より良い健康のための生活習慣は何か。『「免疫力が強い人」の習慣、ぜんぶ集めました。
』(青春出版社)を監修した内科医の工藤孝文さんは「たとえばデスクワークが続く人は、体が固まって、肩こりや腰痛などに悩まされやすい。血流が悪くなることから内臓の働きも鈍り、よく便秘にもなってしまう」という――。
■ネバネバ食品を食べれば腸は快調
おなかを元気にして、便秘を解消し、感染症にもかからないで過ごしたい。でも、どの食材が食物繊維が多いかなんて覚えるのは面倒くさい……。
こんなものぐさな人にぴったりの食材の選び方がある。とりあえず、ネバネバするものを多く食べるようにするのだ。すでに実行している人は、おなかの調子が良く、健康をキープできていることだろう。
納豆、オクラ、モロヘイヤ、ナメコ、メカブなどがネバネバしているのは、ひと言でいうと、水溶性食物繊維がたっぷり含まれているからだ。
大豆は不溶性食物繊維が圧倒的に多いのだが、納豆になると水溶性食物繊維が約2.5倍に増えるのでおすすめだ。
また、ナメコは念入りに洗うと、せっかくのぬめりがなくなってしまう。サッと洗って、汚れを落とす程度にとどめよう。
■のん兵衛が翌朝の下痢を防ぐための秘策
お酒を飲むと、アルコールの作用で体温が上がり、免疫力が強くなるという説がある。
また、免疫力低下の原因となるストレスが解消される効果も考えられる。
しかし、だからいくら飲んでも大丈夫、と思ってはいけない。アルコールの害は数多く、そのひとつが腸壁を攻撃し、炎症を起こしてしまうことだ。お酒を多く飲んだ翌日、下痢をすることがあるのはこの作用による。
毎日のように深酒を繰り返せば、腸の中の善玉菌が減って、悪玉菌の勢力が増し、腸内環境が悪化して免疫力も弱くなってしまう。
そこで、良好な腸内環境をキープしたいのん兵衛は、同量の水を交互に飲みながらお酒を楽しむ。こうすれば、胃の中でアルコールが薄まるので、及ぼす害を抑えられる。お酒を長く楽しむために、ぜひ習慣に取り入れてみよう。
■甘いおやつの習慣も選択肢次第
ちょっとおなかがすいたから、口がさびしいからと、すぐに甘いおやつを食べる。こんな習慣がある人は、感染症が流行するシーズンを無事に乗り切るのは難しいかもしれない。
砂糖や油分の摂り過ぎ、血糖値の乱高下などが負担となり、腸の中では悪玉菌の天下が続く。当然、免疫力が強くなるはずがなく、ちょっとのことでかぜをひいたり、もっと怖い病気になったりする。
さらに、がん細胞やアレルゲンを退治するのにも手間取りそうだ。
とはいえ、甘いものが好きな人にとって、おやつを絶対食べないというのは大きなストレスになる。我慢し過ぎているうちに、ついに爆発して、やってはいけないドカ食いにつながってしまう。
そこで、健康を損なわず、体重も増やさず、上手におやつを食べる人のふるまいに学んでみよう。大きなポイントは何を食べるかだ。
■ドライフルーツがおススメなワケ
甘いものを我慢しなくても、腸内環境を悪化させない。そんな人がよく選ぶおやつは、ドライフルーツだ。砂糖などが添加されていない場合でも、乾燥して成分が凝縮されているので、甘味を十分感じることができる。
不溶性と水溶性の食物繊維がバランス良く含まれているのも、多くのフルーツの特徴だ。ビフィズス菌や乳酸菌のエサになるオリゴ糖も豊富なので、善玉菌の勢いが高まって腸内環境が良好に保たれる。
レーズンには鉄分やミネラル、アンズにはβ-カロテン、ブルーベリーにはアントシアニンなど、それぞれの果物に健康効果の高い成分が含まれているのもうれしい。食べ過ぎないように、数粒つまんではどうだろう。

ドライフルーツのほかに、高カカオチョコレートもおすすめだ。食物繊維が多く、抗酸化作用の高いカカオポリフェノールも豊富に含まれている。また、砂糖の代わりにオリゴ糖を使ったチョコレートもあり、このタイプもおやつに良さそうだ。
■「ウエストひねり」で座業を健康的に
デスクワークが仕事の人は、体が固まって、肩こりや腰痛などに悩まされやすい。血流が悪くなることから、内臓の働きも鈍って、よく便秘にもなってしまう。
しかし、ほぼ終日、座ったままで過ごしていても、腸が健康に働く人もいる。そういった人は、椅子に座ったまま、ときどき、おなかを動かしているものだ。
おすすめの運動は、椅子に座ったまま、上半身をひねる動き。背すじを伸ばして、息を吐きながらひねって、吸いながらもとに戻す。足の裏は床につけたまま、動かさないのがポイントだ。右にひねったら、次は左にと、左右ともに行おう。
このひねり運動をすると、おなか全体に力が入り、腸に適度な刺激を与えることができる。

職場の雰囲気などから、椅子に座ったままで行いにくいのなら、席を立って休憩室やトイレなどに行き、同じ要領で上半身をひねるといい。
■テレビを観続けながら免疫力を上げるには
椅子やソファ、畳の上などに座って、あるいは寝ころんで、テレビを長時間観続ける。こんな習慣のある人に、免疫力を強めることは望めないかもしれない。
同じ姿勢のままでいると、筋肉が固まりがちだ。腸内環境に悪影響を与えるので、腸が活発に動くはずはない。血流が悪くなって、異物を探す白血球のパトロールにも支障が出てしまう。
免疫力を下げたくない人は、ずっと座ったり寝ころんだりはしない。用がなくてもときどき立ち上がるものだ。
テレビを観ている場合は、CMなどの区切りのいいときに立ち上がり、スクワットを数回やったり、ひざ蹴りのような動きで交互にひざを上げたりする。こうすると、おなかに力が入って、腸の働きが促される。
仕事をしているときも同じで、30分に1回は立ち上がって体を動かそう。
■トイレに踏み台設置で便秘解消
体から速やかに出すべき便が腸にたまると、悪玉菌が勢いづいて、腸内環境が悪化しやすくなる。
腸の健康を保つためには、できれば毎日、定期的に排便したいものだ。
排便を習慣づけるには、毎朝、同じ時間にトイレに座るようにするといい。無理にいきんではいけない。力を入れると交感神経が高まって、腸の働きが弱くなる。
すんなり排便できない人は、座り方をひと工夫。高さ20cm前後の踏み台の上に足を置くようにするのだ。こうしてトイレに座ると、上半身が前のほうに20~30度傾く。直腸と肛門の角度がまっすぐの状態に近くなり、力を入れなくてもスムーズに排便できるようになる。
踏み台がなければ、ロダンの有名な『考える人』のポーズを取ろう。かかとを上げて前かがみになり、ひじを太ももに置く。この姿勢で、直腸の角度が良くなる。
■毎朝“便秘知らず”になれる準備運動
毎朝、トイレに座って、首尾良く目的を果たす。
そんな便秘知らずの人は、一種の準備運動をルーティンにしていることがある。
すっきりするための朝の習慣は、おなかのマッサージ。よくもんで腸を刺激し、便を動かすぜん動運動を促すのだ。
マッサージをするポイントは、大腸の曲がり角の部分。大腸は下腹部の中で、大きく四角い形を描きながら曲がり、肛門へと向かっている。
便がとどこおりやすいのは、左右の肋骨の下と、左右の腰骨のあたりにある四隅。そこで、その四隅を左右の手の指で順番につまんで、2~3分ほどもみほぐしてみる。
それでもトイレに行きたくならなかったら、もうひとつのマッサージも試そう。下腹部に利き手を当てて、時計回りに大きく動かしながらもんでいく。焦って力をこめると、逆効果になる。ああ、気持ちいい……と思いつつ行うのがコツだ。

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工藤 孝文(くどう・たかふみ)

内科医

工藤内科院長。福岡県みやま市の同医院で地域医療を行う。糖尿病内科、ダイエット外来、漢方医療を専門として、テレビや雑誌などでも活躍。著書に『痩せグセの法則』(枻出版社)ほか多数。

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(内科医 工藤 孝文)
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