【最新公開シネマ批評】映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、アナ・デ・アルマスさん主演映画『バレリーナ:The World of John Wick』(2025年8月22日公開)です。
キアヌ・リーブス主演作『ジョン・ウィック』シリーズのスピンオフで、時代としてはシリーズ3作目『ジョン・ウィック:パラベラム』と4作目『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の間に位置する作品だそう。

試写で鑑賞しましたが、映画の80%アクションシーンですごすぎました! では、物語から。

【物語】
少女のころに父親を殺されたイブ(アナ・デ・アルマスさん)は、父の友人だという男性にある組織を紹介されます。

そこは暗殺者とバレリーナを養成する組織:ルスカ・ロマ。12年後、イブはメキメキと頭角を表し、最終テストも合格。立派な暗殺者になる!はずだったのですが、彼女は組織に縛られることなく、父親を殺した者への復讐に燃えていたのです。

【美麗なアクションに感服】
『ジョン・ウィック』シリーズと言えば、毎回アクション祭りでスカッとさせてくれるのがお約束。

しかし、これまでは男と男の肉弾戦&銃撃戦で盛り上げてきたシリーズですが、本作はスピンオフであり、主人公のイブを演じるのは超美女のアナ・デ・アルマスさん。お色気が加わるのかしら?と思いながら観たら、ジョン・ウィックに負けないアクション祭り!

とはいえ、アクションの質は男女の違いも感じられました。

ジョン・ウィックはパワーがありましたが、イブのアクションはスピードと美が特徴で、細く長い足から繰り出されるキックの華麗さ! 彼女のアクションは型がしなやかで美しいんですよね。また絶対に「女を武器にしない」という強い意志を感じさせつつ、相手より小柄な女性だからこそできる小回りのきく素早い動きで攻撃に転じる姿は本当にかっこよかったです! 憧れるわ~。

【バレエアクションを期待してた…】
とはいえ、「バレリーナ」という設定が活かされていないと感じる残念なところもありました。
ずっとアクションで押し通す『ジョン・ウィック』シリーズの良さはあったのですが、なんだかユーモアが足りないんです。

イブは組織で育てられ、暗殺者の訓練を受けながらバレエのレッスンもするんです。しかし、つま先を血まみれにしながら回り続ける姿が見られるのは最初だけでした。

てっきりバレエのキラキラ衣装で爆裂アクションを見せてくれたり、アラベスク風キックとかあったりするのかなと思っていたのですが、そういう遊び心はまったく用意されていなくて、硬派なアクション映画に徹していました。もっとバレエとアクションを絡めてほしかったというのが正直な感想。クスクスっと笑えるシーンもあったらよかったのに~。

【好きなアクションシーンを見つけて!】
個人的に好きなのはレストランでの格闘シーン。イブ VS レストランスタッフのお皿を使った殴り合い! 至近距離で座ったまま皿投げ合って、割りまくって「あんたたち、何やってるの」みたいな。あのシーンは大好きです。

スピンオフでありながらも続編もありそうな気配濃厚。この機会にスクリーンで、アナ・デ・アルマスさんの美しい回し蹴りを受けてきてくださいっ!

執筆:斎藤 香(C)Pouch
Photo:®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『バレリーナ:The World of John Wick』
2025年8月22日(金)より全国ロードショー
監督:レン・ワイズマン(『ダイ・ハード4.0』)
製作:チャド・スタエルスキ(『ジョン・ウィック』シリーズ)
配給:キノフィルムズ
出演:アナ・デ・アルマス アンジェリカ・ヒューストン ガブリエル・バーン ノーマン・リーダス イアン・マクシェーン キアヌ・リーブスほか

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