■“いい日陰“を見つけ出すことで「過酷な夏を安全に・楽しく・健やかに乗り越えてほしい」
同社は2023年から子ども特有の暑熱環境を「こども気温」として発信し、「子どもの熱中症リスクに対する社会的な理解を深めたい」と取り組みを行ってきた。同イベントにはブランドマーケティング本部 課長の井島隆信氏が登壇し、子どもは大人よりも熱中症リスクが高く、「“こまめな水分補給”と“暑さから逃げる行動”の両方が大切」だと解説。
「子どもは汗っかきに見えて、発汗能力が大人の約6割しかなく、熱がこもりやすい。“よい日陰”を見つけることが、子どもたちが屋外で暑さから身を守る手段になる」と、日陰にも“質の違い”があることを説明した。
たとえば「遊具の下の木陰」と「大きなイチョウの木陰」では、暑さ指数(WBGT)に2.9度の差が確認され、熱中症警戒レベルも1段階変わる結果となることが同取り組みの検証実験でも明らかになっている。“見た目だけではわからない日陰の違い”をいかに見分けていくのか。同イベントでは新たに「夏のお・か・し」というキーワードが掲げられた。
体全体をしっかり覆って直射日光や照り返しを避けられる「おおきいひかげ」であること、汗の蒸発を促して熱を逃がす「かぜがとおる」場所であること、そして気温の低下が期待できる「しぜんのちかく」であること。これらの頭文字をとって、「夏のお・か・し」として「日常生活でもこのキーワードを参考に“いい日陰”を探して、熱中症対策に活かしてほしい」と井島氏。
「1人でも多くの方に『こども気温』を知っていただき、子どもの熱中症対策に注力しつつ、過酷な夏を安全に・楽しく・健やかに乗り越えてほしい」と呼びかけた。
■「喉が渇いてからでは遅い。喉が渇く前に水分を摂るように」小池都知事からメッセージ
同イベントには気象予報士の多胡安那氏も登壇し、猛暑が年々厳しくなる中で多くの人に普及しつつある“ハンディファン”の使用に関する注意喚起を行った。外出時に携帯し、風で涼む人々も多いが「日向で使うのは危険」と話す。「あたたかい場所で風を回すと、熱風が循環してしまいます。ハンディファンを使う際は“涼しい日陰”で使用することで、リスク回避できます」。
同イベントでは小池百合子 東京都知事からのメッセージも紹介された。現在は“地球沸騰化”の時代であり“沸騰京”をキーワードに熱中症対策を広く呼びかけている。水分補給については「喉が渇いてからでは遅い。喉が渇く前に水分を摂るように」と述べ、体感温度を下げる日傘や帽子の活用も推奨した。さらに東京都は、日本気象協会と共同で作成した『東京暑さマップ』をホームページ上で公開しており、1週間先までの暑さ状況を把握できるため、夏のお出かけの計画などに活用してほしいと、熱中症予防への意識向上を促した。
2023年から打ち出された『こども気温』。