投資で失敗しないためには何を心がければいいのか。デルタクリエイト代表の佐藤舞(サトマイ)さんは「『私はNISAで知識があるから』と少し投資をかじったことのある人ほど危ない。
バフェットは投資において“攻め”よりも“守り”を重視している」という――。
※本稿は、佐藤舞『あっという間にお金はなくなるから』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■NISAで投資は身近になった
今回のテーマは投資不安の可視化です。
「私、老後資金も金融トラブルも大丈夫。新NISAやっているから!」
おおっと、まだいらっしゃったんですね、「私は大丈夫」の方。
昨今、新NISAをはじめ、国が投資を推奨していることもあって、投資がより身近になりました。実際に始めた方も多いのではないでしょうか。
ここでは、よくある投資不安を引き合いに挙げつつ、一般の方でも成功確率を上げる方法を記します。
■派手じゃない「守りの投資」はおろそかになりがち
投資の神様ウォーレン・バフェットの有名な言葉に次のようなものがあります。
「第1のルールは、絶対に損をしないこと。第2のルールは、第1のルールを決して忘れないこと」
この言葉は、資産運用において損失を避けることの重要性を強調しています。資本の保全を最優先に考えるバフェットの投資スタイルをよく表した言葉、と言えましょう。

彼は、リスクを最小限に抑えつつ、長期的な視野で価値ある企業に投資することを重視しています。
「リスクを取って儲ける」という攻めのスタイルがあっている人もいますが、実際の資産形成において本当に重要なのは、「守り」の設計ではないでしょうか。バフェットが「損をしないこと」を第一のルールに掲げているのは、決して臆病だからではありません。「再起不能になるようなミスを避けること」が、持続可能な成功の前提だからです。
では、なぜ多くの人が「守り」をおろそかにしてしまうのでしょうか。
それは、守りの重要性が「派手ではない」からでしょう。リスク管理や支出の最適化、生活防衛資金の確保といった話は、SNSでもバズりません。けれど、これらの「備え」こそが安心を生み出すリソースの一つであり、「人生をExplore モード(見えていない不安にも探索的に向き合うモード)」で攻めるための前提条件です。
■「売ったり買ったり」は逆に損をする
バフェットの教えにならえば、「何をすれば儲かるか」を考えるのは後です。まず、「何をすると損をするのか」を抑えておく必要があります。
投資においては「間違ったことをしない選択」が資産形成への最短経路なのかもしれません。
以下に、資産運用でよくある5つの間違いをまとめました。

1 市場のタイミングを狙う
「今が買い時!」「そろそろ売らなきゃ」と、株価の上がり下がりを予想して売ったり買ったりすること。それはまるで、めまぐるしく降ったり止んだりを繰り返す天気のなかで、洗濯物を出したりしまったりしているようなもの。でも、天気と同じで相場の動きは完璧には読めません。
実際、アメリカの調査では、タイミングを見て売ったり買ったりする投資家の平均リターンは年4.9%。一方、何もせずずっと買った株を持ち続けた人のリターンは9.65%だったそう。あわてて売ったり、欲を出して買ったりすることで、むしろ損をしてしまうことが多いのです。
■4割の会社の株価が半分以下になったことがある
2 一点集中の投資
「この株だけに全部つぎ込めば、一気に大金持ち!」と思いたくなる気持ち、わかります。
でもそれは、一つの武器だけで戦おうとするようなもの。その武器が壊れてしまったらたちまち戦えなくなります。
研究では、個別株は情報のノイズが多く、当たり外れも大きいとわかっています。
実際、S&P500というアメリカの主要企業500社の株価をもとに算出する指数で見ても、約4割の会社が20年の間に株価が半分以下になったことがあるそう。どんなに有名で立派な企業でも、20年という長期間の中では、たとえ倒産はしなくても、株価が大きく値下がりすることはよくあることなのです。
リスクを減らすには、複数の場所に少しずつ投資して、バランスをとることが大切です。
3 手数料や税金の見落とし
投資の世界では「知らない間にお金が減っていた」なんてこともあります。その原因のひとつが手数料と税金。高い手数料のファンドを選んだり、売り買いを頻繁に繰り返したりすると、コストがどんどん積み上がります。
日本では、運用益に対して約20%の税金がかかります。たとえば、株を100万円で買って、120万円で売った場合、差額の20万円が利益。この20万円に対して約20%、つまり約4万円の税金が引かれるということです。
また、ある調査では、手数料が低いファンドほど成績がよいという傾向が出ています。たとえば毎年1.5%の手数料を払い続けると、30年後には30%近くもお金が減ってしまうこともあるのです。投資の技術以前にランニングコストを抑えることが大切です。
■「うまくやろう」より「失敗しないようにしよう」
4 短期的な視点に陥る
数カ月の値動きに一喜一憂して、「あっちが上がった!」「こっちは下がった!」と焦って売り買いするのは禁物です。それより、優良企業やインデックスを長く持つことが大切。

実際、株は10年以上持ち続けることでリスクが大きく減るとわかっています。世界三大資産運用会社の一つ、バンガード社の分析でも、10年以上持てばマイナスになる確率はほぼゼロになるそう。
遠くのゴールを見ながら、長く続けることが成功への近道です。
5 自信過剰による過度な取引
「自分は大丈夫」「自分だけはうまくやれる」と思って、たくさん取引してしまう人がいます。投資でも、ちょっと立ち止まって確認する冷静さが、失敗を防ぐコツです。
研究によると、自信過剰な人ほど取引が多くなり、そのぶん損をしてしまうことが多いようです。特に男性は、女性よりも取引回数が多く、成績が悪くなる傾向があるとの報告もあります。
投資では、「うまくやろう」とするよりも、「失敗しないように気をつけよう」という慎重さが大切。そのほうが、結局は利益につながるのです。
■バフェット「投資とは致命的ミスを避けること」
以上、5つのポイントでした。
最後も、バフェットの言葉で締めましょう。
「投資とは優秀であることではなく、致命的なミスを避けること」
つまり、最初に守るべきは「当たり前の失敗をしない仕組み」をつくることです。

・インデックスで運用(手数料の低い商品を選ぶ)

・長期保有をして市場に居続ける(投資をやめない)

・上がっても下がっても毎月定期的に積立をする(ドルコスト平均法)
という3つの基本を地道に守ることが、効率的な資産形成となります。
もちろん人それぞれ、余剰資金額や年齢(運用可能期間)等の状況は違いますから、全員が真似をする必要はありません。でも、目的を明確にして、自分にあった手段を選択できるようになりましょう。

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佐藤 舞(さとう・まい)

デルタクリエイト代表・桜花学園大学客員教授

デルタクリエイト代表。数学アレルギーから学生時代より文系の道に進むが、国立福島大学経済経営学類に入学後、統計学と出会い数学アレルギーを克服する。在学中、野村総合研究所主催の「マーケティング分析コンテスト」入賞。卒業後、一般企業に就職。その後、26歳で独立、データ分析・統計解析事業を始める。データの活用を通して意思決定コストを削減し、組織力をあげることを得意とする。総務省からの依頼でもセミナーを開催し、参加者の満足度の高さから依頼のリピート率が100%になっている(2022年2月時点)。YouTubeチャンネル「謎解き統計学|サトマイ」を運営。チャンネル登録者数は約39.7万人(2024年9月時点)。
統計学やマーケティングリサーチを元にした時事ネタの解説が人気を博している。2024年2月20日より桜花学園大学客員教授に就任。

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(デルタクリエイト代表・桜花学園大学客員教授 佐藤 舞)
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