本作は、天才棋士の父に人生を奪われた飛鳥が、その深い憎しみから開花させた才能と、まっすぐに突き進む意志の強さで、自らの人生を取り戻していくヒューマンドラマ。辛い過去と向き合いながらも、前に進もうとする力強い女性の姿が丁寧に描かれる。のんは、これまでの透明感あふれるイメージを一変させ、かつてないほど影のある役に挑戦。抑えきれない怒りを胸に、“盤上で戦うダークヒーロー”を演じ、新境地を切り開く。
倉科は2006年にデビューし、2009年にNHK連続テレビ小説『ウェルかめ』でヒロインに抜擢。「ABEMA」オリジナルドラマは本作が初出演となる。荒っぽく不器用ながらもまっすぐな藤堂とは対照的に、情に厚く、静かに人を見守る礼子。棋士を引退したあと働かず“ヒモ男”状態の藤堂を見捨てず、あたたかく、時に力強く支えます。礼子が働くバーで織りなされる、飛鳥と藤堂のかけがいのないシーンにも注目だ。
そして本飛鳥の“因縁の父”であり“天才棋士”の結城彰一役には、中村獅童が決定。中村は2002年に映画『ピンポン』で俳優として一躍脚光を浴び、同作で日本アカデミー賞の新人俳優賞と優秀助演男優賞を受賞。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)や映画『怪物』など数々の映画・ドラマ・舞台に出演している中村にとって、「ABEMA」オリジナルドラマは本作が初出演。中村が演じる結城彰一は、将棋界で名を馳せた天才棋士でありながら、家族を捨てて去り、のちに娘・飛鳥の因縁を抱える存在に。盤上で再会を果たす“父と娘の対局”は、本作において最大の見どころの一つとなっている。
■キャストコメント
◆倉科カナ
―初共演となる、のんさんの印象を教えてください
のんちゃんとは初共演なのですが、もう私が一方的に「かわいい~!」と魅了されていました(笑)。他愛のない会話であっても、話しかけるとのんちゃんはキラキラと楽しそうに聞いてくれて。好きな食べ物の話で盛り上がったりして、飛鳥としての繊細さも相まって一挙手一投足すべてが可愛すぎました。
―本作の見どころを教えてください
このドラマは、飛鳥という一人の女性の成長物語です。1話から最終話まで見ていただくと、のんちゃん演じる飛鳥の表情の違いを感じていただけると思います。私としては、葛藤を抱える飛鳥や藤堂の心に明かりを灯す存在でありたいと思って演じたので、そこにも注目して観ていただけたらとても嬉しいです。
◆中村獅童
―脚本を読んだ感想を教えてください。また、結城彰一を演じる上でどのようなことを意識されましたか?
テンポとスピード感があって、第1話から最終話まで引き込まれるように一気に読んでしまいました。僕自身将棋については子供の頃に父親と少しだけ指した程度で、ルールや将棋の世界にはそこまで詳しくありません。そんな僕でさえもストーリーにのめり込んだわけですから、将棋を知らない人が見ても楽しいはずだし、将棋がやりたくなるはずだと思いました。結城彰一を演じるにあたっては、棋士としての品格というのか、所作や仕草、和服を着ているので佇まいにも凄く気を配りました。彰一は自分の世界に没頭するあまり、最初の家庭を上手く築くことが出来なかった。でもそこから将棋という自分の世界を貫き通し、まい進していったわけで。演じる上では、彰一の暴力的ではなく淡々と内面に秘めた闘志のようなものを意識しました。
―本作の見どころを教えてください
将棋を知らない方にもドラマとして純粋に楽しんでいただけるだろうし、対局場面のロケ場所も豪華で時間をかけて撮影しているので、将棋好きの方にも満足していただけるドラマになっています。のんさんとの対局シーンは、ずっと座りっぱなしではないにしても、同じ姿勢で向かい合って10時間くらいぶっ続けで撮って、1シーン150カットくらい撮影したような場面もあります。監督が時間をかけてこだわって丁寧に撮ってくれた分、相当面白い画になっているだろうし、自分自身もどんな完成形になっているのか本編を観るのが楽しみです。第1話からじっくり味わっていただければと。ぜひ、ご覧ください。