■「有事の金」は本当か
最近のニュースを見て「株価が下がっているけれど、今すぐ売ったほうがいいのかな?」「有事には金(ゴールド)がいいと聞くけれど、自分も買うべき?」と、漠然とした不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
世界情勢が緊迫し、「米国がイランに攻撃」といった見出しが躍ると、誰しも不安を感じるものです。実際に株価が下落したり、一方で「有事の金」と呼ばれる金の価格が大きく変動したりしているのを見ると、つい焦って行動を起こしたくなるかもしれません。
しかし、こうした波乱の時期こそ、一歩引いて「資産形成の本質」を見つめ直すことが大切です。長期的な視点で資産運用していくために、今、私たちが本当に保有すべきものは何なのか、わかりやすく解説します。
■なぜ金の価格が上がっているのか
戦争や紛争などの地政学リスクが高まると、投資家は「より安全な場所」にお金を避難させようとします。その代表格が金です。金はそれ自体に価値がある「実物資産」であり、どこかの国が破綻しても価値がゼロにならないという安心感があるため、有事の際に買われやすくなります。
しかし、ここで知っておいてほしいのは、金は「付加価値」を生み出さない資産であるという点です。
言うまでもないことですが、例えば、金の塊を1kg持っていても、10年後、20年後にそれが自然に3kgに増えるといったことはありません。利子も配当も生み出さないのです。
金はモノですから、モノの値段が上昇するインフレ局面では、金の価格も上昇する傾向があります。
しかし、資産形成の主役とするには必ずしも十分ではなく、少し不安定な存在だと考えています。インフレ対策として金をポートフォリオに組み込んでいきたい場合は、その割合は多くても1割程度が目安だと考えています。
実際にこれから購入していきたいという場合は、高値づかみを避けるために、3年程度の時間をかけて時間分散して購入していくとよいでしょう。
■揺れているのは「価格」に過ぎない
株価の下落をどう捉えるべきか
一方で、ニュースを受けて株価が下がっているのを見ると、損をしてしまう恐怖を感じるかもしれません。しかし、株式会社の本質は「ビジネスを通じて世の中に新たな価値を提供し、利益を上げること」にあります。
株式会社は、商品やサービスを提供することで売上を伸ばし、その結果、利益を生み出します。売上の一部は原材料などに、そして社員へは給与を支払います。このようにして生み出される付加価値の合計がいわゆる「国内総生産(GDP)」であり、その一部が株主の取り分となります。
世界経済が成長し続ける限り、この「生み出される価値」は長期的には右肩上がりで増えていきます。過去の歴史を振り返ると、リーマンショックやコロナショックといった大きな暴落は何度もありました。ですが、全世界株式インデックスの1つ、MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)はこの38年間で約31倍(円ベース)にまで上昇し、利回りは約9.45%でした。
一時的なショックによる下落は、あくまで「価格」が揺れているだけであり、企業の「価値を生み出す力」そのものが失われるわけではないのです。
■今、保有すべき「最強の金融商品」とは
では、こうした不安定な時期に、私たちは具体的に何を保有すればよいのでしょうか。結論から申し上げれば、それは「低コストの全世界株式インデックスファンド」です。
理由は大きく3つあります。
①世界中にリスクを分散できる
特定の国や企業だけに投資していると、その国が紛争に巻き込まれた際に大きなダメージを受けます。しかし、全世界株式インデックスファンドは、アメリカ、ヨーロッパ、日本、そして新興国を含む約2500社にまるごと投資する「お弁当箱」のような商品です。どこか一部で問題が起きても、長期的には他の地域の成長がそれをカバーしてくれます。
②手間がかからない(ほったらかしでOK)
ニュースを見て「今は買いか、売りか」を判断するのはプロでも至難の業です。インデックスファンドなら、一度積立設定をすれば、あとはマーケットの状況を気にせず「ほったらかし」で構いません。インデックスの構成銘柄はインデックス算出会社が定期的に見直してくれるため、勝手に新陳代謝が進む形となります。
③インフレ(物価上昇)に強い
有事の影響でエネルギーや食品の価格が上がっても、企業はそれを製品価格に反映させて利益を守ろうとします。結果として株価も物価上昇についていくため、株式というアセットクラスに投資していれば、あなたの資産をモノやサービスに交換する「買う力(購買力)」は維持、向上していくことが期待できるのです。
■NISA貧乏にならないために
「世界株式が最適解だ」と頭で理解していても、実際に資産が減るような場面では誰でも動揺します。そこで重要なのが、生活を守るためのバッファーとなる資金です。
資産形成期の方(主に20~50代)は、病気やケガで働けなくなったり、失業してしまったりした場合に備えて、生活費6カ月~1年分程度の「生活防衛資金」を預貯金などの円建て元本保証商品で確保しておくことが大切です。
一方、60代以降で年金受給が始まっていて、運用資産を取り崩して生活している資産活用期の方は、取り崩し予定額の5年分程度を「ダム資金」として預貯金等で確保しておくことが重要です。例えば、毎月5万円を取り崩している方の場合、5万円×60カ月=300万円程度を確保しておくイメージです。
リーマンショックなど過去の暴落時を確認すると、多くの場合、マーケットは長くても5年程度で回復しています。もし有事で株価が急落しても、この「ダム(預金)」から生活費を出せば、安値で株式(全世界株式インデックスファンド)を泣く泣く手放す必要はなくなります。「何かあっても5年は大丈夫だ」という確信があれば、ニュースを見てパニックになることもないはずです。
■自分の人生に目を向ける
米国や中東の情勢は、私たちの力ではコントロールできません。しかし、「自分の家計をどう管理し、どんなライフプランを描くか」は、自分自身で決めることができます。
私たちが今、メインで保有していくべきなのは、世界経済の成長という大きなエンジンに乗り続けるための「世界株式インデックスファンド」と、暴落時にも自分と家族の生活を守り抜くための「十分な預貯金(生活防衛資金/ダム資金)」の組み合わせです。
資産形成や資産活用を目的とした投資の成否を分けるのは、特別な情報や才能ではなく、「仕組みを作って淡々と継続する力」です。
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横田 健一(よこた・けんいち)
ファイナンシャルプランナー
1976年生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院修士課程修了。マンチェスター・ビジネススクール経営学修士(MBA)。野村證券でデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後独立。情報サイト「資産形成ハンドブック」やYouTubeなどで情報発信しながら、個人の資産形成をサポート。CFP®、ウェルビーイング学会会員(ファイナンシャル・ウェルビーイング分科会所属)。「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」監修。著書に『新しいNISA かんたん最強のお金づくり』(河出書房新社)、『増やしながらしっかり使う 60歳からの賢い「お金の回し方」』(KADOKAWA)がある。
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(ファイナンシャルプランナー 横田 健一)

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