いまや日本の夏=灼熱地獄といっても過言ではありませんが、日陰に入ると少し涼しく感じますよね。
でもね、ある調査によれば日陰には「いい日陰」と「そうでない日陰」があるというんです。
夏の外出に備えて、どんな日影が「いい日陰」なのか覚えておくといいかもしれません。
【日陰によってもこんなに差がある】
サントリー×ウェザーマップがおこなった共同検証実験によると、地面の照り返しがある場合、大人と子どもでは体感温度が異なるみたい。
その差はなんと「子どもの高さで計測した温度=+7℃程度」! 大人よりも背が低い子どもの場合、熱中症リスクが高まることが推測されます。
この結果を踏まえて、子どもたちのリスクを減らすべく「いい日陰」検証を実施。公園内のさまざまな「日陰」の暑さ指数(WBGT)を子どもの胸の高さ=地面から80cmで測定・比較してみると……?
①広場中央の日向:危険(31.2℃)
②遊具の下の小さな日陰:厳重警戒(29.9℃)
③芝生のそばの木陰:厳重警戒(28.3℃)
④建物のそばの木陰:警戒(27.5℃)
⑤大きなイチョウの木陰:警戒(27.0℃)
※危険・厳重警戒・警戒=日本生気象学会による「日常生活における熱中症予防指針Ver.4」参照
※()内は暑さ指数
ご覧のとおり、①「広場中央の日向」と⑤「大きなイチョウの木陰」では4.2℃もの差が。なぜ⑤の温度が低いのかというと、
・樹高の高いイチョウが大きな濃い日陰を長時間保ち続ける
・周囲に広がる植物の蒸散効果(葉から水分が蒸発する気化熱で周囲の空気や植物自体の温度を下げる)
といった理由が考えられるそうです。ひと口に日陰と言っても、条件によって良し悪しがあるのね……!
【いい日陰のキーワード「夏の『お・か・し』」】
熱中症のリスクを下げる、いい日陰のキーワードは「夏の『お・か・し』」です。
①「お」:おおきいひかげ
②「か」:かぜがとおる
③「し」:しぜんのちかく
武蔵野大学工学部サステナビリティ学科 教授であり、まちなかの日陰・暑さの専門家である三坂育正(みさか いくせい)先生によれば、屋外では日陰に逃げることが熱中症対策の第1歩、とのこと。体感温度を下げるためには、
・直射日光をしっかりと防ぐことができる日陰
・日陰をつくる素材や地面の表面温度が低い場所
→植栽による木陰、木陰を人工的に再現した日よけ、地面が芝生などの植物(地面を手で触って熱くない)
といった環境を選ぶことが大切なんですって。
日陰がない場合は、日傘やテントなどの身近なアイテムを活用しましょう。日傘を新調するなら、日射の遮蔽率の高い材質を選び、体全体が日陰に入るような使い方を心がけてみてください。
参照元:サントリー、ウェザーマップ、プレスリリース(1)(2)
執筆:田端あんじ (c)Pouch
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