俳優の菅田将暉が主演を務める10月1日スタートのフジテレビ水10ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(毎週水曜 後10:00※初回30分拡大)の囲み取材会がこのほど都内で行われ、脚本を務める三谷幸喜、三谷をモチーフにした新人放送作家役として同作に登場する俳優の神木隆之介が参加した。取材会では三谷作品初参加となる神木が感じた三谷や菅田に対する思いに加え、三谷が本作を描くことを決心した経緯について語ってくれた。
<全2回の後編>

 本作は1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で、三谷の青春時代の思い出を題材にした完全オリジナルストーリー。希望に満ち、好景気に浮き足立つ世相の一方で、渋谷の片隅にはまだ何者でもない若者たちの苦悩と挫折、時に恋模様もあった。栄光を追いかける者、恋に破れる者、迷惑で厄介な者、街を飛び出したい者…。そんな“人間くさい”人たちがエネルギッシュに生きた「1984年」という時代を、三谷ワールド全開で笑いと涙いっぱいに描いていく。

 主演の菅田は成功を夢見る演劇青年・久部三成(くべ・みつなり)を演じ、神木は“三谷青年”をモチーフにした新人の放送作家・蓬莱省吾(ほうらい・しょうご)を熱演する。

■三谷、神木が思う主演・菅田将暉の魅力「全員を引っ張ってくれている存在」

――菅田将暉さんが演じる演劇青年・久部三成の人物像をどう捉えていますか?

三谷:僕が菅田さんにお会いしたのは、昔アカデミー賞の授賞式の時にトイレで並んで用を足した時、それぐらいなんですよ。大河ドラマのときも一度もお会いしていないし。ただ、やはり大河ドラマの源義経を見た時に、「この人には今度はこんな役をやってほしい、やらせてみたい」という思いがすごく膨らんだんです。

菅田さんは「いい人」であったり、「憎まれ役」であったり、一色で語れる役ではなく、もっと多面性を持った、複雑な役ができる人だな、そんな役をやってほしい、書かせてほしいという思いで今回の役が出来上がりました。

神木:久部さん、僕の話も聞いてくれないんで…(笑)。自分が演じる蓬莱にとって久部というのは初めて見るタイプの人間。すごく強引だけど、僕たちを新しいこう場所へ連れてってくれるんじゃないかっていう期待感があって、(蓬莱としては)ついて行っているんだろうなと、心の中で思いながら演じています。
でも、久部さんは暴走する癖があるので、その時にどういう距離を保つのかっていうのは、今、考えながら演じてはいます。

――久部という役を通じて菅田さんの新たな魅力が出ているなと感じる瞬間はありますか?

神木:感じますね。あんなに100%のパワーをずっと出し続けている姿を初めて見たので。普段の菅田さんは基本元気で面白い人ですけどね。前作で『コントが始まる』という作品を一緒にさせていただいたんですけど、その時のキャラクターもそんなに100%、常に大声張り上げたり、パワーを出したりしている役ではなかった。あんなに1つ1つのセリフを全力で言ってくるキャラクターは初めてだったので、なんかそれが今、板についている菅田さんを見て「すごいな」っていうのはすごくやっぱりありますね。

久部を通してもそうですし、菅田さん自身も、僕ら全員を引っ張ってくれている存在。すごく僕にとって大きな存在ですね。

三谷:今作は1984年が舞台。僕も経験していますが、ものすごく熱い、とてもパワフルな時代だったんです。その時代の色を一身に背負っているのが久部という役。それを演じている菅田さんの熱量が、このドラマの全部を引っ張っているような気がします。


で、その横ですごくクールに客観的に見ているのが蓬莱(神木)であって、その2人のコンビネーションが、昔で言う勝新太郎さんと田村高廣さんみたいな、そんな感じで考えていました。

■“1984年の渋谷”を再現したセットに三谷も驚き「ちょっとタイムスリップした感じ」 

――今回は当時の渋谷の街を再現した巨大セットを制作したと聞きました。そのセットを見た感想を教えてください。

三谷:ちょっとタイムスリップした感じがありました。特にストリップ劇場があって、その前に坂道があって、坂道を挟んで反対側に古いアパートがあって、そこの2階が控え室になっていたんですよ。そこにお笑い芸人の人たちと僕がたむろしていたんです。そこで稽古をして、階段を降りて劇場に入っていく。その感じがもう完璧に再現されていたので、本当に僕はあの頃の自分に、この瞬間がいずれドラマになるんだよってことを教えてあげたい気持ちになりました。

物語は9割フィクションですが、設定としてはほぼ僕の体験の実話に近い。今回のテーマとして「舞台」があるので、自分が劇団を作った頃から今に至るまでの演劇界の裏側というか、体験したエピソードを全部埋め込んでいます。
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