いました。キャストも舞台も日本なのに、本当にあの原作の陰気で閉塞感ある世界観のまんまなんです!これは本気でリメイクの名作が誕生しそうです…! 1・2話がYouTubeにて無料で配信してるので、ぜひぜひダッシュしてください!
原作になっているのは、21年の百想芸術大賞で「作品賞」を始め、「脚本賞」「最優秀演技賞(シン・ハギュン)」と三冠を達成し、本国ドラマファンからも「アナザーレベルの作品」と高い評価を受けたサスペンスの名作です。
本作はある田舎町を舞台に、連続殺人事件の謎を追う心理スリラー劇。20年前に妹を連続殺人事件で失い、その容疑者となった過去を持つ片田舎のマニャン派出所勤務ドンシク(シン・ハギュン)のもとに、次期警察庁長官の有力な候補である父親を持つエリート警察官のジュウォン(ヨ・ジング)がやってきます。そんな中、20年前と同じような猟奇殺人事件が発生。秘密や傷を抱えた住民たちは、全員がどこか何かを隠している様子。ジュウォンとドンシクはお互いに疑いの目を向けながら、腹の中を探り合いながら、パートナーとして捜査を共にしていきます。
主演を彩る助演達とは異なり、主演助演関わらず全ての登場人物にしっかりとスポットライトが当たることに加え、全俳優陣が凄まじい“怪物演技”を全身全霊で体現してくるため、“登場人物全員が怪しく見えてくる”サスペンスオタにはたまらない展開に!そのうえ犯人が判明してからも、また想像の斜め上を行く展開が続くのでラストまで1秒たりとも目が離せません!魂の熱演に、こちらまで力が入って全身カチカチになってしまうので、1話終わるたびにどっと疲れていました(笑)。
そして何がすごいってキャストがですよ…。今考えても奇跡としか言いようがない韓ドラ演技派アベンジャーズが大集結してるんです。赤く充血させた目で震えを表現し、“目の血管で演技する俳優”と称えられたシン・ハギュンの怪演にはもう…感嘆のため息がもれてしまいます。本当に、演技力の頂点たるものを見てしまいました…。今もなお、あの感動は忘れられません。
さらには20代で最高の演技力を誇ると言っても過言ではないヨ・ジングの熱演、『イカゲーム』など悪役ならこの人ホ・ソンテ、今年『おつかれさま』で百想助演賞を受賞したチェ・デフン、『財閥家の末息子』など数々の作品で強烈な存在感を示すキム・シンロクなど、“演技モンスター”たちの演技合戦に終始鳥肌が止まらんのですよ…。
そしてただの捜査モノに留まらないのが本作の凄み。人間のさまざまな両面性、二面性を引き出し、全編を通して「誰もが“怪物”になり得る」というメッセージには、ハッとさせられます。ラストには大きな気づきと感動を与えてくれるはず。小さな町の密度の濃い人間関係の中で、“義理と人情”が溢れる、実に韓国ドラマらしい一作です。
▼配信情報
『怪物』U-NEXT、Netflix、Huluなどで配信中
■『誘拐の日』
斎藤工×永尾柚乃主演でテレビ朝日にて放送される『誘拐の日』。韓ドラオタとしては、日本ではそこまでメジャーではなかった『誘拐の日』がリメイクされることもうれしいですし、斎藤工がちょっとマヌケでおバカな誘拐犯を演じるとか、キャスティングのセンスが半端なくないですか…?
原作は、韓国のドラマレビュアーやサスペンスマニアたちの間で「面白い!」ともっぱら話題だった作品。
本作は、白血病の娘の治療代を工面するために、少女を誘拐し身代金を得ようとした気弱な男ミョンジュン(ユン・ゲサン)と、誘拐のターゲットとしていた少女ロヒ(ユナ)が行動を共にすることで始まるコミカルスリラー(?)ドラマ。
本作が凄いのは、ひとつの誘拐事件から、殺人事件、ロヒの秘密という三つの要素が複雑に絡み合っていく物語の奥深さ!本当に物語が思いもよらない方向に向かっていくので、毎話ラストで「ええぇ?!」と驚愕すると同時に、巧みな脚本に感嘆してしまいました。
しかもこれ、シリアスなサスペンスじゃないのがまた良くって。各所でクスッと笑えるのに、サスペンス部分はしっかり本格派というコメディとサスペンスの完璧バランスを成し遂げているんです!(これ結構難しくないですか?笑)
さらに、ミョンジュンとロヒ、他人とは言えど本当の親子のようにお互いを大切に想う気持ちが心に刺さりまくって、後半はまさかの号泣してしまうという…。深い人間ドラマも織り込まれていて、なんとも高い完成度なんです…!しかも何度も言いますが、この全てが完璧な黄金バランス!
とにかく情けない“ポンコツ”誘拐犯のユン・ゲサンがハマり役すぎるのに加えて、『ザ・グローリー』のいじめっ子役から一転、正義感溢れる刑事役でパク・ソンフンが新たな境地を開いているのにも注目です!
そしてなんといってもロヒを演じた子役のユナちゃんの演技が天才すぎて、思いっきり感情移入させられてしまうはず…!
リメイクもめちゃくちゃ楽しみですが、原作も本当に笑ってハラハラして時にホロっと涙してしまう隠れた傑作なので、ぜひまだの人はアマプラへ直行してください♪
▼配信情報
Amazon Original『誘拐の日』Prime Videoで独占配信中
(文:Dramawriter Nana)