魔猫よあ氏による小説『センパイを殺したいので女装する』(水鈴社)が16日に刊行。同小説をもとに、YOASOBIが楽曲「KILLA」を制作した。


 YOASOBIが“小説を音楽にする”という原点に立ち返り、小説の世界観を立体的に感じられる構成に仕上げた。年内のリリースが決定している。

 小説の物語は、京都の街外れにある高校を舞台に、二年生の「俺」が、恋する一学年上の文芸部のセンパイが告げた「卒業する日に〈理想の美少女〉に殺されたい」という願いを叶えるため奔走する、危険で可笑しく切実な青春劇となる。

 2022年9月に創設した、次世代の文芸界を担う作家を発掘・育成するプログラム「『はじめての』文芸部」は、4人の直木賞作家(島本理生氏、辻村深月氏、宮部みゆき氏、森絵都氏)が“小説を音楽にするユニット”YOASOBIとコラボレーションし、小説や楽曲、朗読劇など、さまざまなジャンルで作品を展開しながら物語世界をつくりあげた「はじめての」プロジェクトの一環として創設された。

 プロ・アマその他の経歴を問わず、エンタテインメント小説の担い手を募集したところ、634作品の応募が寄せられた。作品と面接による選考を経て4人が部員に決定し、その中の1人である魔猫(まびょう)よあ氏のデビュー作『センパイを殺したいので女装する』が今回発売された。

 『センパイを殺したいので女装する』第1章とスペシャルインタビューが、ストーリーエンタテインメントプラットフォーム「monogatary.com」で公開中。

■YOASOBI、コメント
●コンポーザー、Ayase
ぶっ飛んだアイディアでありつつ整合性の取れた設定がとても面白いと思い、この曲を聴くことで小説を読んでみたくなる構成にしてみました。音作りに関しても、改めて"小説を音楽にする"ということの原点に立ち返り、小説の世界観をより立体的に感じてもらうため、原作のダークな世界観を踏襲しつつ、キャッチーでありつつ奇天烈なチャレンジを盛り込みました。

●ボーカル、ikura
少年の想いは、恋でもあり、信仰でもあり、生きる理由でもあって。対して、センパイの主張する「美しく終わりたい」という願望と、ズレたまま噛み合って進んでいくストーリーに、これまでの物語と違う手触りを感じました。狂気と切実さ、そのどちらをも掬い上げて、歌声で表現したいと思いました。
「小説を音楽にするユニット」としての真骨頂を問われる時だと、背筋が伸びる思いです。

■著者・魔猫よあ氏、コメント
『センパイを殺したいので女装する』は、私の好きな「ファム・ファタールとそれに狂わされる者」を、大好きな谷崎潤一郎の文学や近現代文学の雰囲気を踏襲しつつ、現代感をプラスして、私なりに表現した一作です。YOASOBI様の素晴らしい曲と共に、是非このセンパイという甘い泥沼に嵌ってもらえたらいいなと思っています。

■吉田尚子氏(水鈴社編集顧問)、コメント
西日が差し込む夏の図書室。テーブルには、独特の語り口の丸眼鏡の美少女が寝そべっているーー。

「はじめての文芸部」の応募作品として出会ったこの作品。あらすじと最初の部分だけ存在し、選考資料として渡されたのですが、冒頭から鷲掴みにされました。

そこから3年、著者の魔猫さんとやり取りを重ね、ついに刊行されることになりました。

デュラスのような「不可能な愛」を極めようとする主人公はおかしくも愛おしく、作品のそちこちに見え隠れする閉塞感や登場人物たちの生きづらさも切実でありながら、エンタメとして振り切ったものになっています。

また、本作には、谷崎潤一郎へのリスペクトが散りばめられていますが、谷崎の耽美をさらにアップデートしてほしいというこちらからのリクエストに応え、ラストの闇は一段と濃厚に仕上げられました。

出会ってはいけない「美少女という魔」に出会ってしまった少年の行く末を、ハラハラしながら見守っていただければと思います。
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