[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/21794/90/21794-90-1e6b4e21fe1cb64a2460f842c69e68dc-1759x990.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
<写真:左)「峠の釜めし」の釜、 中)処理をした材料、 右)作成した内装用タイル>
埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市、学長:内山俊一、略称:埼工大、https://www.sit.ac.jp/)は、工学部生命環境化学科環境物質化学研究室、兼クリーンエネルギー技術開発センター長の本郷照久教授の研究チームが、陶器製の弁当容器から内装用タイル材を作製する技術を開発しました。
環境に優しい技術により、食後に残る釜めしの容器を資源として再利用することが可能になります。
本技術は、高温の熱処理や特殊な化学薬品などを使用する複雑な処理工程を必要とせず、環境に優しい技術を活用して、サーキュラー・エコノミー(循環経済)の時代に対応した環境負荷の低減に貢献します。
本郷照久教授の研究室は、「廃棄物問題」などに着目し、物質化学をベースとした研究・開発により、廃棄物の有効活用を目指した問題解決に取り組んでいます。廃棄物をゴミとして処分するのではなく、未利用の資源として活用する新規リサイクルシステムの開発により、SDGs時代に対応するサーキュラー・エコノミーに役立つ研究を推進しています。
本研究成果は、「使用済み陶器製弁当容器からのジオポリマータイルの作製」というタイトルで、環境資源工学会が発行する学術雑誌「環境資源工学」(2025年第72巻第1号)に掲載されました。
この研究では、全国的に知られる駅弁「峠の釜めし」の容器に着目し、再利用技術を開発しました。
JR信越線横川駅(群馬県)の峠の釜めしは、創業:明治18年の株式会社荻野屋(本社:群馬県安中市、社長:高見澤 志和)が、1958年2月1日、信越線横川駅で発売開始し、これまでに約1億8000万個発売している駅弁を代表する人気の商品です。峠の釜めし容器は益子焼の土釜で、長い列車の旅で疲れたお客が「温かい弁当を食べたい」という声から、陶器の器が採用されました。
○背景
近年、釜の回収が進められているものの、年間の回収率30%程度にとどまり、使用経路不明の釜は、回収後に粉砕処分されています(出典:荻野屋HP)。このため、使用済みの釜の新たな活用方法が求められていました。
タイルは建築材料として古くから利用されていますが、日本国内では良質な粘土資源が枯渇しつつあり、すでに閉山した鉱山も存在しているのが現状です。また、一般的なセラミックタイルは、焼成に900~1300℃の高温の処理が必要であり、製造過程における、エネルギー消費による環境負荷が、問題視されています。
このような背景のもと、本研究室では、釜のめしの釜の再利用と環境負荷の低減を両立する技術の開発に取り組みました。
○開発の概要
釜は成分分析により、石英(SiO2)とムライト(3Al2O3 ・ 2SiO2)の結晶粒子が焼き固まってできていることが分かりました。この釜を環境に優しいタイルとして再利用するために、メカノケミカル処理とジオポリマー化反応の技術を適用しました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/21794/90/21794-90-434d50ee62d983ae4d767c6840528c40-1606x904.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
<メカノケミカル処理に用いた装置>
メカノケミカル処理では、粉末状にした釜に機械的エネルギーを加え、結晶の一部を非晶質化しました。ジオポリマー化反応(geopolymerization)では、非晶質化した粉末にアルカリ活性剤を加え、60℃で反応を進めることで、内装用として十分な強度を持つタイル状の硬化体を作製しました。
この方法により、高温焼成を必要とせず、環境に優しいタイル製造が可能になりました。
得られたタイルの曲げ強さは、JIS A5209規格で規定されている屋内用タイルの要求を満たし、最大で48.3 N/mm²に達しました。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/21794/90/21794-90-f36cb0a11e88cd9da58f32d8e0b6ed0f-642x123.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
開発の処理プロセス
○今後の展開
今回開発した技術は、シリカ(SiO2)やアルミナ(Al2O3)を含む様々な材料に応用可能です。例えば、廃棄される陶器類、耐火レンガ、瓦などにも広く適用ができる可能性があります。また、この技術はさまざまな形態に固化できるため、タイルだけでなく、レンガ状の建材、ブロック、パネルなど多様な製品の製造にも応用が期待されます。
本研究室では、今後、これらの廃棄物の再利用技術の開発と、製品バリエーションの開発を目指して、さらなる研究を推進していきます。
○参考情報
・メカノケミカル処理(Mechanochemical treatment)
メカノケミカル処理とは、粉体材料に機械的エネルギーを加えることで化学変化や構造変化を誘発する処理方法です。本研究では、釜の粉砕時に機械的エネルギーを加え、結晶の一部を非晶質化することで、後の化学反応を促進しました。
・ジオポリマー化反応(Geopolymerization)
ジオポリマー化反応とは、アルカリ活性剤を用いて非晶質のアルミノケイ酸塩材料を硬化させる化学反応です。本技術では、使用済みの釜を粉砕・処理した粉末にアルカリ活性剤を加え、60℃で反応を進行させることで、タイル状の硬化体を作製しました。ジオポリマーは高温焼成を必要とせず、製造時のCO2排出を抑えられることから、環境負荷の低減に貢献する技術として注目されています。
○会社概要
名称:株式会社荻野屋
創業:明治18年10月15日
代表:高見澤 志和
本社:〒379-0301 群馬県安中市松井田町横川399
HP: https://www.oginoya.co.jp/
陶器の容器について https://www.oginoya.co.jp/tougenokamameshi/kodawari/
参考情報
○埼玉工業大学 工学部生命環境化学科 環境物質化学研究室
https://hongolab.wordpress.com/
○埼玉工業大学 クリーンエネルギー技術開発センター
https://www.sit.ac.jp/clean_energy/企業プレスリリース詳細へ : https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000021794.htmlPR TIMESトップへ : https://prtimes.jp
<写真:左)「峠の釜めし」の釜、 中)処理をした材料、 右)作成した内装用タイル>
埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市、学長:内山俊一、略称:埼工大、https://www.sit.ac.jp/)は、工学部生命環境化学科環境物質化学研究室、兼クリーンエネルギー技術開発センター長の本郷照久教授の研究チームが、陶器製の弁当容器から内装用タイル材を作製する技術を開発しました。
環境に優しい技術により、食後に残る釜めしの容器を資源として再利用することが可能になります。
本技術は、高温の熱処理や特殊な化学薬品などを使用する複雑な処理工程を必要とせず、環境に優しい技術を活用して、サーキュラー・エコノミー(循環経済)の時代に対応した環境負荷の低減に貢献します。
本郷照久教授の研究室は、「廃棄物問題」などに着目し、物質化学をベースとした研究・開発により、廃棄物の有効活用を目指した問題解決に取り組んでいます。廃棄物をゴミとして処分するのではなく、未利用の資源として活用する新規リサイクルシステムの開発により、SDGs時代に対応するサーキュラー・エコノミーに役立つ研究を推進しています。
本研究成果は、「使用済み陶器製弁当容器からのジオポリマータイルの作製」というタイトルで、環境資源工学会が発行する学術雑誌「環境資源工学」(2025年第72巻第1号)に掲載されました。
この研究では、全国的に知られる駅弁「峠の釜めし」の容器に着目し、再利用技術を開発しました。
JR信越線横川駅(群馬県)の峠の釜めしは、創業:明治18年の株式会社荻野屋(本社:群馬県安中市、社長:高見澤 志和)が、1958年2月1日、信越線横川駅で発売開始し、これまでに約1億8000万個発売している駅弁を代表する人気の商品です。峠の釜めし容器は益子焼の土釜で、長い列車の旅で疲れたお客が「温かい弁当を食べたい」という声から、陶器の器が採用されました。
○背景
近年、釜の回収が進められているものの、年間の回収率30%程度にとどまり、使用経路不明の釜は、回収後に粉砕処分されています(出典:荻野屋HP)。このため、使用済みの釜の新たな活用方法が求められていました。
タイルは建築材料として古くから利用されていますが、日本国内では良質な粘土資源が枯渇しつつあり、すでに閉山した鉱山も存在しているのが現状です。また、一般的なセラミックタイルは、焼成に900~1300℃の高温の処理が必要であり、製造過程における、エネルギー消費による環境負荷が、問題視されています。
このような背景のもと、本研究室では、釜のめしの釜の再利用と環境負荷の低減を両立する技術の開発に取り組みました。
○開発の概要
釜は成分分析により、石英(SiO2)とムライト(3Al2O3 ・ 2SiO2)の結晶粒子が焼き固まってできていることが分かりました。この釜を環境に優しいタイルとして再利用するために、メカノケミカル処理とジオポリマー化反応の技術を適用しました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/21794/90/21794-90-434d50ee62d983ae4d767c6840528c40-1606x904.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
<メカノケミカル処理に用いた装置>
メカノケミカル処理では、粉末状にした釜に機械的エネルギーを加え、結晶の一部を非晶質化しました。ジオポリマー化反応(geopolymerization)では、非晶質化した粉末にアルカリ活性剤を加え、60℃で反応を進めることで、内装用として十分な強度を持つタイル状の硬化体を作製しました。
この方法により、高温焼成を必要とせず、環境に優しいタイル製造が可能になりました。
得られたタイルの曲げ強さは、JIS A5209規格で規定されている屋内用タイルの要求を満たし、最大で48.3 N/mm²に達しました。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/21794/90/21794-90-f36cb0a11e88cd9da58f32d8e0b6ed0f-642x123.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
開発の処理プロセス
○今後の展開
今回開発した技術は、シリカ(SiO2)やアルミナ(Al2O3)を含む様々な材料に応用可能です。例えば、廃棄される陶器類、耐火レンガ、瓦などにも広く適用ができる可能性があります。また、この技術はさまざまな形態に固化できるため、タイルだけでなく、レンガ状の建材、ブロック、パネルなど多様な製品の製造にも応用が期待されます。
本研究室では、今後、これらの廃棄物の再利用技術の開発と、製品バリエーションの開発を目指して、さらなる研究を推進していきます。
○参考情報
・メカノケミカル処理(Mechanochemical treatment)
メカノケミカル処理とは、粉体材料に機械的エネルギーを加えることで化学変化や構造変化を誘発する処理方法です。本研究では、釜の粉砕時に機械的エネルギーを加え、結晶の一部を非晶質化することで、後の化学反応を促進しました。
・ジオポリマー化反応(Geopolymerization)
ジオポリマー化反応とは、アルカリ活性剤を用いて非晶質のアルミノケイ酸塩材料を硬化させる化学反応です。本技術では、使用済みの釜を粉砕・処理した粉末にアルカリ活性剤を加え、60℃で反応を進行させることで、タイル状の硬化体を作製しました。ジオポリマーは高温焼成を必要とせず、製造時のCO2排出を抑えられることから、環境負荷の低減に貢献する技術として注目されています。
○会社概要
名称:株式会社荻野屋
創業:明治18年10月15日
代表:高見澤 志和
本社:〒379-0301 群馬県安中市松井田町横川399
HP: https://www.oginoya.co.jp/
陶器の容器について https://www.oginoya.co.jp/tougenokamameshi/kodawari/
参考情報
○埼玉工業大学 工学部生命環境化学科 環境物質化学研究室
https://hongolab.wordpress.com/
○埼玉工業大学 クリーンエネルギー技術開発センター
https://www.sit.ac.jp/clean_energy/企業プレスリリース詳細へ : https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000021794.htmlPR TIMESトップへ : https://prtimes.jp
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