伝説のミュージシャン・ジミ・ヘンドリックスの没後55年にあたる今年、1970年の活動を追った2作品が二本立てで劇場公開されることが決定した。『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン』『アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』の2作品が、26日より全国順次公開される。ジミの生前最後の夏となった1970年を抜き取った両作品の日本での劇場公開は初めてとなる。

 『エレクトリック・レディ・スタジオ:ヴィジョン』は、ジミ・ヘンドリックスが私財を投じて完成させたレコーディングスタジオの誕生に迫るドキュメンタリーだ。米ニューヨーク・グリニッジ・ビレッジにて、ジミが自ら設計に携わり、1970年8月にオープンさせたレコーディングスタジオ。音響・機材のすべてにこだわったこの施設の制作過程を、貴重な証言と映像でたどる。

 出演者には、バンド・メンバーのミッチ・ミッチェルやビリー・コックス、スティーブ・ウィンウッド、ツアー・マネージャーのジェリー・スティッケルズ、エンジニアや建築家のジョン・ストーリークらが名を連ねる。中でもエンジニアのエディ・クレイマーは、没後に発表された「Freedom」のマルチトラックを再現しながら、ジミの音作りの核心に迫る。

 ジミが実際にこのスタジオを使用できたのは、完成前の約10週間のみ。オープンの翌日にツアーに出発し、そのまま1970年9月18日に急逝。再び自らのスタジオに立つことはなかった。

 『アトランタ・ポップ・フェスティヴァル1970』は、1970年7月4日、米ジョージアで開催された音楽フェス『アトランタ国際ポップ・フェスティバル』でのライブ映像。前年のウッドストックに続き、この日も20万人以上(最大で40万人とも)の観客を前にした圧巻のパフォーマンスが展開された。

 バンドは、ドラムのミッチ・ミッチェル、ベースのビリー・コックスによるトリオ編成。「フォクシー・レディ」「パープル・ヘイズ」「ヴードゥー・チャイルド (スライト・リターン)」など代表曲に加え、アルバム『The Cry of Love』収録の新曲「Straight Ahead」も披露された。

 さらに、独立記念日であるこの日、アメリカ国家「星条旗よ永遠なれ」の演奏と同時に花火が打ち上がる場面は、ハイライトのひとつ。ギターソロに入るジミの手元を捉えたシーンも多く、ファン必見の内容となっている。

 作品の公式サイトもオープンし、YouTubeでは予告編も公開されている。

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