「世界のアニメーションを一望できる映画祭」として、愛知県名古屋市で12日に開幕した「第1回あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」(ANIAFF)。初日にミッドランドスクエアシネマで開催された開会式に続いて、記念すべき最初のオープニング作品として、韓国のキム・ヨンファン監督による『Your Letter(日本タイトル未定)』が上映された。


 上映前の舞台あいさつでキム監督は、「ANIAFFの最初の開幕作に選ばれたということを、大変うれしく思っております」と喜びを語り、「私は日本のアニメーションを愛しています。宮崎駿(※崎=たつさき)監督のジブリ作品はすべて観ていますし、学生時代は渡辺信一郎監督の『カウボーイビバップ』が好きでした。新海誠監督の作品もほとんど見ており、今年は『ルックバック』を見ましたし、『鬼滅の刃』などももちろん見ています」と幼少期から日本のアニメを見て育ったことを明かした。

 そんな日本アニメ愛にあふれたキム監督が送り出した作品『Your Letter』は、韓国のウェブトゥーン『縁の手紙』(作:チョ・ヒョナ)をアニメーション化した作品。今年10月に韓国で公開されるや 「人生最高のアニメ」 「K-アニメの新たな可能性」 などの絶賛が相次ぎ、観客動員数は22万人を記録。

 キム監督は、「このストーリーは、匿名の手紙から始まります。誰からの手紙なのか、という興味を掻き立てるストーリーになっています。初めて読んだ時、美しい余韻が残りました。 人物たちの良い行い、そして美しい心が心を震わせてくれました。その感動を観客の皆様に、アニメーション映画という形でお届けすることができれば、勇気を得たり、癒しを得ることができるのではないかと思っています」と語った。

 さらに、キム監督から「本当にありがたいことに、2026年に日本での劇場公開が決まりました!」と発表。「韓国で長編アニメーション作品を作ることができて大変光栄に思っております。
もしまた同じように機会が与えられるのであれば、もちろん挑戦したいです」と意欲的な姿勢を見せていた。

 日本での配給を担当するのは、『君の名は。』 『すずめの戸締まり』 などの新海誠監督作品で知られるアニメーション制作会社コミックス・ウェーブ・フィルム。同社が海外の劇場アニメーションを配給するのは今回が初となる。

■日本公開決定に寄せてキム・ヨンファン監督からのコメント

 監督のキム・ヨンファンです。世界各地のグローバルファンが注目するアニメの中心・日本で、私の作品『Your Letter』を日本の皆さんにお披露目することができ、うれしい思いで胸一杯です。

 私がアニメーションに憧れるようになったきっかけは、小学生の頃、美術の授業で先生が見せてくれた宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』との出会いです。以来、日本の多様なアニメ作品を観ながら育ち、中でも新海誠監督の作品世界には特に深く魅了され、発表されたほとんどの作品を拝見させていただきました。こういった背景もあって、『Your Letter』をコミックス・ウェーブ・フィルムさまを通して配給することになったことは、私にとって非常に感慨深く、この上ない光栄に思っております。

 改めましてこの度は私の作品を日本の皆さんにお届けすることになり、心よりうれしく思います。謎の一通の手紙から始まるこの物語が、日本のアニメファンの皆さんの心にほのかな揺らぎをもたらすことができたら、何よりもうれしいと思います。
ぜひぜひ楽しんでください!
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