■「“自分が幸せかどうか”を基準にすると、誰が何と言おうと簡単に100点を取ることができる」
「これをやったら垢抜けた」というファッションのビフォーアフター動画を投稿し、大きな反響を集めたイメージコンサルタントのサトミさん。幼い頃から美人な母や妹と自分を比べて落ち込むことも多かったという。
「思春期の頃から大人っぽく見られたり、髪を短くしていると男子と間違われたりすることもあり、『自分は可愛くない』『女子らしくない』と悩んでいました。学生の頃はオシャレを頑張れば頑張るほど、『バブリー』『30代のOLに見える』と言われ、逆にラフな格好をすると部屋着にしか見えなくてつらかったです」
人の目ばかりを気にしすぎて苦しくなってきたところで、ある病気になってしまったというサトミさん。進行すると死亡するか失明などの後遺症が残る可能性がある、難病指定がされている病気だった。
「そこで初めて『自分の人生が終わるかもしれない』と自覚し、『他人の目ばかり気にしている今までの人生に何の意味があったんだろう? 死んでしまう前に本当にやりたいこと、着たい服って何なんだろう』と考えるようになりました」
ファッションを研究し、垢抜けたことで雰囲気も明るくなったサトミさんだが、色々なことを試してきた中で、一番効果があったのは「自分を知る」ことだったと振り返る。
「パーソナルカラーや骨格など、外見にまつわることもそうですし、『自分はどんな服を着ると心が躍るのか』『どんな人として見られたいのか』など、自分の内面についても理解を深めたことで、心から満足できるファッションに出会えたと感じています」
近年、パーソナルカラーや骨格タイプ診断が流行ったことで、服を選ぶ際に、好きより“似合う”か“似合わない”かで判断し、いつも似たようなコーディネートになってしまうと悩んでいる人も多いが、似たようなコーディネートから抜け出すには、「似合わないものにも挑戦することが必要だ」という。
「パーソナルカラーや骨格診断で導き出される似合うものはあくまで“得意分野”なだけで、それを絶対着ないといけないわけではありません。好きだけど似合いづらいものをもっと素敵に着こなすための手段として診断を使ってほしいと思っています」
自分よりオシャレな人や美しい人と比べて羨んだり悲しんだりするよりも、「自分が真似したりエッセンスを取り入れたりするならどうするか」という視点で見るほうが建設的だとサトミさんは考える。
「人の気持ちや人からの見え方は自分にはコントロールができません。
■200着以上のセーラー戦士衣装を制作「どうしたらより良くなるか、根気よくトライしていく意欲が大切」
「美少女戦士セーラームーン」のコスプレを26年間続けているうさこさん。26年前と現在のコスプレを比較した写真は、「太ったりしないのがすごい」「好きこそものの上手なれとはこういうことですね」と注目を集めた。子ども時代にセーラームーンに強烈な憧れを抱き、どうすればセーラームーンになれるかと悩んでいたところ、地元にコスプレができる同人イベントがあることを知り、初めてコスプレの文化に触れたという。
「初めてのコスプレは洋裁ができる近所の方に作ってもらったスーパーセーラームーンの衣装で、ブーツはお母さんが市販のものに赤いサテンを貼って仕上げてくれました。髪は長年セーラームーンに憧れて伸ばしていた地毛をお団子に結いました。そこから一気にコスプレ沼に沈み、気づけばあっという間に26年経っておりました」
現在まで26年間、ただ衣装を着るだけではなく、自身の特徴を活かしながら作品キャラクターとしても垢抜けたコスプレを追求しているうさこさん。「どんなこともすぐには形にならないので、どうしたらより良くなるか、根気よくトライしていく意欲が大切」だと振り返る。
「衣装製作も20年以上時間をかけて少しずつ、数にして200着以上のセーラー戦士を制作し、改良を繰り返してきました。まだまだ不十分な所ばかりで伸びしろはありますが、満足するとそこがゴールになり終わってしまうので、これからも可能性を追って精進していきたいです」
さらに、表現力やポージングなども高めていかないと華麗な変身ができないので、イメージと体のトレーニングは日々欠かさないようにしている。
「ジムでは毎週ストレッチをメインに、可動域を広げるトレーニングをしています。
コスプレをする上では、コンプレックスに感じる部分もあったという。しかし、コンプレックスは人とは違う際立った部分なので、「実は自分の最大の魅力だと気づいて向き合っていきたい」とうさこさん。
「私の場合は、顎が出てエラが張っているところがコンプレックスでした。歯を出してニカっと笑うと顎が目立つので、口を閉じて笑ってみたりもしたのですが、それだとうさぎちゃんのような元気なキャラが全然合わない。そうして自分らしさよりもキャラらしさを追求し、堂々と見せていたら、段々気にならなくなっていきました。他人から『歯を出して笑うとセクシーですよ』と言われたときは『そう見えたりもするのか!』と目から鱗でした。今は顎とエラがしっかりしていると輪郭がシャープに見えるし、二重顎になりにくいのも利点だなと思っています」
昔はコスプレをすることで「親になってもまだコスプレをしていて母親失格」と批判されることもあったが、推し活も普及し、価値観の多様性が認められてきた昨今では褒められることが増えてきたそう。
「私自身当時から何一つやっていることは変わっていないのですが、時代によって周りの反応が変化していくのは興味深かったです。そんな30年を振り返ると、他人からの良い悪いの評価などは一瞬で過ぎ去っていく、ただの景色だったと感じます。自分が自分らしい形であるために、他者との区切りをしっかりさせ、他人の意見を尊重し、自分の意見も尊重してもらえるような生き方を目指していきたいです」