■”進化系ドライヤー”のヒットトレンド、「強い風量」に加え「プロの仕上がりを再現する独自機能」
近年、独自機能を持った“進化系ドライヤー”の需要が高まりを見せている。基本機能に加え、美容師の手技が再現される仕様になっていたり、静電気を抑えてくれたり、ヘアケアの付加価値につながる独自の機能性を備えているドライヤーが増加傾向に。美容師の遠井さんは、数ある機能のなかでも「風量の強さ」がドライヤーを選ぶ時の基準になるという。
「風量が弱いと、乾かす時間が長くなっていきます。乾かすのに疲れて、結局8割程度の乾燥でドライヤーの時間が終わってしまうんです。湿ったまま放置することが髪のダメージにつながっていくので、せっかくサロンで施術しても保つのが難しくなるという悪循環が生まれる。強い風量で、時短で乾かせるかどうか。これがプロとして一番気にするポイントになります」
そのほか「腕が疲れないように軽量化する」「温風と冷風の調節ができる」という部分も各社が基本の機能として盛り込んでいる。
「風量の調整も、丹念なブローも、普段僕たちがサロンワークでやっていることです。今売れているのは、プロの仕上がりを家庭でも簡単に再現できるドライヤー。
■「美を追求したい」けど「ドライヤーしたくない」ユーザーには”相反する気持ち”が共存
スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニーは、8月5日に同社初の美容家電となる高保水ドライヤー『MASTER MOIST(マスターモイスト)』を発売。同社 マーケティング本部 新規事業開発部次長 大小原さんは「近年の物価上昇に伴い国内の家電市場は伸び悩んでいますが、美容家電市場は右肩上がりで伸びています。2022年には420億の規模でしたが、昨年度は830億で2倍となる着地。33年には年平均成長率6.8%、1600億ほどの市場規模と予測が立てられています」と話す。
ドライヤーの価格帯は5000円程度から購入できる認識があったが、近年では3万~5万円、10万円を超えるものもあり、高価格化している現状がある。その背景には「ヘアの多様性が広がるからこその“ねじれ”が関係している」と大小原さん。
「24年には“美髪課金”というトレンドワードも登場し、ヘアケアに惜しみない投資をする人がいる一方で、お風呂に入りたがらない“風呂キャンセル界隈”という言葉も多くの共感を得ています。なぜお風呂を避けるのか、その一番の理由に上がっているのが“ドライヤーの面倒くささ”から来ていると言われています。美容を追求したいけど、めんどくさい。私たちの日常には、そういった相反する想いが生じる“ねじれ”が起きている。ここに着目をしました」
相反する気持ちをいかに解決していくのか。新発売となる高保水ドライヤー『MASTER MOIST』は、髪の水分量を保つオートマ技術を採用し、適切な温度・風量・ブロー秒数を独自設計している。
美容家電に新たに参入した同社が掲げるのは「高価格帯ドライヤーの民主化」。「スキンケア商品の開発で培ってきたアイデアを美容家電に用いることで、皆さんの生活が少しでも豊かなものになれば。その手助けができればと考えています」。