※本稿は、出口治明『誰も行ったことのない場所へ行こう。そして誰もやらなかったことをやろう。』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
■プライベートより仕事の方が簡単
どうすれば仕事ができる人間になれるのか。
答えは簡単です。スピード。とにかくスピードです。
人生で大切なのは3割以下の仕事よりも、7割以上を占める生活のほうだ――そんな話をしましたが、社会人としてスタートを切ったばかりのあなたは頭の中の9割ぐらいを仕事のことが占めていそうなので、まだピンとこないかもしれませんね。それぐらい仕事に対して意欲的なのは、もちろん、すばらしいことだと思います。
それでは、その仕事の話をしましょう。
プライベートにくらべれば「どうでもいいこと」とはいえ、そのプライベートを経済的に支えてくれるのは、仕事で得る給料です。
お金だけで幸福度が決まるわけではないとはいえ、やっぱり収入は多いほうがいいでしょう。会社員なら、「仕事のできる人間」になって出世すれば、給料は増えます。
では、どうすれば「仕事のできる人間」になれるのか。まだ経験の浅いあなたは、与えられる課題がどれもこれも難しいもののように感じられてしまい、自信が持てないかもしれません。テキパキと仕事をこなす先輩社員の姿を見て、「自分はどうしてこんなに仕事ができないんだろう」と落ち込むこともあるでしょうね。
でも、じつは仕事なんて簡単です。少なくとも、人生の7割を占めるプライベートな生活ほど、仕事は難しくありません。
なぜなら、まず仕事には誰も否定できない明確な目的があります。それは「儲ける」ことです。利益を出すことを目指さない仕事はありません。
プライベートな生活には、そこまで明確な目的はないでしょう。確固たる「人生の目的」を持っている人もいるとは思いますが、それは人それぞれです。
目的がはっきりしていれば、考えるべきは「そのためにどうすればいいか」ということだけ。明確な目的のないプライベートな日々を「いかに生きるか」と考えるより、よほど簡単な話です。自分たちの事業で「儲ける」ために、「数字・ファクト・ロジック」を使って合理的に考えれば、どうすべきかは自ずと見えてくるでしょう。
■目的とルールに沿って判断するだけ
また、プライベートにはルールがないけれど、仕事にはルールがあります。これも、仕事のほうが簡単になる理由のひとつです。
あなたの会社にも、定款、就業規則、職務権限規定などのルールがありますよね? それらのほかにも、企業活動は民法、商法、会社法、独占禁止法、労働基準法など、さまざまな法律が適用されます。建設業法、医薬品医療機器等法、金融商品取引法など、業種ごとの法律も少なくありません。
目的が明確だから「やるべきこと」を見つけやすく、多くのルールで「やってはいけないこと」も示されているのですから、仕事なんて楽なもの。どんな課題を与えられても、目的とルールに沿って判断すればいいだけのことです。
それとくらべたら、プライベートは難しいですね。恋愛にしても、家族や仲間との関係にしても、「より良いものにしたい」という思いはあるものの、そこには明確な目的もルールもありません。
ですから相手との関係がちょっとギクシャクしたときでも、何をどうしたらよいのかわからず悩みます。ロジカルに考えれば答えが出るような問題ではありません。
実際、友人や家族を理屈で説得しようとすると、「そういう問題じゃない」などといい返されて、かえって話がこじれてしまうこともよくあります。
でも、仕事はロジックがすべて。「儲ける」という目的に合致しているかどうか、ルールに違反していないかどうかだけが問題です。そういう意味で、仕事は簡単なものなのです。
■仕事のできる人間とは、生産性の高い人間
では、「仕事ができる」とはどういうことなのか。これも、ロジカルに考えれば答えはすぐに出ます。
仕事の目的は「儲ける」ことでした。会社員の場合、会社を儲けさせるのが「仕事のできる社員」ということになります。
会社が儲ける、つまり利益を増やすためには、売り上げアップのほか、コスト削減、作業の効率化なども必要でしょう。あなたもふだん、会社の上司からそれを求められているのではないでしょうか。
売り上げのアップだけを取り上げても、その方法はいろいろあります。単に、多くのお客さんに自社製品を買ってもらうだけではありません。
お客さんを増やすためには、宣伝も効果的です。それ以前に、製品そのものの品質向上も必要でしょう。社員にできることは、たくさんあります。
もちろん、配属された部署によって、どの部分を担当するかは異なるでしょう。どの部署であれ、会社の利益に何らかの形で貢献するのが、仕事の目的です。その貢献度が高いほど「仕事のできる人間」と評価されて、給料も上がる。じつにシンプルな話です。
そして、その貢献度のことを「生産性」といいます。「仕事のできる人間」とは、つまるところ「生産性の高い人間」にほかなりません。あなたの生産性が高まれば、いずれ出世して給料も上がるでしょう。
■生産性を高めるには、とにかくスピード
では、生産性はどうすれば上がるのか。これも、考え方はとてもシンプルです。
あなたが文系学部の出身だったとしても、初歩的なニュートン力学ぐらいは教わったことがあるでしょう。物理学には「運動量」という概念がありましたよね? それを表わす式は、こういうものでした。
〈運動量=質量×速度〉
つまり質量が同じなら、速度が大きいほど運動量が大きくなる。逆に速度が同じなら、質量が大きいほど運動量は大きくなります。
運動量とは「動いている物体の止めにくさ」のことですから、日常的な言葉でいうなら、それが大きいほど「インパクトがある」ということになるでしょう。
仕事にも、これと同じような式が当てはまります。社員の生産性は、いわば運動量のようなもの。これが大きいほど、会社の「儲け」に対するインパクトが強いといえるでしょう。その計算式は、こうです。
〈生産性=仕事量×速度〉
つまり、仕事量が同じなら、スピードが速ければ速いほど生産性が高まるということです。
そういわれると、あなたはこう思うかもしれませんね。
「仕事は量も大切だけど、質も問われるのでは?」
たしかに、速くても雑な仕事より、時間をかけた丁寧な仕事のほうが高く評価されるような気がするでしょう。「拙速」という言葉もあります。
でも、仕事に使える時間は無限ではありません。「儲ける」ためには、かぎりある時間の中でどれだけ新しい価値を生み出せるかが勝負になります。
■量を増やしたほうが、「儲ける」チャンスを逃さない
とくにいまの社会は変化が激しいので、じっくり時間をかけて「完璧」を目指している余裕はありません。そもそも、自分の考える「完璧」は大局からみればこだわる必要のない点かもしれません。
あるいは、「完璧」にとらわれているうちに、時機を逸してしまうかもしれない。そういう意味でも、スピードを上げる必要がある。量を増やしたほうが、「儲ける」チャンスを逃さずにつかむ確率が高まります。
サッカーでも、打ったシュートがすべてゴールに入るわけではありませんよね? 「絶対に決めなければいけない」と思ったら、チャンスが来ても慎重になってシュートができません。
決まる可能性が低くても、積極的にたくさんシュートを打ったほうが、得点の確率は高まるでしょう。
それと同様、与えられた課題を「完璧」にこなすのが「仕事のできる人間」ではありません。たとえ仕上がりから6割の出来であっても、スピードが速ければ修正する余裕もできます。完璧主義は生産性を落とすことにしかならないと思ってください。
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出口 治明(でぐち・はるあき)
立命館アジア太平洋大学(APU)前学長
1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒業後、日本生命保険に入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年退職。同年、ネットライフ企画(現・ライフネット生命)を設立し、社長に就任。2012年に上場。2018年よりAPU学長。読んだ本は1万冊超。主な著書に『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『全世界史』(上・下、新潮文庫)、『一気読み世界史』(日経BP)、『自分の頭で考える日本の論点』(幻冬舎新書)、『教養は児童書で学べ』(光文社新書)、『人類5000年史』(I~IV、ちくま新書)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『復活への底力』(講談社現代新書)、『「捨てる」思考法』(毎日新聞出版)など多数。
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(立命館アジア太平洋大学(APU)前学長 出口 治明)

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