【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、『別冊少年チャンピオン』で連載中の同名人気漫画の実写映画化『ババンババンバンバンパイア』(2025年7月4日公開)です。
映画『国宝』での演技が大絶賛されている吉沢亮主演の超コメディー映画。試写で鑑賞しましたが、もう最高!でした。

では、物語から。

【物語】
銭湯で働く森蘭丸(吉沢亮さん)の正体は450歳のバンパイア。「18歳ピュアの血」を求めて銭湯のひとり息子・李仁(板垣李光人さん)の純潔を守る日々を過ごします。

そんなある日、李仁がクラスメイトの葵(原菜乃華さん)にひと目惚れをして蘭丸は大焦り! 李仁の初恋阻止作戦を企むけれど、なんと葵はバンパイアオタクで、蘭丸に恋をしてしまうのです……。

【吉沢亮の真の演技力が炸裂する!】
映画『国宝』のために、1年以上かけて歌舞伎の芸を習得し、素晴らしい演技で映画を大ヒットに導いた吉沢亮さん。しかし今作では、バンパイア役として振り切ったコミカルな芝居を披露。それはまさに “ザ・吉沢亮ショー!”。

李仁を見つめる愛おしそうな表情に李仁の可愛さに思わず雄叫びをあげる姿、初恋喪失の危機に焦りまくる顔、バンパイアハンター(満島真之介さん)や蘭丸の兄・森長可(眞栄田郷敦さん)との本格的なアクション、黒いマントを翻して颯爽と登場するかっこよさ&李仁にメロメロになる可愛さ。

その振り切ったお芝居には、吉沢亮さんの魅力がパンパンに詰まっています。

『ぼくが生きてる、ふたつの世界』や『国宝』などシリアスな作品が続いた吉沢さんですが、この主演作は年齢問わずに楽しめるエンターテインメント作品。


コメディ演技は間の取り方ひとつで、おもしろいはずのセリフがおもしろくなくなってしまい演じるのが難しいのですが、吉沢亮さんは見事にバンパイアの森蘭丸に憑依して次々と爆笑シーンを叩き出しています。さすが! 彼のシーンはすべて見どころと言っても過言ではありません!

【豪華キャストが大真面目に笑いを追求!】
本作は吉沢さん以外のキャスティングもバチっとハマりました。李仁を演じる板垣李光人さんは、原作者・奥嶋ひろまささんが板垣さんをイメージして李仁というキャラを作っただけあって、もうまんまハマり役。「森さ~ん」と蘭丸を呼ぶときの可愛らしさに注目です!

蘭丸にボコボコにされてから、なぜか舎弟のようになるフランケンを演じる関口メンディさん、李仁が恋する美少女・葵を演じる原菜乃華さんなど、原作のイメージを再現できる俳優をキャスティングできたのも良かった!

蘭丸兄を演じる眞栄田郷敦さんのラスボス的な強さもカッコよかったのですが、意外にも原作から飛び出してきたようだと思ったのは、李仁のおじいちゃんを演じる笹野高史さん! 少々ボケ気味?と思いつつ、意味深なセリフでドキッとさせるんですよ~。

スタッフが全力で笑いを追求して、キャスト全員が振り切って演じ切っているからこそ、原作のぶっ飛んだ魅力がスクリーンで炸裂しているのだと思います。『国宝』と『ババンババンバンバンパイア』をハシゴ鑑賞して、吉沢亮の魅力にどっぷりハマる夏もいいのではないでしょうか。

執筆:斎藤 香(C)Pouch
Photo:©2025「ババンババンバンバンパイア」製作委員会
©奥嶋ひろまさ(秋田書店)2022

『ババンババンバンバンパイア』
2025年7月4日(金)より全国ロードショー
■監督:浜崎慎治
■原作:奥嶋ひろまさ『ババンババンバンバンパイア』(秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載)
■出演:吉沢亮
板垣李光人
原菜乃華 関口メンディー/満島真之介
堤真一
音尾琢真  映美くらら
笹野高史
眞栄田郷敦

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