■10万円以上使う覚悟を決めた人も…
11月後半は、ECサイトや実店舗が「ブラックフライデー」一色になる季節。つい「お得」の文字に惹かれて買ってしまう――そんな経験はありませんか。
くふう生活者総合研究所の調査によると、ブラックフライデーの認知度は95.5%と非常に高く、予算は「1万~3万円未満」と答えた人が35.5%と最多です。「5万~10万円未満」「10万円以上」も計8.3%おり、つい財布のヒモが緩んでしまう時期かもしれません。
このような大型セールで同じ金額を使ったとしても、得する人と損する人がいます。その違いは、始まる前のひと手間にあります。購買心理と事前準備の両面から、衝動買いを防ぎ、満足のいく買い方を一緒に考えていきましょう。
■セールに弱いのは「性格」ではなく「本能」
「残り3点」「本日限定」「タイムセール」
こんな言葉を見ただけで、「今すぐ買わなきゃ」という気持ちになりますよね。これは意思が弱いからではなく、脳の本能が働いているためです。
私たちは「損をしたくない」と感じた瞬間、取り残される不安や焦りを覚えます。その結果、「いま買わなければ」「限定だからすぐになくなるかも」と感情が先に動いてしまうのです。
さらに「人気No.1」「いま◯人がカートに入れています」といった表示にも要注意です。「みんなが買っているなら間違いない」と感じてしまい、必要かどうかを冷静に判断しづらくなります。また割引率が高いほど、お得に買った自分に満足してしまうことも。
このようにセールの舞台は、私たちの脳のクセを巧みに利用した心理戦になっています。だからこそ得する人は、お得に見える理由を見抜ける人です。「これは本当にほしかったもの?」と一呼吸おくだけで、買い物の質と満足度をぐっと上げることができるのです。
■「必要」「ほしい」「迷う」の3つに分類
セールで得をする人は、思いつきではなく、自分の買う基準を持っており、事前に3つの準備をしています。
①ほしいものをリスト化
まずは、セールで買いたいものを思いつくままにリストアップしてみましょう。書き出すだけでも、不思議と買いたい気持ちは落ち着くものです。
頭の中でモヤモヤしていたものを見える化することで、脳が「とりあえず整理できた」と安心するためです。また「自分が状況を把握できている」と自己効力感を高めてくれます。
ECサイトでも、たとえばAmazonなら「ほしい物リスト」、楽天市場なら「お気に入り」に登録することで、簡単にリスト化できます。
次に、リストの商品を「必要」「ほしい」「迷う」の3つに分類してみましょう。「今すぐ必要かな?」「似たようなものを持っていない?」と冷静な視点が戻ってきます。さらに、ほしいものに優先順位をつけておくと、衝動買いを最小限に抑えることができます。迷うものは一番優先順位が低いものです。基本的には買わない、または予算に余裕があれば検討する程度にとどめましょう。
■「合計金額の上限」を先に決めておく
②相場をチェック
セール前の価格を調べておくのも大切です。ほしいものリストに価格を書いておくと便利ですね。どこまで安くなれば買うのか基準を決めておくと、衝動買いを防げます。
セール当日も通常価格が併記してあるからいいやと思うかもしれませんが、割引率に目を奪われて、冷静さを失ってしまいがちです。あらかじめ相場を知っておけば、感情に流されず、ゆとりを持って選べるようになります。
③使える金額を決めておく
ほしいものと相場が見えたら、最後に予算の上限を決めましょう。支出は日常生活費の範囲なのか、それともごほうび枠なのかを明確にしておくとよいですね。
買い物上手は、たくさん買う人ではなく、限られた予算の中で満足を最大化できる人なのです。事前準備をしている人としていない人では、セール当日の結果がまったく違ってきます。
■「これ欲しい!」は6~12時間で落ち着く
セール当日は、独特の高揚感がありますよね。楽しむことも大切ですが、後悔しない買い物をするために、少しだけ冷静さを保ってみましょう。
ここでは、当日に意識したい3つの行動をご紹介します。
①カートに入れて一晩寝かせる
まず、ほしいものリストの中から「必要」とした商品だけをカートに入れましょう。次に「ほしい」ものは、予算の範囲内で優先順位の高い順に入れていきます。合計が予算内に収まっていれば、そのまま購入しても構いません。ただ予算オーバーの時には注意が必要です。優先順位の低い順から削っていきましょう。
この時点で、思いがけず良い商品を見つけることもあるでしょう。
購買欲のピークは6~12時間で自然に落ち着くと言われています。次の日になっても「やっぱりほしい」と思えるものなら、後悔しない買い物になるはずです。予算と見比べながら購入しましょう。
■家の中が物だらけになるのを防ぐルール
②1つ買ったら1つ手放す
買い物上手な人ほど、増やす前に減らす習慣を持っています。新しいものを1つ買うなら、今あるものを1つ手放しましょう。例えば、服を1着買ったら、古くなった服を1着処分する。このシンプルなルールを守るだけで、クローゼットがパンパンになるのを防げます。
持ち物を少し見直してみると、次の買い物にも自然と慎重になり、今あるものを生かす発想が生まれます。
③家族・友人に見せてから買う
自分1人で判断に迷うときは、家族や友人に聞いてみましょう。「これ買おうと思うけど、どう思う?」と聞くだけで、衝動買いの欲求が落ち着くことがあります。「それ、前に買ったのと似てない?」など客観的な意見を聞けるかもしれません。
最終的に決めるのは自分だからこそ、少し見方を変えると、より気持ちのいい選択ができるのです。
このように買い物は、ただモノを買うだけの行動ではありません。「焦らず、比べて、手放す」その小さな積み重ねが、心地よいお金の使い方につながっていくのです。
■「買わなかった後悔」を減らすには
買いたい衝動を抑えられるのはよいことですが、あとで「やっぱり買っておけばよかった」と後悔することもありますよね。
世の中は商品であふれています。似たような物が並ぶと、比べるだけで時間とエネルギーを消耗してしまいます。迷うのは、それだけ真剣に選ぼうとしている証拠です。どれを選んでも正解があるわけではありません。だからこそ「迷うほど慎重に考えた」こと自体が、心にも家計にもやさしい行動だったと考えましょう。
また、セールで浮いたお金は、未来の自分へのちょっとしたごほうびにしてみましょう。例えば、浮いた1万円を「お楽しみ口座」に入れておいたり、NISAなどで少しずつ育てていくのもいいですね。その小さな積み重ねが、次の旅行や新しい体験につながっていきます。
「買う楽しみ」を「育てる楽しみ」に変えられれば、お金とのつき合い方も、ぐっと前向きになります。
■賢い人は安さではなく満足感で選ぶ
ブラックフライデーは、衝動買いを我慢する日ではなく、「自分のお金とのつき合い方」を見直すチャンスです。
得する人は、安さではなく満足度で選べる人。1週間前から心と家計の準備をしておけば、セール後も満足感が長く続く心地よいイベントになるでしょう。
ブラックフライデーが終わっても、年末セール、新年セール……と次々と新しいセールはやってきます。一度自分の基準を持てた人は、もう価格に振り回されません。買うことを楽しみながら、暮らすことを大切にできるようになるのです。
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上原 千華子(うえはら・ちかこ)
金融教育家
金融教育家。欧米投資銀行勤務歴17年、個人投資家歴26年。証券外務員一種、最新の心理学NLPを使ったマネークリニック®認定トレーナー。2018年、ウェルス・マインド・アプローチ創業。資産運用講座を実施し、2022年より「3ヶ月マネー実践講座」を提供開始。ライフプランから資産運用までマンツーマン指導。著書に『「お金の不安」をやわらげる科学的な方法 ファイナンシャル・セラピー』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。
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(金融教育家 上原 千華子)

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