※本稿は、出口治明『誰も行ったことのない場所へ行こう。そして誰もやらなかったことをやろう。』(祥伝社)の一部を再編集したものです。
■変化する環境に「適応」することで生き残る
「運がいい」とはどういうことなのでしょうか?人生が「運」と「偶然」に左右されてしまうのなら、何をやっても無駄でしょうか?
運や偶然で変化する環境で生き残るために大切なのは、逆境を順境に転じるために自力でがんばることではありません。チャールズ・ダーウィンが『種の起源』で明らかにしたとおり、いま地球上に存在する生物はすべて、変化する環境に「適応」することで生き残ってきました。
ダーウィンの進化論を勘違いしている人もいますが、決してほかの生物より「強い者」や「賢い者」が生き残るわけではありません。進化は、「突然変異」と「自然淘汰」というシンプルなメカニズムで起こります。
突然変異は、たまたま親と異なる体や性質を持つ子が生まれること。その突然変異体の中で、たまたま環境に適応した個体が生き残って子孫を残すことで、親の代とは異なる新しい「種」になっていきます。
どんな変異体として、どんな環境に生まれるかは、まったく運次第。
■適切なときに適切な場所にいること
ネアンデルタール人の研究で知られるクライブ・フィンレイソンは、生き残るために必要なのは「適切なときに適切な場所にいる」ことだといいました。その「適切さ」も、自分では選ぶことができません。
その適切さに恵まれることを「運がいい」というのです。彼が研究しているネアンデルタール人が絶滅し、僕たちホモ・サピエンスが生き残ったのも、運不運の結果でしかありません。
ほかの動物と違って、人間には強い自我や自意識があるので、どんな環境になっても「自分ががんばれば何とかなるはずだ」と思いたがります。たしかに、そういう局面も少なからずあるでしょう。
あなたもこれまで、入試や学校のテスト、あるいは就職活動など、自分の努力で良い結果を得てきたという自負心があるはずです。そのこと自体には、自信を持っていいと思います。
しかし、そこにも運や偶然に左右された面があることを見逃してはいけません。試験のためにがんばって勉強する能力は、あなたが自力で得たものではないでしょう。
■大事なのは、次の環境変化に備えておくこと
また、入試で合格できたのは、たまたま自分よりも点数の低い人が多かったから。自分より成績の良い受験生がひとりでもいたら、あなたは不合格だったかもしれません。
もちろん、あなたは合格者にふさわしい努力をしましたが、その努力をした上で「適切なときに適切な場所」にいたからこそ合格できたのです。
逆に、どんなにがんばって努力しても、たまたま「適切なときに適切な場所」にいなかったせいで、悪い結果になることもあるでしょう。
そんなときに「努力が足りなかった」と自分を責めても仕方ありません。順境も逆境も偶然の産物ですから、いちいち一喜一憂することはないのです。
むしろ大事なのは、次の環境変化に備えておくこと。順境はいずれ逆境に転じ、逆境はいつか順境に転じます。その変化に適応することで、僕たち人間はより幸福な人生を送ることができるのです。
■目の前の順境を長続きさせる方法
ですから、仕事がうまくいっているときは「すべて自分のおかげ」などと自惚れることなく、その成功をもたらした要因をきちんと見極めるべきでしょう。
どこまでが自分の実力で、どこからが他人のおかげなのか。
一方、逆境にあるときは、ジタバタと悪あがきをしても無駄です。「こんなに良い仕事をしているのに、どうして報われないんだ?」と悔しい思いもするでしょうが、あきらめて耐えるしかありません。
これは、凧揚げによく似ています。ものすごく腕の良い職人が完璧な凧をつくり上げても、風が吹かなければその凧は揚がりません。
「こんなに素晴らしい凧を完成させたのに、なぜ揚がらないんだ!」と毒づいても虚しいだけです。性能の良い凧をつくったこと自体には満足しつつ、風が吹くのをじっと待つしかないでしょう。逆境とは、そういうものです。
もちろん、いつ風が吹くかは、やはり偶然に任せるしかありません。いつ風が吹いても対応できるように、準備を整えておく必要があります。つくった凧は、もっと改良する余地があるかもしれません。
また、風が吹いたときに怪我や病気で動かなければ、せっかくのチャンスを逃すでしょう。常に体調を整えておかなければいけません。そういった準備の部分には、自ら努力や工夫をする余地がたくさんあるのです。
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出口 治明(でぐち・はるあき)
立命館アジア太平洋大学(APU)前学長
1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒業後、日本生命保険に入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年退職。同年、ネットライフ企画(現・ライフネット生命)を設立し、社長に就任。2012年に上場。2018年よりAPU学長。読んだ本は1万冊超。主な著書に『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『全世界史』(上・下、新潮文庫)、『一気読み世界史』(日経BP)、『自分の頭で考える日本の論点』(幻冬舎新書)、『教養は児童書で学べ』(光文社新書)、『人類5000年史』(I~IV、ちくま新書)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『復活への底力』(講談社現代新書)、『「捨てる」思考法』(毎日新聞出版)など多数。
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(立命館アジア太平洋大学(APU)前学長 出口 治明)

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