今月2日に行われたオープニングセレモニーには、同センターで治療を受けたこどもたちとその家族ら9人が参加。ディズニーキャラクターの壁紙を前に、「わ~ミッキーだ!」「アリエル見つけたよ!」といった歓声が上がり、会場は笑顔に包まれた。
参加した家族の一人は「真っ白だった壁がディズニーキャラクターで明るくなって驚きました。治療に向かう途中にキャラクターがいると、会話のきっかけにもなります。小さなこどもを持つ家族にとっては、とても心強い取り組みです」と語った。
日本での取り組みは、認定NPO法人「難病のこども支援全国ネットワーク」の協力を得て、2022年よりスタート。これまで小児専門病院が対象だったが、筑波大学附属病院の新陽子線治療センター開設にあたり、「長い治療期間を要する陽子線治療に向き合うこどもたちを、ディズニーのキャラクターや物語で応援し、勇気づけてほしい」という担当者からの要望を受け、ディズニーと同病院が議論を重ね、4年以上の準備期間を経て実現した。
陽子線治療とは、がん治療の放射線治療の一種であり、病巣のみにピンポイントで陽子線を照射する優れた治療効果が期待できる治療法で、二次がん発生のリスクの抑制により、小児や若年者にも有効とされている。また、小児がんは希少がんの一種であり、国内では年間約2000~2500人のこどもたちが新たに診断されている。
病院内には、キャラクターが描かれた壁紙だけでなく、スマートフォンやタブレットで絵が動くARアプリ「ディズニー チーム・オブ・ヒーローズ」と連動した仕掛けも導入。塗り絵やクイズなど、待ち時間を楽しく過ごせる工夫も施されている。
照射室には、ディズニーの名作映画『ファンタジア』の“魔法使いの弟子”姿のミッキーマウスが、まるで勇気の魔法をかけているようなデザインが施されており、最も不安を感じやすい治療の瞬間にも心の支えとなることが期待されている。
筑波大学附属病院陽子線治療センターの櫻井英幸部長は、「治療エリアに描かれたディズニーのキャラクターと物語は、病気と闘うこどもたちやご家族の不安や恐怖を、勇気と安らぎに変えてくれる特別な存在となるでしょう。このデコレーションは、まさに病気を治すための魔法をかけてくれるようです」と感謝を述べた。
ウォルト・ディズニー・ジャパンの代表取締役社長・日色保氏は「ディズニーのキャラクターや物語が、治療に臨むこどもたちとそのご家族に寄り添い、少しでも不安な気持ちが和らぎ治療に向かっていただけることを願っています。ディズニーだからこそできる支援を今後も続けていきます」と意欲を語った。