※本稿は、石野純也『通信ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■日本では、2人に1人がiPhoneを使っている
日本上陸の時から高い注目を集めたiPhoneは、スマホ全体の半数ほどを占めるまで拡大しました。日本では、2人に1人がiPhoneを使っている状況と言えるでしょう。
一方、iPhoneの登場から近い時期に登場した、もうひとつのスマホ用プラットフォームがあります。グーグルのアンドロイドです。このOSを搭載した端末は、米国通信事業者のTモバイルが2008年に発売。日本には、翌年の2009年に上陸し、ドコモが販売を開始しました。
国内ではiPhoneとシェアを二分しているように、世界でもiPhone以外のスマホはほぼアンドロイドを搭載していると考えて間違いありません。むしろ、海外ではアンドロイドが寡占状態になっている国や地域もあるほどです。グローバルで見れば、スマホと言えばアンドロイドと言っても過言ではありません。
iPhoneはアップルが端末からOS、サービスまで一手に手がける、垂直統合のビジネスモデルで開発されています。これに対し、アンドロイドはよりオープンな方向を志向しています。
■アンドロイドのビジネスモデルは水平分業
まず、OSはオープンソースで開発されており、誰もが自由に利用可能。グーグルのサービスを搭載するためには、テストをクリアしなければなりませんが、OS部分だけを使った機器は数多く存在します。現在では、子ども向けの携帯電話のような端末も、ベースのOSにはアンドロイドを採用しています。グーグルのサービスさえ使わなければ、メーカーが自由にカスタマイズできるというわけです。
また、スマホに搭載されるアンドロイドも水平分業志向です。Tモバイルのアンドロイド初号機も、開発したメーカーはグーグルではなく、台湾のHTCです。また、日本メーカーでは、ソニーやシャープもアンドロイドを搭載したスマホの「AQUOS」や「Xperia」を開発しています。海外メーカーでは、韓国のサムスン電子が「Galaxy」、中国のシャオミが「Xiaomi」シリーズなどを手がけています。
端末の名称は異なるものの、いずれもOSはアンドロイド。メーカーごとのカスタマイズが認められているため、ユーザーインターフェースの外観が異なっていたり、各シリーズの独自機能が搭載されていたりはしますが、アプリは同じものをインストールすることができます。OSはグーグルが作り、それを端末メーカーが使って端末を開発し、販売するというのがアンドロイドのビジネスモデル。それぞれのレイヤーごとに、分業体制が敷かれていると言えるでしょう。
■通信事業者もカスタマイズしやすい
それにとどまらず、アンドロイドの場合には、サムスン電子のようなメーカーだけではなく、通信事業者が独自のカスタマイズを施し、サービスを入れ込んだ上で販売することもできます。ドコモの場合、販売するアンドロイドスマホの多くは、設定メニューにドコモのアカウントを登録したり、アプリをダウンロードしたりできる項目を用意しています。
カスタマイズのしやすさは、iPhoneと比べ、通信事業者のネットワークに最適化しやすいことも意味しています。4Gや5Gといった新しい通信方式が登場した際に、真っ先に対応したのもアンドロイドスマホでした。通信事業者自身が仕様策定に関与でき、最新技術を真っ先に搭載しやすいのは、水平分業型のビジネスモデルを採用している利点です。
その意味では、アンドロイドのほうがiPhoneと比べるとiモード以前の携帯電話に近いと言えるかもしれません。実際、日本で販売される端末の8~9割は通信事業者が取り扱っているもので、各社ごとの仕様が取り入れられているのが一般的です。
もちろん、例外もあり、グーグル自身も「Pixel」シリーズという同社のブランドを冠したスマホを開発、販売しています。OSもアンドロイドですが、他のメーカーには提供されていないAI機能などを搭載しており、差別化を図っています。グーグルだけで完結しているという意味で、ビジネスモデルの構造はiPhoneと同じ垂直統合に近いと言えます。
■1万円台から25万円超まで多彩な価格帯
また、アプリは基本的にグーグルの運営する「プレイストア」を通じて配信されます。OSの根幹となる仕様やサービスも、グーグルが開発を主導しています。
水平分業であるがゆえに、アンドロイドのバリエーションは非常に多彩です。最近では、ディスプレイを折り曲げることでサイズを変更できるフォルダブルスマホの数が増えているほか、デジタルカメラとほぼ同じイメージセンサーを備え、カメラのような見た目の端末も登場しています。多数のメーカーが参画しているだけに、高機能モデルでは独自性をいかに打ち出せるかの競争になっています。
機能や性能だけでなく、価格のバリエーションが広いのが特徴。フォルダブルスマホの中には25万円を超えるような超高額端末が存在する一方で、機能をギリギリまで省いて1万円台で購入できるような格安端末まであります。こうした事情もあり、アンドロイドのほうが、ユーザーの幅も広くなっています。
■最も安い「iPhone 16e」でも9万9800円
対するiPhoneは、「iPhone 16」シリーズの中で最も安い「iPhone 16e」ですら、その価格は9万9800円からと比較的高額。エントリーモデルやミッドレンジモデルといった区分がなく、どの端末も高機能モデルになっています。プラットフォーム別に見ると、グローバルでアンドロイドのシェアが圧倒的に高い一因は、ここにあります。
米国調査会社IDCが2025年1月に発表した2024年のメーカー別スマホ出荷台数調査では、アップルが首位を獲得しているものの、そのシェアは18.7%にとどまっています。これに対し、2位のサムスン電子、3位のシャオミ、4位のトランジション、5位のオッポはいずれもアンドロイドスマホを開発するメーカー。その他メーカーも、ほぼアンドロイドスマホによって取ったシェアです。グローバルでは、アンドロイドが8割以上の割合になっていることがわかります。
翻って日本では、iPhoneの比率が突出して高くなっています。IDCの日本法人であるIDCジャパンが2025年3月に公開した日本市場での調査結果によると、アップルが52.2%もシェアを占めていることがわかります。2位のシャープは11.6%、3位のグーグルは8.7%であることを踏まえると、いかにアップルがメーカーとして強いかが理解できると思います。アンドロイドすべてを合わせても、半数に満たないというわけです。
■なんだかんだ日本人はお金を持っている
では、なぜ日本では、ここまでiPhoneが強いのでしょうか。
まず、平均所得の高さがあります。先に挙げたグローバルのデータには、先進国だけでなく、新興国も含まれています。所得の低い国や地域において、最低でも10万円近いiPhoneは高嶺の花。
対する日本は、経済が停滞しているとはいえ、数年に1回iPhoneを買えないほど、所得が低いわけではありません。実際、国別にiPhoneのシェアを見ると、米国や英国なども比較的数値が高く、国の豊かさと一定程度比例していることがわかります。アップルが販売に注力しているのも、こうした国や地域。スマホの中の高級ブランドのような存在と考えれば、その立ち位置を理解しやすいかもしれません。
また、諸外国と比べると、比較的iPhoneを買いやすかったことがシェアを高める要因となりました。
■「割引合戦」がiPhone普及の起爆剤に
日本では、ソフトバンクがiPhone 3Gを導入した当初から、割賦販売や通信契約を伴う割引が一般的でした。後者に関しては、利用者が毎月支払う通信料の一部を原資にしています。これは、スマホ以前の携帯電話の頃からあった仕組みです。
通信事業者としては、長く回線を契約し続けてほしい。収入を上げるには、ユーザーの獲得も必要になります。
割引合戦が過熱した結果、規制がかかってしまったため、今では極端に端末を安くすることはできませんが、iPhone 3Gもキャンペーンで無料提供されていました。回線の継続契約が条件になるものの、ユーザーが試してみやすい環境が整っていたと言えるでしょう。
ソフトバンクが始めたこのキャンペーンは、iPhone普及の起爆剤になりました。その他の通信事業者がiPhoneの販売を始め、獲得競争が激化すると、iPhoneが無料で手に入るどころか、キャッシュバックまでもらえる事態になりました。
■日本でアンドロイドが「敗北」した理由
しかし、それだけではここまで高いシェアになったことの説明がつきません。対抗馬として登場したアンドロイドスマホも、やはり無料や格安、時にはキャッシュバックつきで販売されていたからです。利用者がiPhoneを選んだのは、その操作性の高さや、アプリを中心としたエコシステムの新しさが評価されたからでしょう。
また、マックやiPodで、アップルの知名度がすでに高まっていたことも、iPhoneが注目を集めた理由です。一度使い始めると、OSを乗り換えるのはハードルが高いこともあり、半数近いシェアはあまり変動していません。
垂直統合で作られているため、ハードウェアとソフトウェアがマッチしていたことも、評価を高めた理由と言えます。対するアンドロイドは、メーカーがOSをうまく使いこなせないということもあり、初期の端末は評価があまり高くありません。そのビジネスモデルのために作り込みがしづらかったのです。日本でiPhoneのシェアがここまで高くなったのは、ビジネスモデルの影響も大きかったと考えられます。
----------
石野 純也(いしの・じゅんや)
IT・スマホ ジャーナリスト
大学卒業後、出版社へ入社。IT関連の雑誌・書籍の編集を行う。独立後はモバイル関連を中心に、スマホからネットワーク、コンテンツに至るまで多岐に取材。著書に『ケータイチルドレン』(SBクリエイティブ)など。
----------
(IT・スマホ ジャーナリスト 石野 純也)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
