日本が超高齢社会を迎える中、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を延ばすことは、国も推進する重要な社会課題となっている。そのような背景の中、ミツバチ産品の有用性の研究に取り組み、予防医学やアピセラピー(ミツバチが生み出す製品を活用する代替療法)の観点から人々の健康を支えることを理念としている「山田養蜂場」(岡山県鏡野町)は、このほど、全国の30歳以上の男女2861人(山田養蜂場の通販会員)を対象に、「シニアの健康意識調査2025」を行った。

■コロナ禍の自粛が明け、外出や運動が増加

 この調査は2019年にスタートし、今回は7月10日~18日にかけて実施。コロナ自粛明け初の調査となった。前回実施したコロナ渦の2021年の調査結果と比較すると、健康への悩みを持つ人の割合が減少傾向。コロナ自粛が明けて数年経ったことで、外出増加等の生活習慣の変化が影響していることがうかがえた。一方で、コロナ感染後の認知機能低下や、「ブレインフォグ」と呼ばれる後遺症などが、若年層も含む新たな社会的不安として増加していることが浮かび上がった。

 シニア世代の健康習慣については、60代以上の50%以上が、健康のために「規則正しい生活」や「栄養バランス」「自分でできる運動」などを心掛けていた。前回調査時と比べ、運動を行う人も増えていた。

 認知機能への悩みを持つ人の割合は、前回調査時は、2人に1人の割合だったが、今回は25.7%と4人に1人で減少傾向。コロナ前後の行動変容による影響があることがうかがえた。

 一方で、将来の健康不安については、60代以上の60.2%が「物忘れ・認知機能の低下」に不安を感じており、その他疾病と比較しても高かった。また、40~50代でも60.6%が「物忘れ・認知機能の低下」を挙げた。

 認知機能対策としては、どの年代でも「趣味の活動を楽しむ」人が多かった。

近年の「ブレインケア」という概念で、いわゆる“脳トレ”以外での認知機能対策への取り組みが拡大していた。認知機能対策としてのサプリメント飲用割合は、40~50代で7.9%、60歳以上で10.6%。早期対策を講じる人もいる中、「何も対策をしていない」人も40~50代で34.6%、60歳以上で14.2%と一定数いた。「何をしたらよいかわからない」という人も多かった。

■40~50代の認知機能への関心が増加

 今回の調査結果によると、2021年から2025年にかけて、シニアの「認知機能への不安」は依然として強いままだが、健康維持行動は「受動的」から「積極的」へとシフト。特に運動習慣の増加は顕著で、社会環境の変化や健康意識の高まりが影響していると、同社は見ている。

 また、40~50代においては、認知機能への関心の高まりが浮かび上がった。同社は、近年の認知症患者数の増加傾向を背景に、自分ごとの課題として捉える意識変化が進んでいること、さらに、ビジネスパーソンの間では、仕事のパフォーマンス向上を目的とした「ブレインケア」という発想も少しずつ広がりつつあると見ている。 

 一方で、認知機能対策については「何をすれば良いか分からない」という課題が続いており、今後は「具体的で分かりやすい行動提案」や「取り入れやすい素材や方法の普及」が求められているようだ。

■専門家「定期的な運動・質の良い睡眠・バランスの取れた食事を心がけて」

 今回の調査結果を受けて、医療法人社団TLC 医療会 ブレインケアクリニック名誉院長、一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長の今野裕之氏は、「コロナ禍に比べると、行動制限によるストレスが軽減され、運動やコミュニケーションなど、認知症予防に役立つ生活習慣に積極的に取り組む人が増えてきた。実際、最新発表されたデータでは、認知症患者数は過去に推計された数字を下回っている」と解説。一方で、「新型コロナウイルスの罹患(りかん)後などに、『どうも頭がすっきりしない』『集中力が続かない』といった、いわゆる“ブレインフォグ”と呼ばれる後遺症状を訴える方が増えている。

これは、頭にモヤがかかったように思考がぼんやりしたり、強い眠気を感じたりする状態で、日常生活に支障をきたすことも少なくない。認知機能の低下が高齢者ばかりでなく、若年層にも増えてきている印象がある」と指摘している。

 今野氏は、「年代を問わず、脳の健康を守り認知症を防ぐためには、定期的な運動・質の良い睡眠・バランスの取れた食事などを心がけていくことが何よりも大切」とし、忙しい人にはサプリメントの活用も有効と提案。近年、認知症予防として注目されているDHAやイチョウ葉のほか、山田養蜂場が提供するプロポリスの健康への効果への期待なども挙げている。

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