iPhoneの「iOS 17.6」は重要なバグ修正とセキュリティアップデートだけでしたが、同時に日本でもようやく「衛星経由の緊急SOS」機能が提供されました。これで、iPhoneのデータ通信やWi-Fiがつながらないない状況でも、緊急時に衛星経由でメッセージが送れるんですね。そこで今回は、この衛星通信のデモを使って実際に衛星通信する方法と、本当に圏外になったときにどうすればいいかを解説します。
iOS 17.6から日本でも衛星通信の緊急SOSが発信可能に!
一部のiPhoneではiOS 17.6にアップデートすると、データ通信やWi-Fiがつながらない状況でも、「衛星経由での緊急SOS」が発信できるようになります。たとえば、iPhoneのデータ通信やWi-Fiがいずれも完全に圏外になったときに、iPhoneの右上に「SOS」と「衛星」マークが表示されるんですね。
iPhoneのデータ通信やWi-Fiがいずれも完全に圏外になると、画面右上に「SOS」と「衛星」マークが表示されます(画像は筆者YouTubeチャンネルより)
ただし、この機能に対応するiPhoneは現在8機種のみ。iPhone 14とiPhone 15の全モデルで使用可能になっています。おそらく、2024年秋以降発売の新型iPhoneもすべて使用できるようになっているでしょう。

「衛星経由の緊急SOS」対応機種は、iPhone 14とiPhone 15の全モデルとなっています。おそらく、24年秋登場の新型iPhoneでも利用できるはずです(画像は筆者YouTubeチャンネルより)
衛星通信デモの実施方法
それでは、実際に「衛星経由の緊急SOS」のデモの試し方を紹介しましょう。今回は実験のために、事前にSIMカードを抜いてWi-Fiをオフにしています。
まずは、iPhoneの設定を開いて「緊急SOS」をタップ。次に画面を下までスクロールさせます。すると、「衛星経由の緊急SOS」の項目に「デモを試す」が表示されますので、これを押すとデモを試すことができます。デモでは、実際に「緊急SOS」にはつながりませんが、衛星を実際に捕まえて通信することができます。
また、画面の少し上に「緊急連絡先」がありますが、この情報も緊急SOSで発信できますので、ここの設定も忘れずに行ってください。その下に「“ヘルスケア”で緊急連絡先を編集」がありますので、必ず事前に設定しておきましょう。ちなみに、私は家族の電話番号を設定しました。

iPhoneの設定で「緊急SOS」をタップ(上写真)。画面を下にスクロールさせ「衛星経由の緊急SOS」の「デモを試す」を押すと、デモを試すことができます(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)

「緊急連絡先」の設定も行ってください。その下にある「“ヘルスケア”で緊急連絡先を編集」で事前に家族の電話番号などを設定しておけばOKです(画像は筆者YouTubeチャンネルより)
実際に「デモを試す」を押してみましょう。すると、「衛星通信接続について」画面が表示され、「電話がつながらないような緊急時に、iPhoneが衛星通信接続を開始します」という説明があります。ここで「次へ」を押して実際に通信を始めると、いくつかの質問が表示されますので、該当するものをタップしましょう。
たとえば、「怪我はしているか?」とか「助ける人は何人いるか?」「自分だけか?」そういった質問に答えてください。回答して「次へ」を押すと、実際に衛星と通信します。これを試すときに注意して欲しいのは、モバイルデータ通信が完全に切れていることです。
実際に「衛星通信接続をテストする」を押してみましょう。すると「モバイル通信を一時的にオフにしますか?」と表示されるので、「オフにする」をタップします。これで「空が妨げられずに見える場所に移動してください」と表示されるので、実際に屋外に出てみましょう。
「衛星経由の緊急SOS」のデモを試す手順

「デモを試す」を押すと「衛星通信接続について」が表示されるので「次へ」をタップ(上写真)続いて、いくつかの質問に答えて「次へ」を押しましょう(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)

「衛星通信接続をテストする」を押します(上写真)。すると「モバイル通信を一時的にオフにしますか?」と表示されるので「オフにする」をタップしましょう(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)

画面に「空が妨げられずに見える場所に移動してください」と表示されたら、実際に屋外に出てテストしてみてください(画像は筆者YouTubeチャンネルより)
屋外に出たら画面上の「衛星」マークにiPhoneを向けましょう。実際にやってみれば意外と探しやすいと思います。
正しく衛星の方向に向けると緑色になって、データ通信が始まります。通常のデータ通信なら一瞬で送れますが、衛星通信なので送信にはかなり時間がかかります。送信後も返信が来たりするので、その間はずっと衛星のある方向にiPhoneを向けておく必要があります。しかも、衛星自体は常に動いているので、同じ位置をキープしていると、データ送信が途切れたりしますのでご注意ください。
少しずつ、iPhoneを衛星の方向に動かしながらやり取りをしていくことを頭に入れておきましょう。もちろん、建物の屋根の下などに行くとすぐにデータ通信が途切れてしまいますので、緊急時には必ず空が見える開けたところで行うほうがいいと思います。
実際に屋外で衛星通信を行う手順

衛星は画面上の衛星マークのところに向ければOKです(上写真)。衛星をキャッチすると緑色に変わって「通信中」と表示されます(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)

衛星は常に動いているので、データ通信が途切れたときは、衛星を探し直します(上写真)。また、屋根の下などに移動すると「送受信できません」と表示されてしまいます(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)
衛星経由通信で実際に緊急SOSを使う方法
それでは、衛星通信のデモが終わったところで、実際に圏外の状態から衛星通信を行う方法を紹介しましょう。
まず、iPhoneの電源を落とします。iPhone 15は「サイドボタン」と「音量上」ボタンを同時に長押しすると電源を落とせますが、このとき画面に「SOS 緊急電話」が表示されるので、これを使っても衛星通信が利用できます。
「SOS 緊急電話」から衛星通信を行う手順

iPhone 15の場合は「サイドボタン」と「音量上」ボタンを同時に長押しして電源を落とせます(上写真)。このとき画面に表示される「SOS 緊急電話」を使ってもOKです(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)
次の方法は110(警察)や118(海上保安庁)、119(消防・救急)に電話する方法です。
もちろん、圏外なので110番や119番などには電話がつながりませんが、このとき画面には「接続していません。衛星経由で緊急テキストの送信を試してください」と表示されます。この場合は画面左下の「緊急テキスト」が表示されていますので、ここを押して実際に衛星通信を行うことができます。
あとは、デモで表示されたときの選択肢を選ぶことで、衛星通信経由で緊急SOSを発信して助けを求めることが可能になるのです。
110番や119番などから衛星通信を行う手順

110番や118番、119番に電話しても圏外なので、電話することはできません(上写真)。しかし、このとき画面には「接続していません。衛星経由で緊急テキストの送信を試してください」と表示されます(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)

画面左下の「緊急テキスト」をタップすると(上写真)、選択肢が表示されて、衛星経由で緊急SOSを発信できます(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)
この方法は、家族全員で共有したほうがいいと思います。私も家族には「今日絶対にiPhoneをアップデートしてね」と言ってありますし、万一、何が起こったとき、このような方法で緊急通報できることを知っているかどうかは重要ですよね。
衛星経由通信のもうひとつの機能紹介(設定必須)
iPhoneの衛星通信ですが、実は緊急SOSを発信する以外の使い道があるんです。それは、圏外の状態でも自分の現在地を発信できること。これには「探す」アプリを使いますが、事前に少し設定が必要になるので、その方法も紹介しておきましょう。
まず「探す」アプリを起動したら、画面右下にある「自分」をタップ。次に、自分の情報が表示されるので、画面下の情報部分を上にスワイプしましょう。すると、真ん中に「衛星経由の位置情報」が表示されます。写真では「使用不可」になっていますが、これは、SIMカードを挿していないためです。
実際に、iPhoneにSIMカードが挿入されている状態で圏外になったときには使用可能になるんですね。緊急事態になったら110番や119番に電話するのも大切なんですが、万一遭難したときはバッテリーがあるうちに、とりあえず自分の現在地を家族などと共有しておくのも大事なことです。
衛星経由で自分の現在地を送信する手順

まず「探す」アプリを起動したら(上写真)、画面右下にある「自分」をタップします(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)

次に、画面下に自分の情報が表示されるので、上にスワイプしましょう(上写真)。すると、真ん中に「衛星経由の位置情報」が表示されます(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)
iPhoneの衛星通信で現在地を共有するには、事前に設定を行っておく必要があります。その方法は、「探す」アプリの自分のタブを表示して、「このiPhoneを自分の位置情報に使用」ボタンを押しておくこと。ネットに接続できるオンライン状態で、必ずこのボタンを押すようにしてください。
実際に押してみると、デバイスのところに「このiPhone」もしくは「Apple Watch」を使うと表示されます。この状態になっていれば、「探す」アプリで自分の位置情報が衛星経由で共有できますので、ぜひ覚えておいてください。
「探す」アプリの設定を行う手順

「探す」アプリの自分のタブを表示して、「このiPhoneを自分の位置情報に使用」ボタンを押します(上写真)。すると、「このiPhone」もしくは「Apple Watch」を使うと表示されます。これで衛星経由で位置情報を共有できますよ(下写真)(画像は筆者YouTubeチャンネルより)
まとめ
いかがでしょうか? 日本ではようやくiOS 17.6以降で使えるようになった「衛星経由の緊急SOS」サービスですが、今回はデモのやり方や実際の使い方などを紹介しました。
また、衛星経由で自分の位置情報を家族などと共有することも可能ですので、事前に設定しておきましょう。実際に、この機能で命が助かった人が世界中に大勢いるので、自分だけでなくぜひ家族にも伝えてください。iPhoneで自分や家族、大切な人の命を守っていきましょう。