■突然の優待廃止で含み損10万円超
2026年2月13日、多くの株主優待愛好家を落胆させる出来事がありました。それは、ベルメゾンを展開する大手通販会社の千趣会が、株主優待を廃止したことです。
優待内容の詳細は後述しますが、わずか2万円程度の投資額で、最大で年間3500円もの買物券がもらえる優待目当てに、多くの人がこぞって投資をしておりました(私もその一人)。
当然、株価は大暴落。優待廃止の発表直前には208円だった株価は、その翌営業日には151円と、一気に3割近くも値を下げることになりました。そして、その後も株価は下げ続け、3月11日現在129円となっています。
ちなみに私は、数年前に400円程度で購入しており、優待廃止前にはすでに半減状態。
なので、株価についてはとっくに諦めており、「優待が続く限り、株価はこれより下がることはないだろう」と、さらには「優待さえ続けばいいよ」、との思いで、優待だけを楽しみに保有を続けていたのでした。
それが今回の優待廃止で、多くの投資家の落胆とともに、株価はさらに下がったわけです。それでも、元々の株価が安いこともあって、私自身の損失額(含み損)は3万円もなく、それほど大きな損失ではありません。
ただ、右肩下がりの株価の中、さらに多くの優待をもらうべく、家族名義で買い増し(ナンピン買い)を続け、保有株数を増やした結果、損失額(含み損)は家族全体では10万円超と、それなりの痛手となってしまいました。
■5~6年で元が取れる、驚異の優待だった
ちなみに、(もう廃止されたものを、あらためて紹介するのも残念なことですが)千趣会の株主優待は、ベルメゾン通販で使える買物券でした。100株保有で、もらえる買物券は年間2000円分。
前述の通り、優待廃止直前の株価は208円、すなわち必要投資額は約2万円(208円×100株)だったので、その優待利回りは約10%程度と、非常に高い水準でした。
しかも、1年以上保有で年間2500円分、2年以上保有で年間3000円分、3年以上保有で年間3500円分と、買物券の金額は年々アップ。なので、その優待利回りは最大で約18%(3500円÷2万円)にもなり、これは5~6年で「元が取れる」計算だったのです。
そんな超高水準の優待利回りに、株価なんてどうなろうが関係ない(どうせ売るつもりはないし)、とにかく優待さえ続いてくれればよい、と考える投資家が多かったのでした(私もその一人)。
ただ、我々投資家にとっては有難い優待でも、企業にとっては大きな負担です。当然、業績不振が長期化していた千趣会にとっても、大きな負担であったことは間違いありません。
■投資家が「優待は続く」と考えた理由
実際、千趣会の業績不振は相当深刻な状態で、昨年にはコールセンター閉鎖による大規模なリストラ、そして本社売却を敢行するまでの状況でした。
そんな状況の中、(大盤振る舞いの)株主優待を続ける余裕などないことは誰の目にも明らかで、もう何年も前から、「優待などやっている場合か?」「優待廃止は秒読み段階」などと言われ続けていました。
しかし、そのように優待廃止目前と囁かれ続けながらも、何年もの間、しぶとく優待は続くのでした。
そんなしぶとく続く優待に、「これは会社の意地だな」「会社が潰れるまで、優待は続くな」といった声も出始め、また、「いまの株価は優待で支えられているようなもの、もし優待を廃止すればとんでもない状態になるので、優待廃止は絶対にない」といった優待継続論も、それなりの説得力があったのです。
さらには、「業績は回復傾向にある、優待継続どころか、優待拡充もあるのでは?」といった楽観論もチラホラとあったのでした。
が、結局、そのような期待は空しく打ち砕かれ、冒頭の通り、「優待廃止」が発表されたのでした。
会社としては、4期連続の営業損失の中、早期の業績回復と持続的な成長に向けた事業基盤の再構築が最優先課題としての決断だったようでした。
■優待廃止・改悪リスクをどう考える?
株主優待とは、企業が株主に対して自社商品や買物券、お食事券などを贈呈する日本独自の制度で、上場企業の4割程度が実施しています。投資家としては、株主としての特別感を味わえ、また、昨今の物価高の中、家計の助けになることもあり、そんな株主優待目当てに投資する人も少なくありません。
しかし、優待銘柄への投資には、「優待の廃止・改悪」という、優待投資ならではのリスクがあります。優待の廃止・改悪となれば、多くのケースで株価は暴落し、大きな損失につながります。
なので、優待の廃止・改悪は徹底して避けなければいけないのですが、優待の廃止・改悪は企業の一存で決めることができるので、完全に避けることはほぼ不可能。
とはいえ、優待廃止・改悪されそうな銘柄は、ある程度は予想できます。たとえば、優待利回りが異常に高い銘柄。
株主優待は、企業にとって、株主獲得や自社商品・サービスの宣伝効果につながるというメリットがありますが、同時に、大きな負担ともなります。ですので、あまりにも高い利回り(一般には5~10%以上が危険水準とされる)は、改悪・廃止のリスクが大きいと言えるのです。
そして、業績不振の銘柄。業績が悪ければ(とくに、業績不振が長期化していれば)、株主優待を継続する余裕もなくなり、当然、改悪・廃止のリスクは大きくなります。
すなわち、「異常に高い優待利回り(最大で約18%)」「長引く深刻な業績不振」であった千趣会は、相当ヤバい状況だったわけで、普通に考えれば、とても投資できるものではありませんでした。
しかし私は、そんな千趣会にも臆することなく、投資していたわけです。
■なぜ、私は千趣会に投資できたのか?
私が千趣会に投資した(できた)理由、それは投資ではなく、レジャーと捉えていたからでした。それも、極上の体験型エンタテイメントとして、定期的に届く優待にワクワクし、そして、いつまで優待が続くかのドキドキ・ハラハラを楽しむようにしていたからでした。
保有する千趣会は、家族名義も合わせて複数単元・長期保有だったので、我が家には、年間2万円弱のベルメゾン買物券が届きました。ベルメゾンにはファッションを中心にインテリア、雑貨、食品など様々な商品があり、次の優待では何を買おうかと、優待券が届く頃になると、いつもワクワクしておりました。
そして、そんな優待がいつまで続くか(いつ廃止になるか)のドキドキ・ハラハラは、ギャンブルと割り切るように心がけていました。
優待が継続し、それまで受け取った優待の累計額が、株式購入額と等しくなれば、これは「元を取った」ことになります。そうなれば、その後、株価がどうなろうが損をすることはないので、この場合、そのギャンブルに勝ったことになります。
■「負け」を挽回できるチャンスを楽しむ
しかも、「元を取った」後は優待が続く限り、その「勝ち」の金額は膨らみ続けるのです。
ただ、今回は(元を取る前に)優待廃止となり、私はギャンブルには負けたわけですが、その損失はギャンブル代として納得しています。もっとも、私は千趣会を売ってはいないので、その損失は確定したわけではありません。
将来、業績が回復してくれば、また、優待が復活するなどすれば、株価は上昇する可能性も十分あるわけで、その意味では、まだギャンブルは続いているとも言えます。つまり、売らない限り、「負け」を挽回できるチャンスを楽しみ続けることができるのです。
そう考えれば、ハッキリと「負け」が確定してしまう宝くじや競馬、パチンコなどと違って、わりのよいギャンブルと言えるのではないでしょうか(上場廃止となれば、完全に「負け」は確定しますが)。
■くるのが分かっていれば、耐えられる
あと、私は千趣会を購入するにあたっては、「優待はいずれ廃止されるだろう(されても仕方ない)」と、徹底して心づもりをしていました。正直言えば、優待はずっと続くかも(続いてほしい)との淡い期待があったのも事実ですが、だからこそ、徹底的に、優待廃止を覚悟するようにしていました。
そんな心づもりがあったからこそ、実際に優待廃止となっても、精神的なダメージは最小限に抑えられたのでした。どんなにきついパンチでも、くると分かっていれば耐えられる(気を失うことはない)、といった格闘技上の言葉がありますが、まさに、そんな状況だったわけです。
また、前述の、「投資ではなく、レジャーと捉えていた」と、根本的に視点を切り替えられたのも、この徹底した心づもりがあってのことでした。
■優待廃止を知って感謝を示す投資家も
ちなみに、優待廃止となり、ネット上にはさまざまな声が見受けられましたが、「ついに廃止になったか」「まぁ、わかっていたことだよね」など、意外と冷静に受け止めている株主は多く、これには、(私と同じように)優待廃止を心づもりしていた株主も多かったようだな、と感じました。
中には、「経営が苦しい中、これまで優待を続けてくれてありがとう」と感謝を示す声もあり、その余裕振りには、相当な心づもりをしていたのだな、と感じずにはおられませんでした。
一方で、「廃止なんてあり得ない!」「株主をコケにしてるのか!」といった辛辣な声も少なくありませんでしたが、おそらく彼らは、優待廃止について、しっかりと心づもりをしていなかったのでしょう。
そんな彼らは、金銭的ダメージのみならず、精神的ダメージも相当大きかったと思われます。
■数年で元が取れる、優待銘柄2選
いま、株価上昇傾向の中、新たに株式投資を始めたい(もしくは本格化したい)と思う人も多いでしょう。そして、もし株主優待に興味を持てば、優待銘柄を中心にリサーチすることになるかと思います。
すると、千趣会のように、数年で元が取れるような、異常に高い優待利回りの銘柄も見つかることでしょう。しかし、優待廃止リスクを考えれば、そのような銘柄は決して手放しで勧められるものではありません。
とはいえ、ここまで書いたように、「投資ではなくレジャーとして捉える」「優待廃止を徹底的に心づもりしておく」ことができれば、私は十分アリだと思っています。
というわけで、最後に、「数年で元が取れるような」優待銘柄を2つ紹介させていただきます。
※ただし、いずれの銘柄も非常にリスクが高いので、投資に際しては、十分にご留意ください
まずは、手芸店「トーカイ」を全国展開し、手芸出版・教室も運営する「ジャパンクラフトホールディングス」。株主優待は、グループ店舗・サービスで利用できる買物優待券。
図表1のとおり、継続保有1年以上(年間4000円分)で優待利回りは約18%、継続保有3年以上(年間6000円分)だと優待利回りは約27%となり、その場合だと4年で元が取れる計算です。
ここ数年、連続赤字と苦しい経営が続くも、2026年6月期にはなんとか黒字転換を予想。
もう1つは、化粧品・健康食品のネット通販会社、「北の達人コーポレーション」。
株主優待は美容液と金券で、図表2のとおり、その額は合計で約1万円相当なので、優待利回りは約84%と、驚異の利回りとなります。しかも、継続保有1年以上で金券が6000円に倍増するので、その場合、優待利回りは約108%となり、なんと1年で(すなわち、1回優待をもらえば)ほぼ元が取れてしまうのです。
権利確定月は2月なので、焦って購入することはありませんが、株価は非常に低いので、いまのうちに買ってしまっておくのも一考かもしれませんね。なお、業績としては、黒字経営を続けており、決して業績不振ではありませんが、利益の額には大きな波があるので要注意ではあります。
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藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。
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(ファイナンシャルプランナー 藤原 久敏)

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