関西における演劇・戯曲創作を支援する関西発信の戯曲賞として全国的にも注目を集めている「OMS戯曲賞」(大阪ガスネットワーク・大阪市)。その2022年第29回で大賞を受賞した、山脇立嗣氏の『わたしのこえがきこえますか』が9月4日(木)~8日(月)の期間、東京・豊島区のシアターグリーン BASE THEATERで上演される。

チーム・クレセントが主催。

 1948年~1996年まで続いた「旧優生保護法」では、精神障がいや知的障がいなどを理由に、本人の同意がなくても強制的に不妊手術を行うことを認めていた。親の障害や疾患がそのまま子どもに遺伝すると考えられていた当時。その目的は、「不良な子孫の出生を防止すること」と定められていた。2024年7月、政府はこの旧優生保護法をめぐる裁判の原告らと面会し、謝罪。そして、今も審理が続いている全ての裁判で、賠償を求める権利がなくなる「除斥期間」適用の主張を撤回し、和解による速やかな解決を目指す方針を表明した。

 「わたしのこえがきこえますか」は、まだ手話が「手真似」だとからかわれた時代の、とある家族の愛の物語。緊急事態宣言に向けて動きだした2020年3月、老夫婦は世の中の騒動を横目に亡き娘の13回忌の準備で慌ただしい。ふと、母親の記憶が1966年のある日にさかのぼる。それは、耳の聞こえないわが娘・和美が身ごもったと聞かされた日。和美の気持ちを両親に伝えたのは同じ手話研究会に通う看護婦の清原だった。父親の強い反対を押し切り、和美は必死に「産みたい」と訴えるが――。

 上演を通して、多くの人にろう者の歴史に触れてもらいたいとの願いが込められている。また、11月に東京で開催される「東京2025デフリンピック」(国際ろう者スポーツ委員会)に向けて、共生社会実現の一助となることも目指している。

 チケット料金は、一般5000円、高校生以下3500円(予約制で障害者割引あり)。字幕によるタブレット貸し出しもある(1ステージ2台限定・要予約)。※希望者には台本付与あり(8月21日までに要予約)。車椅子での入場可(要予約)。未就学児の入場は不可。

 9月7日(日)12時30分からと16時からの公演は、舞台手話通訳付き。8日(月)12時30分からと16時からの公演は、ライブ配信を行う。上演時間1時間45分、休憩なし(予定)。開場は各開演の30分前。各日の上演予定や出演者情報、チケット購入方法など詳細は、公式ホームページに掲載している。

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