自民党派閥による裏金事件が起きた後も、「政治資金パーティー」は続いている。なぜなのか。
2025年の国会議員面会数160回超というロビイストの山本雄史さんの著作『ロビー活動とは何か』(平凡社新書)より、「政治とカネ」にまつわる箇所を紹介する――。(第2回)
■政治資金パーティーでは何が行われているのか
国会議員との接触を図るために有効な方法は、政治資金パーティーへの参加だろう。議員本人と握手することも可能だし、秘書やスタッフとの名刺交換も可能だ。応援している人の集まりだから、雰囲気もいい。来賓の挨拶には現職閣僚や党幹部もそろったりする。挨拶を聞けば、どういう人となりで、どういう系統の人脈を持っているのかもわかったりする。
そもそも、政治資金パーティーとは何なのか。「○○君を励ます会」「○○君と日本の未来を語る会」「○○政経セミナー」「○○モーニングセミナー」「○○朝食勉強会」「○○政経フォーラム」などの名称で、東京都内や地元の選挙区内のホテル・宴会場で行われているのが、政治資金パーティーである。
これらの名称の会合を、ホテル入口の案内掲示板などで目にしたことのある人もいるかもしれない。○○には議員名が入る。その際の名称は、基本的に「○○君」か呼び捨てだ。政界は「君」が大好きである。

都内で開催される場合、会場となるホテルは千代田区と港区に集中している。なお、最近は「パーティー」という言葉はほとんど使われない。
朝と昼は基本的に着席形式で、弁当やサンドイッチ等が提供されるパターンが多く、夜なら立食パーティー形式が主流だ。新型コロナ以降、立食形式が激減し、夜も着席のケースが目立っていたが、立食形式も復活しつつある。
■政治家にとっては貴重な資金源
政治資金パーティーは文字通り、政治資金を集めるための会合だ。政治資金規正法に規定されている正当な資金集めで、政治家の集金手段として合理的な仕組みとなっている。パーティー券の購入金額は1口2万円(税込み)がほとんどで、1万円の場合もある。案内状には必ず「この催しは、政治資金規正法第8条の2に規定する政治資金パーティーです」との文言が記載されている。
パーティー券購入者の公開基準額は20万円超。20万円を超えると政治資金収支報告書に名前が出るので、20万円までに収めている企業や個人も多い。政治資金規正法の改正で2027年1月から公開基準額が5万円超になるため、今後はパーティーが下火になっていく可能性もあるが、貴重な収入源としてもちろん続いていくだろう。なお、政治資金パーティーは企業でも個人でも、1回のパーティーにつき150万円が購入の上限だ。

政治資金パーティーは、献金とはやや位置づけが異なる。献金は「寄付金」に該当するが、政治資金パーティーへの参加は勘定項目では「接待交際費」となる。政治家や参加者との懇親を通じて、事業の促進を図るという名目で、税務上、堂々と損金算入対象の交際費として処理できるのが政治資金パーティーのメリットだ。
■本当に不正の温床なのか
かつては、パーティーに出席しないのにパーティー券を大量に購入している企業があったが、大企業を中心に出席する分だけ購入するパターンが増えている。これも、時代の流れである。
政治資金パーティーは目下、「不正」の温床であるかのように思われている。2023年、安倍派の議員らが派閥のパーティー券を販売した後、ノルマを超えた分のキックバック(還流)を受けていたことが明るみに出た。還流された分は、政治資金収支報告書には記載されていなかった。現職議員や会計責任者の立件にまで発展し、ほとんどの派閥は解散した。
筆者は、政治資金収支報告書にきちんと記載されれば政治資金パーティーは何ら問題はないと思っている。政治家を応援するために、むしろ積極的に購入していいと思っている。「政治資金」と聞いただけで怪しいと思われるようになったのは、自民党並びに同党国会議員らのせいであるが、それでは政治活動の自由に支障が出る。

■合法的であり、民主主義の根幹
ロビー活動を語る上で政治献金について知っておくのは基本だ。政治資金パーティーと同様に合法的な手段であり、自由に政治家を応援できるという意味で民主主義の根幹ともいえる。「巨額の献金の見返りに政治家が特定企業や特定業界のために政策をねじ曲げる」という指摘は昔からあるが、政策実現に力を尽くした政党や政治家を応援する自由は保障されてしかるべきだ。
また、尽力してくれた国会議員が政治資金パーティーを開催していない場合、政治献金を積極的に行うことを推奨したい。政治家を応援することで、政治家との付き合いが深まるし、会合やイベントにも出入りできるようになる。金額は多くなくてよい。数千円でいい。浄財を政治家にもたらす行為はもっと受け入れられるべきだ。
政治献金は、政治資金規正法で細かく定められている。まず、企業・団体は、政党、政党が定める政治資金管理団体、政党支部に献金することができる。資本金によって献金できる額は決まっており、以下はいくらまで献金できるのかを示した表である。
■自民党への献金額ランキング
2025年12月、献金の上限を超えてしまった事例が明らかになった。
資本金が1億円未満なのに、高市早苗首相が代表を務める政党支部に上限を超える1000万円を献金した企業があったのだ。支部側は返金したとのことだが、献金をめぐっては上限オーバーのケースは時々発生している。
総務省が公開した2024年分の政治資金収支報告書から、自民党の政治資金管理団体である「国民政治協会」への献金額の上位をみてみる。
自動車、電機、鉄鋼の業界団体が上位3位を占めているほか、トヨタ自動車と住友化学が金額面で抜きん出ていることがわかる。企業や団体が献金をしていることは、政治資金収支報告書で透明化されており、メディアも広く報じている。
これだけの巨額の献金が可能な企業はごく一部に過ぎない。それでも、献金は思った以上に広く行われている。この認識を持っておくのが大事だと思う。
■高市早苗氏への個人献金は1.4億円
政治資金規正法は、資金管理団体などが個人から受けられる寄付の上限を年間150万円と定めている。個人献金は5万円を超えると、政治資金収支報告書に氏名が出る。日本では、氏名が出ることに抵抗がある人の方が多いので、政治資金パーティーが盛況というのは納得できる。だから、ある野党の有力国会議員は、年間の献金額が5万円以内に収まるように会費を徴収している。

ただ、国民的な知名度や人気のある政治家であれば話は変わる。2024年分の政治資金収支報告書によると、高市氏は1億4017万円を個人献金で集めた。2021年の総裁選出馬後から、個人献金が急速に増えている。ただでさえ寄付文化が浸透していないとされる日本ではすさまじい金額といえる。高市氏の人気ぶりがうかがえる数字だ。
ロビー活動も、まずは気になる政治家を応援することから始まる。献金をすると、その政治家のイベント案内やニュースレターのようなものが届く。政治との距離を縮めるためには、応援という形で献金するというのが一番自然で手っ取り早い。
■小泉進次郎氏のド正論
企業・団体献金をめぐる議論では、小泉進次郎氏が鋭い指摘をしている。以下は2025年2月28日に行われた衆議院予算委員会集中審議における発言である。企業・団体と政治との関わりについて、深く考えさせられる内容だ。少し長いが引用する。

小泉氏「仮に企業・団体献金がなくなったら何が起こるかというと、自民党も立憲も国民も維新も、みんな税金丸抱えの政党政治になるわけです。それが果たして本当にいいのかに加えて、これは仮にですよ、野党の皆さんの企業・団体献金の禁止が通ると、政党交付金と個人献金の二本立ての政党政治の運営になるわけです。これがいいじゃないかと言われる方が野党の中でいるんですが、現実的に、本当に個人献金で今の企業・団体献金を補うほどのものが集まるかといえば、それは現実的なことではないと思います」

至極当然の指摘である。税金で賄われる政治活動がいいとは思えない。さらに小泉氏はこう続ける。
■議員の活動を「税金で賄う」でいいのか
小泉氏「なぜ我々は政治にお金が必要なのかというと、基本的には人件費と事務所費だと思いますよ。そして、我々与党の議員というのは、三人まで今税金で人件費を我々国会議員は見ていただいていますけれども、三人で政治活動をやっている人は少ないと思いますよ」(中略)
「仮に企業・団体献金をやめる、そして思ったほど個人献金は集まらない、どうなるかというと、日本の国会議員は、基本的に三人の秘書とスタッフで運営をする日本政治になるんですよ。私は、これで日本の政治の活力を高め、より国民の皆さんとの接点を持つという形になるとはどうしても思えません」
「ですので、企業・団体献金の禁止をどうするかという議論のときに、我々がなぜ公開が大事かと言っているかというと、どう考えても、企業・団体献金禁止というものと、日本政治や国民生活の向上が結びつかないんです」
「仮に、もしも今、手取りを上げなきゃいけないという議論をするんだったら、政党交付金という税金が原資になっているものの扱いをどうするかという方がむしろ筋ですよ。それで、企業・団体献金をやめろというのであれば、税金で四人目、五人目の秘書や人件費を賄うべきかどうかという議論がきっと禁止の先には出てくると思うんです。だけれども、今の御時世で、国民の皆さんの負担を下げようというときに、民主主義のコストを更なる税金で支えよう、そんな考えの方は私はいないと思いますね」(国会会議録検索システムより)

小泉氏が主張するように、税金丸抱えでいいのかどうか、地に足を付けて考えるべきだろう。

----------

山本 雄史(やまもと・たけし)

ロビイスト、一般社団法人日本金融経済研究所政策顧問

1978年、大阪府岸和田市出身。早稲田大学社会科学部卒業。産経新聞政治部記者、同社新規事業部門の管理職などを経て、2023年2月に政界ロビー活動専門会社「ヤマモト・ストラテジック・ソリューションズ合同会社(YSS)」を設立。大企業やスタートアップを中心に永田町・霞が関対策を指南、自治体セールスをサポート。法律改正や規制緩和を政府高官や与野党の有力議員を通じて実現している。『ロビー活動とは何か』が初の著書。

----------

(ロビイスト、一般社団法人日本金融経済研究所政策顧問 山本 雄史)
編集部おすすめ