セミナーには、ヨーロッパで日本アニメの展開を担ってきたイギリスの配信会社Anime Limited(アニメリミテッド)の元COOで、現在は講談社シニア・ビジネス・ストラテジストのジェシカ・ポー氏、そして同映画祭のアーティスティック・ディレクターである数土直志氏も登壇。日本アニメが世界的な潮流となった背景や、その広がりの先にある課題について、約1時間半にわたって議論が交わされた。
本イベントでは、『鬼滅の刃』がアメリカで社会現象級のヒットを記録したことをはじめ、近年の日本アニメの世界的躍進を起点に、現在の人気が一過性のブームなのか、それとも文化として定着したものなのかを検証。さらに、海外から日本アニメがどのように見られているのかを国際的な視点から掘り下げ、グローバル展開の中で浮かび上がる課題と、その乗り越え方について意見が交わされた。
数土氏から「5年後の日本のアニメはどうなっていると思いますか?」と問いかけられると、ポー氏は、今後の国際的な広がりに期待を寄せた。
「5年後の日本のアニメは、より国際的なコラボレーションが進んでいると思います。日本から生まれる創造性と、海外のクリエイターたちの創造性が混ざり合う。そうした動きは、すでにいま起きていると感じています。その成果が、5年後には実際にマーケットに出てきているはずです。つまり、いま作られているものが、5年後には具体的な“作品”として世に出ている。私はそう思っています」
一方の齋藤氏は、「業界全体を背負って語れる立場ではない」と前置きしつつも、オリジナル作品への強い思いを語った。
「5年後も、オリジナルアニメーション映画の火を絶やさずに作り続けたいと思っています。
漫画原作のアニメーションについては「本当に素晴らしい」と評価しながらも、「それだけになるのは不健全」と指摘する。
そして、「テレビがあって、配信があって、映画もある。漫画原作もあっていいけれど、同時にオリジナルの映画、オリジナルのアニメーション作品も作り続けるべきだと思う。そのためのノウハウやプロデュースの知見は、クリエイティブとビジネスの両面にまたがります。自分たちが培ってきたものを次の世代に継承しながら、自分たち自身も新しい挑戦を通して変化していきたい。大変ではありますが、オリジナルを作り続ける火だけは、絶やしたくないです」と語った。
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