毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか。
読書家が集まる本の要約サービス「flier(フライヤー)」で、7月にアクセス数の多かったベスト20冊を、同サービスの編集部が紹介する――。
第1位:『賢い人の質と速さを両立させる時短100式』(森田ゆき著、かんき出版)

第2位:『チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣』(林健太郎著、明日香出版社)

第3位:『戦略的暇』(森下彰大著、飛鳥新社)

第4位:『本を読む人はうまくいく』(長倉顕太著、すばる舎)

第5位:『プレイングマネジャーの「仕事の任せ方」大全』(加藤定一著、三笠書房)

第6位:『40代からの筋トレこそ人生を成功に導く』(Testosterone著、PHP研究所)

第7位:『先延ばしグセ、やめられました!』(中島美鈴著、大和書房)

第8位:『ローソン』(小川孔輔著、PHP研究所)

第9位:『幸運は、必ず朝に訪れる。』(枡野俊明著、PHP研究所)

第10位:『結局、どうしたら伝わるのか?』(西剛志著、アスコム)

第11位:『ChatGPT英語学習術』(山田優著、アルク)

第12位:『不安をしずめる心理学』(加藤諦三著、PHP研究所)

第13位:『40代がうまくいく人の戦略書』(藤井孝一著、三笠書房)

第14位:『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著、ダイヤモンド社)

第15位:『[新版]人生を変えるモーニングメソッド』(ハル・エルロッド著、鹿田昌美訳、大和書房)

第16位:『ドラッカーに学ぶ仕事学』(佐藤等著、致知出版社)

第17位:『チームワークの大原則』(辻秀一著、WAVE出版)

第18位:『組織と働き方の本質』(小笹芳央著、日本経済新聞出版)

第19位:『戦略的ほったらかし教育』(岩田かおり著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

第20位:『気くばりのススメ』(中山秀征著、すばる舎)
※本の要約サービス「flier」の有料会員を対象にした、2025年7月の閲覧数ランキング
■外資系企業仕込み「エグゼクティブの時間術」
第1位に輝いたのは『賢い人の質と速さを両立させる時短100式』でした。残業をしても仕事が終わらない、プライベートの時間が確保できない――そんな悪循環を断ち切るヒントが見つかる一冊です。
著者の森田ゆきさんは、外資系企業で20年以上役員秘書を務め、エグゼクティブの“時間術”を間近で学んできました。本書では、スケジュール管理から会議の進め方、情報整理やコミュニケーションまで、忙しい人ほど試す価値がある100の時短テクニックが紹介されています。
今日から取り入れたいのは、その日に使うファイルやツールは前もって立ち上げておくというテクニック。
デスクワーク中の集中を途切れさせる原因は、書類探しやアプリの更新待ちなど、意外と身近に潜んでいます。そこで、朝のうちにその日に使うファイルやツールをすべて立ち上げておくことで、作業の流れを止めないで済むようにしましょう。さらに、タスクが終わるたびにファイルやソフト、アプリをひとつずつ閉じていけば、“やり終えた”という達成感も得られます。
森田さんは「大切なものを優先できずに後悔することなく、本当にやりたいことを楽しみましょう」とメッセージを贈っています。単に時間を削るのではなく、余白を生み出して人生の質そのものを上げたい人におすすめです。

■チームが「バラバラのリーダ―」の失敗
第2位には『チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣』がランクイン。
著者の林健太郎さんは、アメリカでプロコーチとしての修行を積んだのち、日本を代表する大手企業や外資系企業などで2万人超のリーダーを支援してきた、チームビルディングの専門家。これまでの経験をもとに、本書では、成果を生む“まとまるリーダー”と、部下のやる気を削ぐ“バラバラのリーダー”の行動を対比形式で51項目紹介しています。
印象的な例の一つは、「チームがまとまるリーダーは部下への『聞く』を積み重ね、バラバラのリーダーは部下の事情を知ろうとしない」。前者は1on1や雑談を通じて部下の状況を把握し、小さな信頼を積み重ねますが、後者はタスクを一方的に渡してしまいがちです。
また「チームがまとまるリーダーは部下にキャリアビジョンを聞き、バラバラのリーダーは『昇進』をちらつかせる」という指摘も、思わずドキッとするリーダーが多いでしょう。相手の将来像を踏まえてタスクの意味を伝えることで、部下のモチベーションは長続きするのです。
現場の忙しさに追われるリーダーでも、すぐに試せる習慣が満載の本書。全員がいきいきと働きながら成果を出せるチームをつくりたいなら、ぜひ読んでほしい一冊です。
■デジタルデトックスで人生を豊かにする
第3位は、脳の疲れをリセットする処方箋ともいえる一冊『戦略的暇』です。
著者はデジタルデトックスの専門家・森下彰大さん。スマホやPCを介した断続的な情報が脳に与える影響を科学的に解説し、さらに“ぼんやりする時間”や趣味に没頭する時間を意図的につくることで、創造力や集中力を取り戻す方法を紹介しています。

森下さんが目指すべき社会として提案するのは、「満ち足りた余暇社会」。大切な人との時間や、自分が本当にやりたいことに没頭できる時間を増やすことで、人生はより豊かになると説きます。
そのための最初のステップが、デジタルデトックス。本書でいうデジタルデトックスとは、無理にスマホを断つことではなく、一定期間デジタル機器と距離を置き、現実世界のコミュニケーションや自然とのつながりを取り戻すことです。
気づけば一日中スマホを眺めていた自分にゾッとしたことがあるなら、ぜひ手に取ってみてください。戦略的に“暇”をつくることで、日常の質を大きく変えられるはずです。
■読書は100%以上のリターンが期待できる投資
続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。
第4位は『本を読む人はうまくいく』でした。「本を読まないとダメだと思いながら、気づけばスマホばかり」「読書で本当に人生は変わるのか?」――そんな疑問を抱いたことがある人にぴったりの一冊です。
著者の長倉顕太さんは、編集者として数々のベストセラーを手がけ、自著『移動する人はうまくいく』の大ヒットも記憶に新しい“本のプロ”。自身も一冊の本との出会いで人生を変え、海外でのキャリアやビジネスを切り拓いてきました。本書では、「本を読む人はうまくいく」理由を、具体的なエピソードを交えて解説しています。

長倉さんによると、膨大な時間と労力をかけて生み出される本を読むことは、100%以上のリターンが期待できる投資。本を読むことで、環境適応能力が高まり、社会関係資本が広がって、チャンスを引き寄せられると断言しています。
また、読書習慣を続けるための心構えや、大切な一冊に出会うための選書法なども紹介されています。プロ目線で選んだ推薦図書リストや、読書体質になるための22のアクションプランも提案されているので、読書モチベーションが大幅にアップすること間違いなしです。
■部下にうまく仕事を「任せる」方法
第5位にランクインしたのは、『プレイングマネジャーの「仕事の任せ方」大全』でした。
「結局、自分でやったほうが早い」「任せるとミスが増える」――そんな理由で仕事を抱え込み、疲弊していませんか? そんな人が本書を読めば、部下にうまく仕事を任せられるようになり、チームの生産性が何倍にも高まるでしょう。
著者の加藤定一さんは、人材育成のプロフェッショナル。フィリップ モリス ジャパンおよびその前身企業で約11年間にわたってさまざまな研修の開発・実施を担当したのち独立し、企業研修講師・組織コンサルタントとして活躍する人物です。本書では、任せるべき仕事を明確にする方法から、部下に適切に任せるための「戦略的業務指示書」の作り方、任せた後のフォローや評価面談のポイントまでを解説しています。
本書を読めば、任せることに対する不安が和らぎ、自分がいなくてもまわるチームづくりに近づけるはずです。「任せる=育てる」と捉え直すことで、部下の成長も自分の時間も同時に手に入れられて、マネジャーとしての思考と行動を着実にアップデートできるでしょう。
■筋トレを始めるのは40代からでも遅くない
「最近、体力の衰えを感じる」「自分に自信をつけたい」「仕事で期待した成果が出せない」――そんな人に手に取ってほしいのが、第6位の『40代からの筋トレこそ人生を成功に導く』です。

著者は、筋トレの魅力を発信し続けるTestosteroneさん。自身も筋トレで40kgの減量に成功し、人生を劇的に変えた経験を持ちます。
Testosteroneさんによれば、筋トレの効果は体型や体力の改善だけにとどまりません。ビジネスにも役立つ集中力や意思決定力が鍛えられ、ストレス耐性が高まり、正しい生活習慣が自然と身につく。さらに自己肯定感が育ち、挑戦を恐れないマインドセットも手に入る――まさに“最強の習慣”なのです。
また、筋トレは成果と成長が目に見えてわかるため、小さな成功体験が積み重なり、自信が生まれ、次の大きな挑戦への原動力になります。そうして前進を繰り返すことで、大きなチャレンジにも臆せず向かえるようになるとTestosteroneさんは語ります。
本書は、40代からの筋トレが心と体を蘇らせ、仕事も人生も劇的に変える理由を力強く示しています。40代からでも遅くない。むしろ、今だからこそ始める意味がある。そう背中を押してくれる一冊です。
今月も、時短テクニックから心理学、ChatGPTの活用法まで、幅広いジャンルの本がランクインしました。
また、先月第16位だった2023年4月刊の『頭のいい人が話す前に考えていること』が第14位と、依然として多くの方に読まれています。来月はどのような本が多く読まれるのか、引き続きチェックしてまいります。

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flier編集部
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(flier編集部)
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