※本稿は、齋藤 孝『ほめるは人のためならず』(辰巳出版)の一部を再編集したものです。
■「初めて聞きました!」と素直に言っていい
ほめる三大テクニックその1▼いいものに対しては「素直に驚く」
「へぇー!」
これは驚きの言葉です。
そして感嘆の言葉でもあります。
大きな声を出さなくてもよく、言葉だけでなく体全体で少し驚いた感じを出すのもいいでしょう。思い切って「はっ!」「そうなんですね!」「初めて聞きました!」と、そこまで言ってもいい場合も多いです。
「今、初めて聞きました!」はすごくナチュラルな言葉なのでいいかなと思いますね。
相手もここまで言ってもらえると、次の話がしやすくなるものです。このあたりが聞き上手のポイントと言えるでしょう。
まず、素直さが大事です。
しかし、初めて聞いたことなのに何も言わない人もいます。
みんないろいろな情報に対して麻痺してきているので、何を聞いてもいちいち驚いていられないという体になってきているのです。
それが少し冷たい感じがするのですね。
■ひとりでテレビを観ながら相づちの練習をする
普段タブレットやスマホを見ていて、それに対してうなずいたり、驚いたりするのはおかしいですから、淡々としたままです。相当刺激の強いYouTubeでもいちいち「へぇー」「おー」とリアクションしたり、爆笑したりしながら見る人はあまりいないと思います。
昨今の情報化社会は、反応しない体をつくってしまっているのです。
それが普段の会話では冷たさになってしまうので、少し意識するようにしましょう。
なんなら少し変ですが、ひとりでいる時にテレビやYouTubeに笑ったり、反応したり、拍手したりするのも練習になりますよ。昔の人は自然とやっていて、うちの母親がやっていましたが、テレビを見ながらうなずいたり、「へぇー」と言ったりしていました。
■良いインタビュアーはうなずき上手
ほめる三大テクニックその2▼ところどころで意識的に「うなずく」
会話している相手の言葉をうなずきながら聞くことは、相手の言葉に「同意します」「勉強になります」「楽しいです」といった「ほめているサインを送っている」ことになります。
そのため相手は気分よく話すことができ、会話を盛り上げることができるのです。
意識的にうなずくには、息を軽く鼻から吸って、ゆっくり吐きつつうなずく。その時に体全体がうなずけばよりいい。
吸って吐く、吸って吐く体のうなずき。
体が呼吸するタイミングでうなずきになっていくのです。いいやり方なのでうなずきや相づちが苦手なら、ぜひやってみてください。
そもそも話の合間に「なるほどね」とうなずくのが一番いいわけです。でも、それが身についていない人は、全身でうなずくと感じがよくなります。うなずかないとずっと平板に聞いていることになりますので、相手が言ったポイントポイントで「なるほど」「そうですね」「確かに」と相づちを少し意識的にやっていただく方がいいと思います。
よい聞き手、よいインタビュアーは、うなずきや相づちが上手です。声が出ていないのに彼らの「へー」「まー」「なるほど」「そうですね」という感じが伝わってくるのです。
自分の心の声を体で表すようなイメージだと、よく聞いていますよという感じが出せます。
グループディスカッションでは、うなずき上手が聞き上手です。
たとえば5人1グループだとしたら、よくうなずいてくれる人に向かって話していることが多いのですね。
つまりどういうことかというと、うなずいている人は「集客力が高い」のです。
ということで、やはりうなずくか、うなずかないかでずいぶん聞く構えとしては違いが出てきます。ですから、共感はうなずきで示すようにしましょう。
■「でも」で始めるのは悪手の極み
ほめる三大テクニックその3▼「いいですねぇ」で次につなげる
まず、おすすめしたいのは、誰かが言ったことに対して「ああ、いいですねぇ!」とほめながら、共感して入っていくという技です。何か言われた時にこれを言うだけでスムーズに次につなげていけるようになります。
それと反対なのが「でも」です。中には「でも」と、話に入っていく人もいます。
ダイアローグ(対話)の基本とされているのが弁証法(対話法)とされています。だから「でも」を使ってもいいのでは? と思うかもしれません。
けれど、日本人で「でも」を使われて好感を持つ人はあまりいません。
自分の言ったテーゼに対してアンチテーゼを向けてくれてありがとう。だからこそ、本当の対話になるよという人は日本ではあまりいないと思います。
「反対された」
「自分の意見を否定された」
こう思うのが普通です。
ですから「でも」はあまり使わないようにしてみましょう。逆接で話をつなぐのは、たとえ論理的に正しくても、避ける方が流れがよくなります。
「そうですね」
「そうなんですよ」
「いいですねぇ」
こういう言葉で相手に添いつつ次につなげるという形でやるのが、やはりスムーズな対話には向いているのかなと思います。まず添わないとつなげることもうまくできないということです。
■「いいですねぇ」で止めてしまわない
先日、武術家・白川竜次さんの合気道の動画を見ました。
まず流れるように相手の動きに乗って、すっと入っていって相手の技をずらす。
無理やりぶつかるとか、倒すというよりは、相手の動きの力を利用するような技のかけ方でした。
私は対話法と合気道の演武を、少し重ね合わせてみました。
私がやっていた空手はガツッとぶつかり合うところがあります。
これを対話に生かすには少しイメージが合いません。
合気道は無理がなく相手とぶつかり合いませんが、自分の主張もできる。
しかし、「いいですねぇ」「そうですね」「なるほど」「確かに、おっしゃる通りです」で添っているばかりだけだと、「何を言ってもそこで止まっちゃうな」という感じで対話が盛り上がりません。
なので、お互いに添いつつ、次につなげる。これが対話の作法なのかなと思います。
■他の人と比べてしまうとほめづらくなる
「何かアドバイスはありませんか?」こう聞かれたとします。
「今のままでいいんじゃないの?」
これは不親切ですよね。
「特に思いつかないんだけど……」とそっけなく答えるのではなく、何かひとつでもいいので具体的に答えるようにするのです。
「少し的外れかもしれないけど、◯◯するのもいいんじゃないかと思う」。
ですから、「ここが強みだ」というところをはっきりと言って、ほめるのがアドバイスとも言えます。
強みが見える場合はいいのですが、
「この人はほめどころがないな」
そう思ってしまう人をどうやってほめればいいのでしょうか。
それは他の人と比較して見ているからで、まだその人のよさを見つけることができていないだけなのです。ここで重要なのは「細かいところにまで目を向けること」です。「その人の中で強いて言うなら……」そう考えてみましょう。そうすれば、「これもこの人のよさだな」と思えるところが見えてくるものです。
■注目すべきは「相手の中での変化率」
考え方としては、こうです。
「当社比」は「従来の自社製品と比較をしてよくなった」ということです。これと同じように、同じ人を2カ月前と比べてみて、よくなっていれば評価をしやすくなります。
たとえば、英語の発音が得意でない学生がいたとします。2カ月後、その学生の発音が少しでもよくなっていた場合、「うまくなっているね」と評価することができます。
このように個人の中でよくなった箇所を評価するなら、ほめられた学生もうれしいでしょうし、やる気もみなぎるでしょう。まだ開花していなくても、その人が持つ「芽」や「種」を見つけ出すことがポイントとなります。
細かい変化に目をつけるのが数学の微分積分の「微分的なものの見方」です。これは、変化の度合いを見る「変化率」。変化率を見るようにするのが大切です。他の人とは比べず、その人の「変化率」に注目していくようにするといいでしょう。
しかし、先入観が強いと「この人はこういう人だから」「今この人を評価するわけにはいかないな」と思い込んでしまうことになります。そうすると伸びていく「芽」や「種」を見つけられなくなりますし、人間関係も改善していきません。
また、社会人であれば未経験の業務は単に慣れていないということがあるかもしれません。「慣れの問題」と受け止めることで評価の幅も広がるでしょう。
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齋藤 孝(さいとう・たかし)
明治大学文学部教授
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。著書に『孤独を生きる』(PHP新書)、『50歳からの孤独入門』(朝日新書)、『孤独のチカラ』(新潮文庫)、『友だちってひつようなの?』(PHP研究所)、『友だちって何だろう?』(誠文堂新光社)、『リア王症候群にならない 脱!不機嫌オヤジ』(徳間書店)等がある。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導を務める。
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(明治大学文学部教授 齋藤 孝)

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