※本稿は、竹中啓貴・荒井匡史『「いつの間にか富裕層」の正体 普通に働き、豊かに暮らす、新しい富裕層』(日経BP)の一部を再編集したものです。
■50歳前後で資産1億円以上の「富裕層」に
「いつの間にか富裕層」に続き、近年富裕層市場で存在感が増している2つ目のセグメントはフローリッチ型の富裕層である「スーパーパワーファミリー」です。
NRIでは、「スーパーパワーファミリー」を都市部居住で世帯年収3000万円以上の大企業共働き世帯に代表される層と定義しています。
「スーパーパワーファミリー」は、20~30代の間は子育て・教育の支出や住宅ローン支払いに苦労しますが、30代で昇格・昇給を経て世帯年収が2000万円を超え始め、金融資産を積み上げていきます。最終的には世帯年収3000万円に達し、50歳前後には富裕層となる可能性があります。
■「夫婦ともに年収1000万円以上」は7万世帯
「スーパーパワーファミリー」の詳細を掘り下げる前に、世帯の収入の全体像を確認しましょう。
総務省の「令和4年就業構造基本調査」では世帯年収2000万円以上の世帯割合は1.2%、厚生労働省の「令和6年国民生活基礎調査」では世帯所得2000万円以上の世帯割合は1.3%とされています。
いずれも世帯年収2000万円以上を一括りにしており、より細かい内訳は不明ですが、令和6年時点の世帯数は約5500万世帯ですので、世帯年収2000万円以上の世帯は60万~70万世帯程度だと考えられます。
さらに、総務省の「労働力調査」では、配偶者がいる男女について、妻の年収と夫の年収別の人数の数値が公表されています。令和6年時点の数値をもとにすると、夫婦で世帯年収2000万円以上と考えられるのは、夫婦あり世帯(約1630万世帯)の中で約3.3%の55万世帯に上ります。
さらに、夫婦ともに年収1000万円以上の世帯は約7万世帯と、富裕層165万世帯の中では少数派ではあるものの、約5%程度の割合を占めており、徐々に注目を集める存在となってきています。
■この10年であきらかに増えている
地域的な分布に目を向けると、「スーパーパワーファミリー」は大都市圏に集中していると考えられます。
NRIが2022年に実施した「NRI生活者1万人アンケート調査(金融編)」では、世帯年収1500万円以上で、夫婦ともに個人年収が約700万円以上である方はN=29名で、その内の7割にあたる21名が政令指定都市の在住者となっています(※)。
このような「スーパーパワーファミリー」は、近年増加傾向にあります。総務省「労働力調査」のデータについて、10年前の2014年の数値を見ると、当時、夫婦あり世帯(約1400万世帯)のうち、世帯年収が2000万円以上と推定される世帯は約27万世帯で、世帯年収が3000万円近いと推定される世帯は約5万世帯でした。
これらの数値は、2024年時点で世帯年収2000万円世帯は27万世帯から55万世帯に、世帯年収3000万円世帯は5万世帯から11万世帯になっており、10年間でほぼ2倍に増加しています。
なお、総務省の「労働力調査」は、標本調査に基づく推計値であり、当該項目における公表数値は万単位で公表されているため、あくまで概算として捉える必要があります。しかし、この10年で「スーパーパワーファミリー」が増加してきている点は着目に値するでしょう。
※限定的なサンプルの出現数であることに留意。
■子育てしながら共働きするパワーファミリー
「スーパーパワーファミリー」の基本的な属性情報について、統計データやインタビュー結果をもとにご紹介します。世帯年収3000万円以上の層は通常のアンケートではサンプル数が集まりにくいため、より広範な「パワーファミリー(※)」に該当する層の統計情報や、限られたサンプルでの分布状況も加味しつつ、NRIが実施したインタビュー結果を踏まえてご紹介します。
まずは世帯構成ですが、子あり世帯の比率は高いと考えられます。総務省の「労働力調査」をみると、個人年収700万円以上の夫婦世帯(世帯年収1400万円以上)における子あり率は2024年で67%になります。
10年前である2014年当時の子あり比率は57%ですので、この10年間で子あり世帯比率は、10ポイント増加したことになります。働き方改革などの取り組みにより子育てと仕事を両立しやすい就業環境が整ってきたことが原因だと思われます。
※日経クロストレンドでは、「世帯年収1500万円以上・個人年収700万円以上・共働き」をパワーファミリーとして定義しており、ニッセイ基礎研究所では夫婦ともに700万円以上の収入がある夫婦をパワーファミリーと定義している。
■30代後半で管理職になり、大きく年収増
またNRI生活者1万人アンケート調査(金融編)において、世帯年収1500万円以上で、夫婦ともに個人年収が約700万円以上である方はN=29名で、その中で子ありと回答した方はn=20ほど出現しており、同様の傾向が見て取れます。
過去に子どもを持たないDINKSという家族形態が注目を集めましたが、スーパーパワーファミリーは子どもを有しながら豊かな生活を送っているという実態があります。
「スーパーパワーファミリー」は、大手企業に勤める共働き世帯が30代後半で突入し始めるケースが多く、年代分布としては40代、50代が中心であると思われます。夫婦ともに30歳前後で個人年収1000万円(世帯年収2000万円)が見え始め、管理職に登用される30代後半から、個人年収が1500万円となり、「スーパーパワーファミリー」の仲間入りをするイメージです。
「スーパーパワーファミリー」の金融資産残高については、個々の支出状況やライフイベントによる変動があるため、一概に断定することは難しいものの、50代で金融資産1億円近く保有する可能性が高いと考えられます。
■「スーパーパワーファミリー」はどこにいる?
例えば、30歳前後から世帯年収1500万円を超え、40歳で世帯年収3000万円を超えるようなケースを前提とすると、持家などで支出を押さえつつ、積極的に預貯金や運用に取組む世帯では、50代で1億円近くになるケースも想定できます。
さらに、確定拠出年金などの企業年金分を含めると、退職時には一定の金額の金融資産を保有することが見込まれます。40代以下のパワーカップルは住宅ローンなどの借入があったとしても、近年の相場環境から期待される資産運用利回りを前提に、借金をしつつも資産運用にお金を積み立てる傾向にあります。
それでは「スーパーパワーファミリー」は、日ごろどのように過ごしているのでしょうか。
またNRIのインタビューでは現在世帯年収3000万円以上ある「スーパーパワーファミリー」に加えて、将来的に世帯年収3000万円が見込まれる「スーパーパワーファミリー予備軍」(世帯年収2000万円以上の20代、30代)にもインタビューを行っており、ライフステージによる変化を捉えられるようにしています。
■朝4時前に起きて仕事をする30代母親
〈「スーパーパワーファミリー」の平日の過ごし方〉
・時間に融通が利く仕事をしているので、平日は毎朝ジムに行っています。妻の方が仕事は忙しいのですが、本人も時々一緒に来てくれます。夕食は自分たちでつくることもあれば、外食することもあります。子どもがいないので、夜はそれぞれ自由な時間を過ごしています。(子なし・30代男性)
・平日は仕事と子育て中心です。朝4時前に起きて6時まで仕事をします。子どもたち二人の朝ごはんを済ませたら、保育園に送ってから出社。夕方18時過ぎ頃まで仕事をした後、保育園に迎えに行き、夕食を食べたり、お風呂に入れたりして、21~22時頃に子どもを寝かしつけています。その後は終わっていない仕事を片づける日もありますが、忙しい日でも24時すぎには寝るようにしています。(未就学児あり・30代女性)
■平日の家事はハウスキーパーにお任せ
・私は21時帰宅、夫は24時帰宅が基本です。
・子どもが小さいときは、夫婦で夜はどちらが面倒を見るか、完全に役割分担していました。私は自炊していましたが、夫は外食にしていたようです。小学校に入ってからは、子どもも親は仕事しているものだと分かってくれるので、夜中に起きて変な時間に仕事をするということは減りました。(中学生の子あり・50代女性)
彼らの日々の過ごし方を見ると、仕事と子育てに奮闘する姿は一般的な共働き世帯と共通していますが、その時間の使い方には違いが見られます。
早朝の時間帯から活動する、夕方に一度育児をした後に深夜まで働くといったバイタリティや、ハウスキーパーを雇って極力外注できる家事は外注するといった、時間を買う姿勢が「スーパーパワーファミリー」特有だと言えそうです。
■豊洲でバーベキュー、ホタル観賞、芋掘り
〈「スーパーパワーファミリー」の休日や祝日の過ごし方〉
・予定がなくても夫婦で外出して、沿線をぶらぶらします。いいお店を見つけたら昼でも夜でもふらっと入ることもあります。仕事が忙しいときはシェアラウンジにて二人で作業しています。(子なし・30代男性)
・会社の同期や学生時代の友達と、家族同士で集まることが多いです。結婚を機に、お互いの友人を紹介しあって、家族ぐるみで仲良くなりました。この前は豊洲で5世帯ぐらい集まってバーベキューをしました。
・小学校受験を意識して、季節を感じられる体験学習を重視しています。夏は蛍鑑賞、秋は芋掘りといったイベントに積極的に参加させています。(未就学児あり・30代女性)
・休日は子どもを連れて遊びに行きます。夫の仕事の関係もあり、地元のイベントに参加することが多く、自治会や地域の運動会、お祭りに参加しています。(小学生の子あり・40代女性)
■貴重な休日は家族と過ごす時間を重視
・子どもが小さいときは、アンパンマンやプリキュアなどのキャラクターショーに行くことが多かったです。どこでショーがやっているのかを調べて、県外に行ったこともありました。今は子どもが高校生で、休みの日は塾に行っているので、夫婦で仕事をしていることが多いです。(高校生の子あり・50代女性)
平日が忙しい分、休みの日は家族との時間を重視しています。一般的な共働き世帯と変わらず、誕生日や運動会、クリスマス、盆暮れ正月といった定期的なイベントを中心として、家族との時間を過ごしています。
スーパーパワーファミリーは、第一線で働いている多忙な方が多いのですが、その中でもうまく時間をやりくりして、週末に家族と一緒に過ごす時間を創出しています。
人気のあるアニメキャラクターのイベントに連れて行ったり、未就学児のころからの付き合いがある世帯とバーベキューを企画したり、子供のためになる体験学習をしたり。平日日中に触れ合う時間が限られる分、休日を有効に活用して家族との関係性を深めようという姿勢が見られます。その際、お金をかけてでも子どもの好きなイベントや教育のためになる体験の機会を用意してあげています。
----------
竹中 啓貴(たけなか・ひろたか)
野村総合研究所 金融コンサルティング部 シニアコンサルタント
2018年、慶應義塾大学経済学部卒、野村総合研究所入社。金融コンサルティング部シニアコンサルタント。専門は金融機関の事業戦略、営業改革・業務改革、チャネル・マーケティング戦略、顧客接点強化など。主に銀行、証券、生命保険業界のコンサルティング業務に従事。
----------
----------
荒井 匡史(あらい・まさふみ)
野村総合研究所 金融コンサルティング部 コンサルタント
2023年、早稲田大学法学部卒、野村総合研究所入社。金融コンサルティング部コンサルタント。専門は金融機関の事業戦略、チャネル戦略、現場伴走支援。主にクレジットカード業界、生命保険業界のコンサルティング業務に従事。
----------
(野村総合研究所 金融コンサルティング部 シニアコンサルタント 竹中 啓貴、野村総合研究所 金融コンサルティング部 コンサルタント 荒井 匡史)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
