※本稿は、八木雅之『老けない食べ方の新常識』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■なぜ「トンカツにはキャベツ」が添えられているのか
カルボナーラやサーロインステーキ、ミックスピザ、カツカレー、グラタンや焼きおにぎり、揚げ物などは一般にAGEsが多く、「食べないほうがいい」という専門家もいます。
しかし、私たちの体は、食事から害となるものをとり込まず、万が一摂取しても、排出しようとするしくみを持っています。過度に心配する必要はありません。
最近の研究では、不溶性の食物繊維には、食品中のAGEsを吸着する作用があることがわかってきました。不溶性の食物繊維は、ゴボウやほうれん草、ニンジン、ブロッコリー、カボチャ(皮つき)、そしてキャベツなどに豊富です。これらの野菜を食べておけば、食品中のAGEsはますます気にする必要はなくなります。
しかも興味深いことに、不溶性の食物繊維は、AGEsの仲間でありながら体によい働きをするメラノイジンは吸着しにくいことがわかりました。
そう考えると、トンカツにキャベツを添えるという組み合わせは、じつに理に適った食べ方です。揚げ物にはAGEsが含まれますが、キャベツを一緒にとることで、不溶性食物繊維がAGEsを腸内で吸着し、便として排出してくれるのです。
■キャベツは揚げ物を食べる際の「いいとこどり」を可能にする
さらに、キャベツにはビタミンUという特有の成分が含まれています。ビタミンUは、胃腸薬で有名な「キャベジン」の有効成分でもあります。
とはいえ、胃もたれは必ずしも悪い症状ではありません。胃に食べ物が長くとどまれば、その分、糖の吸収が緩やかになって、血糖値の急上昇を抑えられるからです。
結果、胃もたれが起こっているときにはアルデヒドスパークが起こりにくいのです。
しかし、胃もたれはつらいもの。そこでキャベツを添えると、胃もたれの不快感を和らげながら、食物繊維の働きで糖の吸収はさらに緩やかにできます。キャベツは揚げ物を食べる際の「いいとこどり」を可能にしてくれる野菜なのです。
■スーパーで買える「レタスそっくり」な栄養豊富野菜
私たちは、スーパーマーケットなどで販売されている市販の食品を買い集め、それぞれの食品の抗糖化作用を調査しています。この研究は2011年から始め、現在、500種類以上の食品を検証してきました。
その結果、わかったことは、糖化ケアは特別なものでなく、身近な素材で無理なく行なえる、ということです。「糖化予防にはこれが効く!」という宣伝文句をよく見かけますが、特殊な成分、高価な食品である必要はありません。
たとえば、スーパーで並んでいる食品でも、選び方一つで抗糖化力は違ってきます。
ポイントの一つは、ポリフェノールが豊富であること。ポリフェノールは、色味、苦味、渋味、香りの成分です。つまり、これらが強いものを選ぶとよいのです。
たとえば、身近な野菜ではレタス。一般的な玉状のレタス(玉レタスとも)とサニーレタス、どちらがポリフェノールが豊富でしょうか。
■サラダはサニーレタスをベースにするといい
答えは、サニーレタス。葉の赤紫色の部分には、ポリフェノールの一種である「アントシアニン」が含まれています。アントシアニンは、抗糖化作用と抗酸化作用の両方に優れているうえ、抗炎症作用、血管保護作用、視機能改善、血糖値のコントロールなどの健康作用が期待できます。
こうした作用をしっかりと得たいならば、棚に並ぶサニーレタスの中から紫色の濃いものを選ぶようにしましょう。
ちなみに、サニーレタスの抗糖化作用は優秀です。私たちが検証した211種類の野菜・ハーブの中で、抗糖化力は上から11番目でした。
健康のためにサラダを毎日食べている、という人はサニーレタスをベースに使うといいでしょう。
なお、私たちの調査ではキク科の野菜に抗糖化作用が高いことがわかりました。たとえば、サニーレタスや玉レタスのほか、春菊、ヨモギ、ゴボウなどです。
これらの野菜を選んで食べることも、老化と病気を防いでいくうえで賢い選択といえるでしょう。
■気づかずに捨てている「栄養満点」の野菜の部分
調理のとき、無意識に切り落としてしまっている野菜の一部が、じつは最も抗糖化作用に優れている……そんなことがよくあります。
たとえば、セロリ。独特の香りとシャキシャキとした食感が魅力の野菜ですが、葉の部分は捨ててしまうという人も少なくないでしょう。ところがセロリは、茎以上に葉の部分こそが抗糖化作用が高いことが、私たちの研究でわかりました。
ですからセロリは、葉が多くついているものを買ってきて、残さず食べることが老化予防に役立ちます。セロリの葉は香味野菜としても優れていますから、炒め物に加えたり、肉や魚のソテーに添えたりすると、料理がとてもおいしくなります。
同じようなことがナスにも当てはまります。ナスも、抗糖化作用の高い野菜です。その働きは色の濃い皮の部分にあります。米ナスで調査したところ、皮をむいた米ナスより、皮のある米ナスのほうが、抗糖化作用ははるかに優れていました。
■キャベツ・レタスの外葉を捨てるのはもったいない
まだまだ他にもあります。大根の葉やブロッコリーの茎など、普段なら捨ててしまいがちな部位に、多くのポリフェノールが含まれています。
これはなぜでしょうか。ポリフェノールが葉や皮など、外側の部分に多く含まれているのは、その色素が紫外線から身を守る防御成分だからです。また、苦味や渋味、香りによって、病原菌や虫から自己防衛しているのです。
つまり、ポリフェノールは植物にとって、紫外線や害虫から身を守るための「天然の防具」。だからこそ、私たちが捨ててしまいがちな外側の葉や皮に、ポリフェノールが多く詰まっているのです。
よく、キャベツやレタスの外葉を豪快に捨ててしまう人がいます。
しかし、緑の最も濃い外葉にこそ、ポリフェノールが豊富。ここを捨ててしまうのは、老化予防の観点から非常にもったいないことです。
食料資源のSDGsからも農産物は有効利用したいところ。「捨てる」という選択をする前に、「老化予防に活かす」ことを考えてみてください。
----------
八木 雅之(やぎ・まさゆき)
同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センター客員教授、農学博士
京都生まれ。京都工芸繊維大学繊維学部卒業、同大学院修士課程修了。1989年、京都府立大学大学院農学研究科博士課程修了。日本抗加齢医学会評議員、糖化ストレス研究会理事。糖化アミノ酸分解酵素を用いたグリコヘモグロビン測定系や、抗糖化作用をもつハーブ素材の開発などに従事。糖化ストレスに関する基礎研究から応用研究まで一貫して取り組む。2011年より現職。
----------
(同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センター客員教授、農学博士 八木 雅之)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
