※本稿は、梶原麻衣子『安倍晋三 ドナルド・トランプ交友録』(星海社新書)の一部を再編集したものです。
■トランプが安倍夫妻におこなった規格外の「おもてなし」
安倍・トランプの初の首脳会談は、2017年2月10日(現地時間)午後、ワシントンのホワイトハウスで行われた。
当日の日程が報じられている。10日12時10分からホワイトハウスで首脳会談が行われ、13時8分から共同記者会見、13時40分からワーキングランチ。それが終わると16時45分にはともに大統領専用機「エアフォースワン」に乗ってフロリダ州のパームビーチへ飛んでいる。
20時11分から安倍夫妻、トランプ夫妻の夕食会が始まり、夜はトランプの別荘「マール・ア・ラゴ」に宿泊している。そして2日目は午前中から午後にかけてトランプが所有するゴルフ場でゴルフをプレーし、同じ別荘に2泊している。
2月のワシントンの気温は一桁からマイナスにまで冷え込むが、フロリダ・パームビーチは温暖で、当時の報道によれば20度もあったという。
安倍は『安倍晋三回顧録』でこう述べている。
〈(ホワイトハウスからフロリダへ向かう)エアフォースワンでは、コックピットにまで座らされて問題になったけれどね。まさか別荘に2泊するとは思っていませんでした。歓待してくれました〉
■夕食会より1回のゴルフの方が効果的
日程2日目、パームビーチでのゴルフは実に計5時間、27ホールに及んだ。
東京からワシントンまでは直行便で13時間程度。機内で休めるとはいえ、到着するや否や首脳会談、共同声明の最後の詰め、記者会見と日程をこなし、夜は晩餐会や食事会。やれやれと一息ついたと思えば、翌日は朝から5時間のゴルフをこなし、さらに晩餐会。首相という職はタフでなければ務まらないが、トランプ相手だとより「タフさ」が求められることになろう。当時、トランプは70歳。超人的体力である。
トランプは首脳会談前の米ラジオのインタビューで〈(ゴルフを通じて)彼(安倍)は私のパートナーになるだろう〉と述べている。
安倍に対しても、ゴルフ場でこう打ち明けたという。
〈人間関係を作る上で、夕食会を何度も重ねるより、1回のゴルフの方が効果的だ。私は、これまでの人生において、ゴルフ場でディールを結んできた。
■朝日新聞が暴いた安倍さんのゴルフの実力
実際、初会談から始まった2人の関係は、5時間にわたるゴルフ外交によって、より一層深まった。
ゴルフ外交にはメディアの注目も集まった。会談を直前に控えた2月11日の朝日新聞には、〈日米首脳 似た者同士? ゴルフ 肉好き 世襲 再起〉と題する記事が掲載されている。
〈今回、両首脳は初めて(ゴルフで)手合わせする。トランプ氏は世界各地にゴルフ場を所有し、米ラジオのインタビューには「一緒に昼食をとるより、ゴルフコースを回った方が人をよく知ることができる」と語る。
(安倍)首相も第2次安倍政権発足後の約4年間で50回以上、ゴルフ場に足を運んでいる。腕前は「国家機密」と明かさないが、知人によると、スコアは平均で90前後。「トランプ氏の方が腕前は数段上」〔政府関係者〕のようだが、周辺は「首相はプレーが速いので、実力差は問題ない」と話す〉(同)
さらに12日の朝日新聞は、〈首脳ゴルフ 成果は?〉との記事を掲載。
〈ロイター通信がゴルフ専門誌の情報を元に集めた情報によると、ハンディは安倍氏が20、トランプ氏は3。ベストスコアは安倍氏80の半ば、トランプ氏が66。ドライバーの平均飛距離は安倍氏が200ヤードに対し、トランプ氏は235~250ヤードという〉とあっさり「国家機密」を暴露している。
■ラフプレーのトランプ、スロープレーのオバマ
ゴルフは紳士のスポーツとされている。
余談だが、実はオバマもゴルフ好きで知られる。プレースタイルはスローで、2011年にはプレー中に日が沈み、18ホールをホールアウトできなかったという(「オバマ大統領はスロープレーヤー!? 日没でホールアウトできず」、『ゴルフネットワーク』2011年1月4日公開記事)。
また、安倍は2013年の訪米時にオバマにパターをプレゼントしているが、安倍とオバマの二人が一緒にプレーすることはなかった。
安倍とトランプのゴルフ外交は計5回を数えた。2017年2月11日、2017年11月5日のトランプ来日時、2018年4月18日の安倍訪米時、2019年4月26日の安倍による実務訪米時、そして2019年5月26日のトランプが国賓待遇で日本を訪れた際である。
それぞれ、自国に相手を迎えた側が、ゴルフ場でもカートのハンドルを握った。トランプのカートの運転はかなり荒っぽいものだったようで、後ろに乗る通訳は振り落とされないように必死だったという。
■「安倍トラ自撮り」が生まれたワケ
2017年11月、首脳会談のために来日したトランプと安倍が埼玉県川越市の霞ヶ関カンツリークラブでゴルフを楽しんだ際には、安倍がバンカーでひっくり返り、1回転した映像がテレビで繰り返し報道された。
当の安倍は、全く意に介していなかったようだ。
〈度々報じられた、安倍がバンカーで、いきなり後方にひっくり返るアクシデントもこの時に起きた。
2019年にトランプが国賓として来日した際には、千葉県茂原市でゴルフを楽しんでいる。
この時、安倍とトランプが「自撮り(セルフィー)」をした写真がSNSにアップされ、大きな話題を呼んだ。
安倍はこう語る。
〈2019年にトランプ米大統領が来日し、千葉でゴルフをした時、私とトランプの「自撮り」のツーショット写真をツイッターなどに投稿しました。あれは佐伯君(広報担当秘書官)の発案で、「総理、記念撮影なんかより、絶対、自撮りの方がいいです」と言うので、やったわけです。ただ、実行するのは大変でした。まずホワイトハウスに自撮りを容認してもらい、トランプにも直接、「自撮りするよ」と了解してもらわなければなりませんでした。でも、結果は非常に好評でした〉(『安倍晋三回顧録』)
〈(自撮り写真は)私が撮りました。あんなに自然な笑顔になると思っていなかったのですが(笑)。若い人たちがあの写真にペイントをしたり、私とトランプ大統領の顔を加工したりしたものがネット上で拡散されていますが、より可愛くしていただいてよかったなと思っています(笑)〉(安倍晋三、櫻井よしこ「安倍総理、大いに語る」、『月刊Hanada』2019年8月号)
■ゴルフは、相手の性格を知ることができるスポーツ
ちなみに安倍はこうした「ネットでの自身に対するいじり」を自覚しており、〈SNS上で「安倍は果物を食べると必ず『ジューシー』と言う」と指摘されていることは知っていましたが(笑)〉と述べている(安倍晋三「前総理大臣・独占手記 これからの日本の話をしよう」、『PRESIDENT』2021年7月16日号)
今ではこの「自撮り」は、安倍・トランプ時期の日米関係を示す象徴的な1枚となっている。
日米のゴルフ外交と言えば、安倍の祖父である岸信介首相と、アイゼンハワー大統領もともにゴルフを楽しんでいる。1957年6月19日のことで、安倍とトランプの初のゴルフ外交からさかのぼることちょうど60年前のことだった。
そのため、メディアや政治評論でも、当時のことが引き合いに出されたが、安倍自身はこう述べている。
〈トランプ大統領とのゴルフを批判されることもありますが、岸信介もアイゼンハワー大統領とゴルフをやって、一緒にシャワーを浴びたこともありました。岸は「米国の大統領と裸の付き合いをしたのは俺が初めてだ」と言っていましたね。私はまだ一緒にシャワーは浴びていませんが(笑)、相当なラウンドを共にしています。ゴルフは、相手の性格を知ることができるスポーツ。トランプ大統領とはゴルフを通じて、本当に率直にモノが言える関係を築くことができたと思っています〉(安倍晋三「失敗が私を育てた」、『文藝春秋』2019年12月号、田崎史郎によるインタビュー)
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梶原 麻衣子(かじわら・まいこ)
ライター・編集者
1980年埼玉県生まれ、中央大学卒業。IT企業勤務の後、月刊『WiLL』、月刊『Hanada』編集部を経て現在はフリー。雑誌やウェブサイトへの寄稿のほか、書籍編集などを手掛ける。
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(ライター・編集者 梶原 麻衣子)

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