※本稿は、伊藤滉一郎『子どもが沈まない 親が無理しない 小中高大受験戦略』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
■「教育投資=生涯年収が上がる」とはならない
近年、「キャリア」「生涯年収」といった観点から逆算して受験戦略を練るという考え方が注目を集めるようになってきています。首都圏の中学受験は過熱する一方で、早い段階から教育投資を惜しまず行ってきたご家庭が、「今の教育投資が将来どこに結びつくのか?」と考えるのは極めて自然な発想でしょう。
親御さんとしては、塾に課金すればするほど、お金をかければかけるほど、お子さんの将来の可能性が広がっていくと、漠然とイメージされている方も多いのではないでしょうか。
しかし、意外なことに、ひたすらお金を積めば積むほど順調に生涯年収が上がっていくという単純明快な比例構造にはなっていないようです。以降、時間的コスト、金銭的コストと学歴の関係について、詳しく解説していきます。
難関校受験にかかる時間的コスト(勉強時間)を見ていきましょう。まずは、中学受験ルートから。最もスタンダードである、小3の2月から3年間中学受験塾に通い、私立中高に通いながら大学受験を見据えて塾に通うコースだと、一体どのくらいの時間的コストがかかるのでしょうか。
中学受験生の学年別の勉強時間の目安は、小4で約700時間(平日約1~2時間、休日2時間)、小5で約1100時間(平日2~3時間、休日4時間)、小6で約1500時間(平日3~5時間、休日4~8時間)となっており、およそ3300時間の勉強時間が必要だと言われています。
■偏差値50以上なら4000時間は必要
当然ですが、受験が近づくにつれて勉強時間は増えていき、小6にもなるとカリキュラムの難度もぐっと高くなり、宿題の量も増えます。
交流のある中学受験パパさんいわく、今の時代、四谷大塚偏差値50以上の学校を狙うなら、最低でもトータルで4000時間の学習時間は必要だろうとのことです。
また、中学受験は親が負担すべき時間的コストも膨大です。子ども本人の努力のウエイトが大きい高校受験や大学受験とは違い、中学受験は親御さんにも相当量のコミットが求められる「親子の受験」として知られています。
例えば次のようなことが、親に求められる典型的なサポート内容として知られています。
・塾への送り迎え
・塾の宿題、授業プリントの整理
・受験関連の進捗管理(志望校の問題入手、学校見学、願書提出など)
これに加え、親が子どもの勉強に付き添ったり、塾の宿題を手伝ったりすることもあるでしょう。
■高校受験だからラクとはならない
続いて小・中は公立に通う高校受験ルートです。
高校受験では、受験を見据えた対策をする期間が中学受験と比較すると少なくすむ傾向にあり、中2の途中もしくは中3からの対策で高校に合格したという事例が目立ちます。
中1、中2のうちは平日1時間、休日2~3時間程度の学習習慣を確立し、中学年3生で平日3~4時間、休日4~8時間程度の学習をするのが目安だと関係者は語ります。こちらから所用勉強時間を算出するとおよそ2600時間となり、中学受験の3300時間と比べると少なくなることがわかります。
ただ、こちらはあくまで相場であり、筑駒や開成、早慶付属といった国立や私立の難関校、都立日比谷や都立西といった最難関公立校を目指す場合は、上記勉強時間では不十分である可能性が高く、結果的に中学受験組に匹敵する勉強時間が必要となるかもしれません。
そして大学受験です。大学受験に関しては、どのレベル帯の大学を目指すかで求められる勉強時間が変わってくるため一概には言えませんが、ざっくり志望ランク別の勉強時間を算出してみましょう。
■東大生の「官僚離れ」と価値観の変化
まず、東京大学をはじめとする最難関国立大学や医学部医学科に合格するためには、高校3年間で4000~5000時間の勉強時間が必要だと言われています。
もちろん、現役で志望校に届かず浪人を選択する場合は、年間2000~3000時間程度の勉強時間が上乗せされることになります。大学受験に必要な科目に関していうと、英語は中学から合わせて6000時間、数学は1万2000時間程度の学習時間が必要になると言われています。
これを見ると、「早々に数学を捨てて早慶文系へ」という首都圏の文系高校生によく見られる戦略は「高コスパ」であることがわかるでしょう。なお、早稲田大学の政治経済学部は数学が必須となりましたが、それ以外の早慶の文系学部は今でも「数学なし」で入れます。
コミュニケーション能力など、非認知能力に自信のあるお子さんであれば、公立高校から指定校推薦文系科目に絞って早慶MARCHを狙うという手はかなりコスパ・タイパの良い選択だと言えるでしょう。
昭和期以前の東大生は「末は博士か大臣か」と周囲から期待され、その多くが官僚や学者を志していたようです。しかし、今では東大生の官僚志向は薄れ、国家公務員総合職試験合格者全体の1割程度にまで減っています。2015年ごろからのアベノミクスを契機とした好景気を背景に、激務薄給のイメージの強い国家公務員の魅力は激減し、東大生は関心を失ったと言われています。
■エリートが就職活動で勝てなくなるワケ
そんな彼らが現在どこを目指しているかというと、外資系のコンサルティング会社や総合商社といった、若いうちから高年収が望める民間企業です。
実際、受験競争を勝ち抜き日本最高峰の東大までいってもなお、就活においては(多少の下駄は履かせてもらえますが)早稲田・慶應といった難関私立大や地方の国公立大に通う学生と同じフィールドで戦うことになります。
「シュウカツ」という特殊なゲームは学力のみならず、コミュニケーション能力、学生時代の取り組み、さらにはルックスといった要素まで加味され、総合格闘技状態となっているのが現状です。
一昔前は「東大生」というブランドだけで最難関企業から引く手数多ということもあったようですが、今の時代、勉強一辺倒で対人コミュニケーションが苦手な東大生であれば、コミュニケーション能力に長けた体育会系の早慶MARCH生に文系就活のフィールドで敗北するということも十分にありえるでしょう。
ただ、これはあくまで無味乾燥な金額や学習時間と就職を比較したコスパ論です。東大には当然ですが国内最高峰の頭脳が集っており、大変な刺激を受けられるでしょうし、環境に魅力を感じて選択する方も多いでしょう。そういった理由で志望することには全く反対しません。
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伊藤 滉一郎(いとう・こういちろう)
受験・学歴研究家、じゅそうけん代表
1996年愛知県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、メガバンクに就職。2022年じゅそうけん合同会社を立ち上げ、教育機関向けの広報支援サービスを展開する。高学歴1000人以上への受験に関するインタビューや独自のリサーチで得た情報を、XやYouTube、Webメディアなどで発信している。著書に『中学受験 子どもの人生を本気で考えた受験校選び戦略』(KADOKAWA)、『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)がある。
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(受験・学歴研究家、じゅそうけん代表 伊藤 滉一郎)

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