俳優の桜井日奈子が主演、いまおかしんじが監督を務めた映画『死神バーバー』が完成し、初夏に東京・新宿武蔵野館ほかで公開されることが決まった。あわせて、主題歌はシンガーソングライターのFurui Rihoによる書き下ろしの新曲「太陽になれたら」と発表された。


 いまおか監督は『れいこいるか』や脚本作『まなみ100%』『化け猫あんずちゃん』などで高い評価を得てきたベテラン。本作は、死神が営む美容室「冥供愛富(メイクアップ)」を舞台に描くヒューマン・ファンタジーだ。

 主人公は、職場でもプライベートもうまくいかずイライラして、うっかり階段で足を滑らしてしまう佐伯美帆。新米の死神美容師・サクマの”早とちり”によって、死までの数日間を「冥供愛富」で過ごすことになる。

 死神美容師たちは、亡くなった人間にお色直しをし、魂が冥土に送られる前に、
現世にいる残された家族や大切な人を1日だけつなぐことで、本当の意味での“最期の別れ”を手助けしていた。美帆は、残された時間の中で死を迎えた人々との出会いと別れを通して、自身の人生を見つめ直していく。

 ヒロイン・美帆を演じる桜井は、ドラマ『人事の人見』(フジテレビ)や映画『殺さない彼と死なない彼女』(2019年)などに出演し、舞台にも活動の場を広げてきた。2024年にデビュー10周年を迎え、今年も4月スタートのドラマ『余命3ヶ月のサレ夫』(テレビ朝日)ではヒロイン、4月29日公開の実写映画『SAKAMOTO DAYS』への出演も決定している。

 本作では強さと脆(もろ)さを併せ持つ女性像に挑み、「いつか必ず訪れるものであり、でもできるだけ考えるのを遠ざけたくなる"死"というテーマと向き合った撮影期間でした」とコメント。本作について「日々を懸命に生きる全ての人の背中を押してくれる作品になっている」と、自信をのぞかせた。

主題歌を担当するFurui Rihoは、Spotify「RADAR: Early Noise 2023」に選出されるなど注目を集めるアーティスト。楽曲「太陽になれたら」は、本作で描かれる出会いと別れに寄り添うメッセージソングとなっている。
同曲は3月4日発売の3rdアルバム『Letters』に収録される。

 脚本は、日本大学藝術学部の授業課題として提出された梅木陽一の企画書を原案に、『この動画は再生できません THE MOVIE』の谷口恒平が担当。撮影にはカンヌ国際映画祭「La Cinef(ラ・シネフ)部門」入賞作『ジンジャー・ボーイ』の達富航平、音楽には『まなみ100%』の大槻美奈ら新進気鋭のスタッフが集まり、製作された。

■桜井日奈子(佐伯美帆役)のコメント

 亡くなった人間が、会いたい人に会える最後のチャンスを与える不思議な美容室、死神バーバー。
 私は死神に余命宣告された美容師の佐伯美帆を演じさせていただいています。
 いつか必ず訪れるものであり、でもできるだけ考えるのを遠ざけたくなる"死"というテーマと向き合った撮影期間でした。
 いまおかしんじ監督の世界観のなかで、軽やかに、そして優しく、日々を懸命に生きる全ての人の背中を押してくれる作品になっていると思います。
 公開を楽しみに待っていただけるとうれしいです。

■主題歌:Furui Rihoのコメント

 年を重ねて大人になると人間の儚さにより気づくようになりました。
 わたしもあなたも「神」に声をかけられた時にはこの世からいなくなってしまうんだなあと。
 なんだか空しく、果たして日常に意味なんてあるのか?
 なんていう疑問も忙しい毎日の騒音でかき消されている気がします。
 この作品は、そんな時にふと立ち止まり、自分のあるべき姿をそっと思い出させてくれます。

 日常に置いてけぼりの「愛」をより大切に抱きしめて太陽のようにあたたかく、誰かを照らす楽曲になりました。

■監督:いまおかしんじのコメント

 ある日死ぬ。死神がやってくる。会いたい人に会えと言う。会う。何か喋る。必死に考えて何か喋る。
 「実は死んだんだ」とはなかなか言えない。代わりに何か言う。
大事なことを伝えたいと思うけど、うまくいかない。時間になる。帰らなきゃいけない。

 思い残すことばっかだ。でも仕方ない。笑顔を見せて「さよなら」と言う。死にたくない。本当は死にたくない。
 もっともっと生きてみたいと思いながら、でも死ぬ。未練たらたらで死ぬ。
 アホだと思う。愚かとも思う。でも愛おしい。泣きたくなるくらい愛おしい。

■原案:梅木陽一のコメント

 まさか自分の作品が、映画として形になるとは思っていませんでした。

 この企画を思いついたのは、コロナ禍の真っ只中。
 家族や友人との交流、新しい出会いが途絶え、感染拡大によって大切な人との別れに立ち会うことすら叶わない状況の中で、改めて「死」と向き合う時間を過ごしました。
 当時、日藝で映画を学んでいた私は、映画を通して少しでも明るく、死や別れと向き合う方法はないかと考え、この作品を書きました。
 旅立つ者、残される者、いつ訪れるかわからない別れに悔いなく向き合うために。
 この映画が、観る人それぞれの身近な環境に、優しく寄り添う存在になれば幸いです。
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