『国宝』は、吉田修一氏による同名小説が原作。歌舞伎役者の家に引き取られた少年が、芸の世界に身を投じ、人生のすべてを舞台に捧げていく、主人公・喜久雄の50年を描いた、壮大な一代記。主演の吉沢、共演の横浜流星に加え、黒川想矢、越山敬達、田中泯、渡辺謙らが吹き替えやCGに頼らず演じ切った歌舞伎シーンの圧倒的な完成度と迫真性が、公開直後から大きな話題を呼んでいる。昨年6月に公開され、興行収入は邦画実写作品として歴代1位記録を22年ぶりに更新し、200億円を突破した。邦画実写作品では初の快挙となる。
今年で第99回という長い歴史を持つ『キネマ旬報ベスト・テン』。李監督は「本当に歴史の長さを感じる」としみじみ。「『国宝』という非常に重みのある歌舞伎が題材の作品。50年にも及ぶ壮大な叙事詩のバトンを持たされまして、いの一番にの作品には喜久雄役である吉沢亮を外せないと思いまして、彼にお願いをして。その次にこの作品を具現化するために一番最も重要な脚本は奥寺さんにお願いするしかないと思った。スタートする上で絶対的に欠かせないお2人に最初に加わっていただいた。
そして「この作品は何か一つの言葉に落とし込むとしたら『美しさを追求したい』と思って作ってきました」と振り返る。「映画というのは人が人を見る。多くの観客の方がスクリーンに映ってる人間を見る。その人間が何を目指して、何に苦しんで、どこに向かおうとして、汗を流して、涙を流して、見果てぬ風景に向かって進んでいるのかと。その美しさを映像に焼き付けたいと思っていました。そのことを具現化する上では、吉沢くん、横浜くんをはじめ、俳優たちの献身が欠かせないですし、スクリーンという大きな映像の中にいかに観客を3時間という時間を没入してもらう、そのために高い技術を披露してくれたスタッフの皆さん、このみんなの力の結集、日本映画の持てる力の結集が多くの方に届いたのかな、と。その結果の監督賞だと思っております。皆さんありがとうございました」と話していた。
また、その後は司会の笠井信輔アナウンサーとトークセッション。同作は公開初日から3日間で動員24万5000人、興行収入3億4600万円を記録したが、全体では3位という結果だった。当時の心境を問われると「だいたい今って週末で予想される。大体ここまで、と最初に言われる数字で『赤字にはならないんじゃないかな』と。
■『第99回キネマ旬報ベスト・テン』受賞一覧
【作品賞】
・日本映画作品賞(日本映画ベスト・テン第1位):『旅と日々』
・外国映画作品賞(外国映画ベスト・テン第1位):『ワン・バトル・アフター・アナザー』
・文化映画作品賞(文化映画ベスト・テン第1位):『よみがえる声』
【個人賞】
・日本映画監督賞:李相日『国宝』により
・日本映画脚本賞:奥寺佐渡子『国宝』より
・外国映画監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン 『ワン・バトル・アフター・アナザー』により
・主演女優賞:シム・ウンギョン『旅と日々』により
・主演男優賞:吉沢亮『国宝』ほかにより
・助演女優賞:伊東蒼『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』により
・助演男優賞:佐藤二朗『爆弾』ほかにより
・新人女優賞:鈴木唯『ルノワール』により
・新人男優賞:黒崎煌代『見はらし世代』ほかにより
・読者選出日本映画監督賞:李相日『国宝』により
・読者選出外国映画監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン『ワン・バトル・アフター・アナザー』により
・読者賞:秦早穗子(連載『シネマ・エッセイ 記憶の影から』により)
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