※本稿は、頼藤太希『会社も銀行も役所も教えてくれない 定年前後の人生戦略』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
■一時金で利用できる「退職所得控除」
Q.「一時金」と「年金」、退職金の受取額が最大になるのはどっち?
A.退職金は一時金受け取りを優先したほうが、百数十万円も手取りが増えてお得です。ただし、無駄遣いしてしまいそうな人は、年金で受け取るのがベター。毎年安定的に受け取れるので管理がしやすく、無駄遣いも減らせます。
退職金の受け取り方には、一括で受け取る「一時金」、分割で受け取る「年金」、一部を一時金、残りを年金で受け取る「一時金&年金」があります。このうち、退職金の手取り金額を最大化できるのは「一時金」です。
会社での給与や賞与は「給与所得」という所得ですが、一時金で受け取る退職金は「退職所得」という所得になります。退職所得は分離課税といって、ほかの所得とは区別して課税されます。退職所得は、「(退職一時金-退職所得控除額)×2分の1」という式で計算します。
退職所得控除は、退職金を一時金で受け取るときに利用できる控除です。退職所得控除の金額は、勤続年数によって計算します(図表1)。
■年金で利用できる「公的年金等控除」
退職金が退職所得控除額よりも少なければ税金はかかりません。また、退職金が退職所得控除額よりも多くても、退職所得となるのは超過分の金額の2分の1ですから、退職所得控除の効果が大きいことがわかります。そのうえ、退職金を一時金で受け取る場合は社会保険料の負担もありません。
一方、年金で受け取る場合は、退職所得控除は使えません。その代わり、公的年金等控除という控除が利用できますが(図表2)、控除される金額は退職所得控除よりも少なくなります。
■退職金を調整して手取りを増やす
退職金の額が退職所得控除額より多い場合は、退職所得控除の金額までは一時金で受け取り、残りは年金で受け取る「一時金&年金」の方法を利用すれば、退職所得控除も公的年金等控除も活用しながら税金を減らせます。
年金の部分は、なるべく長期間かけて少しずつ受け取るようにすると、毎年の年金にかかる税金や社会保険料も少なくできます。
では、退職金の手取り額を増やす方法について見ていきましょう。
定年前後の手取りを最大化するために押さえておきたい手続きは次の①~②です。
①退職日を1日遅らせると、40万円または70万円の手取り増
退職所得控除の勤続年数は、1年未満の端数がある場合は、切り上げになります。つまり、1年未満の日が1日でもあれば「1年」とカウントされます。
たとえば、勤続年数がちょうど「35年」で退職するよりも、退職日を1日延長して35年と1日で退職すれば「36年」になります。したがって、退職日が1日違うだけで退職所得控除額を70万円増やせるのです。
勤続年数が20年未満の場合も同様で、1日で退職所得控除額に40万円の差がつきます。もしも、退職金の金額が退職所得控除額を超えそうなのであれば、退職日をずらして勤続年数を増やせないか、勤務先に相談してみましょう。
■一時金と年金の合わせ技で節税
②退職金は一時金受け取りを優先→百数十万円手取り増
実際にシミュレーションしてみましょう。
【条件】※2025年度で試算
・東京都文京区在住、38年間勤続で退職金は2000万円
・60歳から64歳まで元の勤め先に再雇用され年収300万円。協会けんぽに加入
・年金(退職年金)は10年間で受け取る(予定利率1.5%)
・公的年金は年180万円
・所得控除は基礎控除、社会保険料控除、所得金額調整控除のみ
この条件のとき、
① 2000万円を一時金で受け取った場合
② 2000万円を年金で受け取った場合
③ 1000万円を一時金、1000万円を年金で受け取った場合
以上の3パターンの手取りの合計金額は、図表3の通りです。
額面合計が最も多いのは「② 年金で受け取り」。まだ受け取っていない年金が会社の運用によって増えるためです。
しかし、手取り合計が最も多いのは「① 一時金で受け取り」になっています。その理由は、「退職所得控除」と「2分の1課税」があること、社会保険料がかからないことです。したがって、
・「退職金が退職所得控除より少ない・少しオーバーする」……一時金
・「退職金が退職所得控除よりかなり多い」……退職所得控除の分は一時金、残りは年金
このようにすると、税金を減らし、手取りを増やすことができます。
以上は、手取り面から見た受け取りの考え方ですが、あえて年金で受け取ったほうがいい人もいます。それは、無駄遣いしてしまいそうな人です。
退職金は、多くの人にとって、これまで手にしたことのない大きな金額です。まとまった額のお金を手にしたことで気が大きくなり、大きな買い物をしたり、これまでしたことのない投資をいきなり始めたりして、お金を失ってしまいがちなのです。
また、年金で受け取ると、税金や社会保険料はかかってしまいますが、毎年安定的に受け取れるので管理がしやすく、無駄遣いも減らせるでしょう。
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頼藤 太希(よりふじ・たいき)
経済評論家・マネーコンサルタント
Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。
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(経済評論家・マネーコンサルタント 頼藤 太希)

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