『週刊文春』は、1959年4月の創刊時からしばらく、女性のポートレートを表紙にあしらっていたが、1977年5月から表紙を和田さんのイラストに切り替えた。切り替え直前に刊行された同年5月5日号の表紙も白紙で、今回は『週刊文春』史上2度目の「白紙の表紙」となる。
和田さんの手掛けたポップで鮮やかな色彩の表紙絵は、これまでの週刊誌のカバーの概念を覆し、表紙絵のモチーフを和田さん自らつづった「表紙はうたう」と共に『週刊文春』のアイコンとして長年愛されてきた。
和田さんは2019年10月に逝去したが、以降も「アンコール」という形で、以前表紙に使用した絵をあしらい続けてきた。先週発売された2025年8月28日号の表紙絵は、和田さんの絵をあしらった最初の号、1977年5月12日号の表紙を飾ったものとなり、48年ぶりの、「最後のアンコール掲載」となった。
和田さんの妻である料理愛好家・平野レミは「これは41歳の時の和田さんが、『週刊文春』のために最初に描いた表紙。手紙をくわえて、夜空の中を、誰のところに飛んでいこうとしているのかしら。和田さんは仕事のことを家で話さなかったから、雑誌が家に届いてはじめて『今週はこんな絵なんだ』ってわかるんです。毎週、どんなことを考えながら描いていたのかな。きっとこの時は、40年も表紙を描き続けるなんて思ってなかったでしょうね」とコメントを寄せている。
週刊文春編集長・竹田聖氏は「和田誠さんのイラストは、半世紀近くの間、まさに『週刊文春の顔』でした。長年お仕事をご一緒いただいた和田さんに、編集部一同、心より感謝しています。
「『新しい酒は新しい皮袋に』――。来週9月4日発売の号から、新進気鋭のイラストレーターの表紙絵で新たなスタートを切ることにしました。それに伴い、誌面レイアウトも刷新し、新連載が6本!という大型リニューアルも行います」と報告。
「超人気作家の連載小説も3本同時にスタートします。『この人が文春で!?』という意外な人物のエッセイやコラムも始まります。文藝(小説やエッセイ、コラム)と春秋(スクープ、ニュースの深掘り)を高レベルで融合させ、『面白くてタメになる』唯一無二のコンテンツをスピーディにお届けする――『週刊文春』がこれを機に益々パワーアップします。ぜひご期待下さい」とメッセージしている。