■6歳からYouTube、9歳からインスタ生活
若者のソーシャルメディア依存を巡る訴訟で、米カリフォルニア州の地裁陪審団は3月25日、メタ(旧フェイスブック)とグーグルに非を認め、賠償金計600万ドル(約9億5000万円)の支払いを命じる評決を下した。
※ロイター「米メタとグーグルに損害賠償評決、未成年者SNS依存巡り責任認定」
訴訟を起こしたのは、米国の20歳の女性だ。女性は6歳でYouTubeを見始め、9歳でInstagramを使い始めた。利用規約では13歳以上対象という年齢制限があるが、対象外の年齢から使っていたことになる。
承認欲求が強い彼女は、特にInstagramにはまった。自らの投稿についた「いいね」を確認するためにトイレに駆け込む日々であり、1日最長16時間利用し、学業にも集中できなかったという。
女性は、自らの不安やうつ病、身体醜形障害などの原因がプラットフォームにあると考えた。10歳の頃から不安や抑うつ感を抱き始め、身体醜形障害にも陥っており、セラピストによって診断も受けている。
女性の弁護団は、無限スクロール、自動再生、通知、いいねなどの機能が、利用者に中毒性をもたらすように設計されていると主張。その結果、メタとグーグルはサービスの設計が危険と認識しながら十分な警告を行わなかったと裁定され、賠償請求を受けることとなったのだ。
■「インスタは悪影響」と自覚していた
2021年9月にウォール・ストリート・ジャーナルが公開した、フェイスブックの元従業員による「The Facebook Files」はこれを裏付けるものだ。
同社は、自社調査で「Instagramが10代のメンタルヘルスに悪影響である」と把握しながら隠していた。また、規約で禁止している13歳以下の子どもたちが利用していることを認識しながら、むしろその層の子ども達を積極的に獲得しようとしていたことも分かっている。
今回の訴訟では、責任の割合はメタが70%、グーグルが30%とされ、メタが420万ドル(約6億6780万円)、グーグルは180万ドル(約2億8620万円)の賠償金を支払うよう命じられた。この評決が、アメリカで2000人以上が起こしている同様の訴訟に影響を与える可能性は高い。なお、TikTokとSnapchatも被告に含まれていたが、裁判が始まる前に原告と和解している。
前日の24日には、米ニューメキシコ州でも、メタが性的に露骨なコンテンツ、勧誘、人身売買といった危険から子どもを保護しなかったとして、やはり同社に責任があるとする評決が出ている。
※ウォール・ストリート・ジャーナル「『メタが若者保護せず』と陪審評決、州の歴史的勝利」
■2歳児の2人に1人がネット利用者
この司法判断は、日本の子ども達も決して他人事ではない。
こども家庭庁の「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果」(令和8年2月)によると、子どものインターネット利用率は2歳で半数を超え、5歳で8割となる。スマホの利用開始が低年齢化しているだけでなく、中古のスマホや共用のタブレット、学校貸与端末などを自由に利用しているのだ。
0~9歳の低年齢の子どもの利用内容は、「動画視聴」(93.4%)、「ゲーム」(61.4%)、「勉強・習い事」(34.0%)。1日あたりの平均利用時間は約2時間18分だが、「4時間以上5時間未満」も7.5%、「5時間以上」も7.4%と、全体の15%は1日4時間以上利用している状態だ。
■「13歳以下はNG」のはずが…
年齢別のインターネット利用状況を見ると、SNSコミュニケーションは3歳で3.1%が利用しており、7歳で14.5%、9歳では34.4%、11歳で52.1%と半数を超える。
10歳以上の小学生や中高生に至っては、インターネットの1日の平均利用時間は5時間27分に上る。動画利用率は9割以上、SNS利用率は77.4%だ。当然、依存状態となっている子どもも多い。
■1日22時間スマホを触り続ける11歳
あるコミュニティで、「SNS依存集まれ」と呼びかける子どもがいた。瞬く間に小中学生が集まり、自分の好きなサービスや利用時間を自慢そうに語っている姿を見かけた。
ある14歳女子中学生は、「平均6時間、休日16時間ネットを使う。ピグパ(ピグパーティ)やオプチャ(LINEのオープンチャット)中心かな。どっちも共通の旦那(ネット彼氏)もいる」という。
11歳の女子小学生は、「アイビス(アイビスペイント。お絵かきアプリ)とYouTubeが好き。「1日最大22時間使っていたことがある。
不登校という13歳の女子中学生は、「今スマホで確認したら、平均17時間だったみたい。今週一番多い日が21時間かな。普段は朝の8時から夜の2時、3時くらいまで使ってるよ。ネット掲示板、チャット、Twitter、インスタ、ツイキャス、通話とかもする」という。
そういう話を聞くと、先述の平均時間である5時間強は短いように感じるが、そんなことはない。学校にいる時間と睡眠時間だけで合計16時間前後。食事や入浴の時間、身支度、通学、宿題などの時間などを引くと、起きて自宅にいる間はずっとネットに触れている状態と言っていいだろう。
WHOでゲーム障害が病理と認められたのは、2019年のことだ。SNS依存は正式には病理と認められているわけではないが、SNS依存としか言えない例も多い。
■授業支援ツールから動画を見る「抜け道」
ある保護者は、中学生である娘のネット依存に悩んでいる。
「娘がYouTubeやSNSにのめり込み、勉強をしなくなった。
スマホでのYouTubeを制限したこともあるが、こっそり授業支援ツールであるロイロノート・スクール経由で見ていたことが発覚し、激怒してしまったそうだ。
ある男子高生は、「スマホは相棒でありお守り、スマホがあれば何でもできるという気持ちになって安心する。スマホから離れたくても離れられない」という。YouTubeとTikTokにはまっており、休日は10時間を超える日もあるほどだ。勉強もできず睡眠時間も足りないため、学校で寝てしまう状態だ。
ある女子高生は、「ネットがないと生きていけないと思うくらい一日中使っている。悪いとわかっていてもついつい動画をスクロールする手が止まらなくなる」という。記憶力の低下やイライラ、視力の低下などがあり、正直やめたいけれどやめられないのだそうだ。
■SNSをめぐり暴言・暴力に走る子どもたち
国立病院機構久里浜医療センターの「ネット・ゲーム使用と生活習慣に関する実態調査」によると、過去1年間のYouTubeやXなどの利用状況について尋ねた結果、10代で男性7.1%、女性7.0%が「病的使用疑い」に該当した。
病的使用を疑われる人のうち、SNSなどの使用を巡り、「家族に暴言を吐いたり、暴力を振るったりした」(27%)、「家族から暴言を吐かれたり、暴力を受けたりした」(19%)、「30日以上学校を休んだ」(6%)、「6カ月以上続けて自宅に引きこもっていた」(5%)などとなった。
ただし前述の通り、SNS依存は正式な病理と認められているわけではない。
あくまで「疑い」のため、実際に問題がある人はそこまで多くないと考えられるが、問題ある児童生徒も混じっていることも間違いないだろう。
■未成年を守る仕組みもちゃんとある
友人関係が一番大切な年代の子ども達にとっては、SNSは友だちとつながれる大切なツールである一方、自己肯定感を下げたり、不安や孤独に陥ったり、うつ状態に陥ったりする原因にもなり得る。
アメリカでの評決を受けて、サービス側がさらに子どもを守れる仕組みを導入する可能性もあるが、多くの子ども達は既に利用しており、悠長に待ってはいられない。
Instagramの「ティーンアカウント」など、正しい年齢で登録すれば未成年を守る仕組みが機能するので、年齢を偽って登録させないことが大切だ。
また保護者は、子どもがSNSと適切な距離をとれるよう、ルールを設けたり利用時間制限機能などもうまく活用しながら、見守ってあげてほしい。困ったら必ず味方をするので相談するように伝えていただければ幸いだ。
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高橋 暁子(たかはし・あきこ)
成蹊大学特別客員教授
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、webメディアなどの記事の執筆、講演などを手掛ける。SNSや情報リテラシー、ICT教育などに詳しい。著書に『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』(講談社+α文庫)ほか多数。「あさイチ」「クローズアップ現代+」などテレビ出演多数。
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(成蹊大学特別客員教授 高橋 暁子)

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