日機装株式会社(東京都渋谷区、以下「日機装」)は、低・中所得国への医薬品供給を支援する国際機関Unitaid(スイス・ジュネーブ、以下「ユニットエイド」)が主導する地域医療支援プロジェクトにおいて、医療用酸素製造プラントを受注しました。東アフリカのケニアとタンザニアに計4基(3施設)設置します。
医療用酸素は手術、救急医療、重症患者ケア、さらには重度の呼吸器疾患などの治療に不可欠ですが、サハラ以南のアフリカでは深刻な不足が課題となっている地域があります。このプロジェクトは、東アフリカ地域の医療用酸素の製造能力を向上し、価格を引き下げることで、より多くの人たちが適切な治療を受けられることを目指します。このプロジェクトに対して、日本政府が支援を表明し、730万米ドル(10億円:令和5年度補正予算額)を拠出しています。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/17014/99/17014-99-dcb6c95714915746088957968e06fd0a-1241x471.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【深冷式空気分離装置(ASU)の一部】

■プロジェクトについて
世界保健機関(WHO)傘下のユニットエイドは、低・中所得国の人々に先進の医療製品を手に届く価格で提供することで、人々の命を守っています。コロナ禍で治療に必要な医療用酸素が世界各地で不足したことを受け、医療用酸素へのアクセス向上を重要テーマの一つに掲げています。

ユニットエイドが主導するプロジェクト「East African Program on Oxygen Access (EAPOA)」は、東アフリカにおける医療用酸素の生産量を300%(60トン/日)まで拡大し、価格を27%まで引き下げることで、毎月数千人の患者が新たに治療を受けられることを目的としています。
日本政府も支援に乗り出しており、2024年2月、当時の岸田文雄首相は日・ケニア首脳会談において、東アフリカ向け医療用酸素の製造能力強化支援を表明。同年3月、日本政府が同プロジェクトに対して730万米ドルを拠出することを、ユニットエイドが発表しました

本件の競争入札には、中小規模の液体酸素製造プラントのEPCを得意とする、日機装の連結子会社グループであるClean Energy & Industrial Gasesグループ (本社:米カリフォルニア州 テメキュラ、以下「CE&IGグループ」)が参加し、選定されました。数十年来の経験があるCE&IGグループは、コロナ禍において主にインド市場で医療用酸素製造プラントを多く受注し、さらに実績を伸ばしています。
■設置するプラントについて
設置するプラントは、気体の沸点の違いを利用して純度の高い液化ガスを製造する深冷式空気分離装置(ASU)です。ASUによって高純度に製造された液化酸素は大型タンクに貯蔵し、必要に応じて気化して医療機関に供給されます。
液化酸素は気体に比べて、タンクに大量に保存できるため、継続的でタイムリーな供給がしやすい利点があります。また、一度タンクに貯蔵しておけば、気化する際に電力は不要なため、電力供給が不安定な国々でも適しています。

とりわけ、CE&IGグループのASUは、工場で機器のほとんどを組み立ててパッケージ化し、少数のコンテナで運搬して、現地でつなげるモジュール方式を特長としています。このため、離島や低・中所得国でも導入しやすい強みがあります。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/17014/99/17014-99-ae41df1b3d5134f11b8dfe7dd1368965-1057x889.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
参考:CE&IGグループがジャマイカで手掛けたASU

設置地は、ケニアのモンバサとナイロビ、タンザニアのダルエスサラームです。完成後は、地元の酸素メーカーが管理・運営することで、現地企業が主体的かつ持続的に酸素を製造しつづけられるような市場環境の形成を図ります。ユニットエイドによると、このプロジェクトは今後10年間で、ケニアとタンザニアの二か国だけでも最大154,000人の命を救う可能性を秘めています。

今年3月には、ダルエスサラームで新施設の起工式が開かれ、タンザニアのカシム・マジャリワ・マジャリワ首相は「地域での酸素生産の拡大は、命を救うこの資源を必要とするすべての患者に確実に届けるための重要な一歩です。この投資により、増加する需要に対応する能力が高まり、酸素供給の自立性が強化され、外部の供給源への依存が軽減されます。今こそ、地域内で長期的な供給体制を築くことが不可欠です」と述べました。

また、このプラントを拠点に、マラウイ、モザンビークなど近隣諸国にも医療用酸素を供給して、東・南部アフリカ地域全体の医療用酸素のアクセス環境改善につなげます。これにより、コロナ禍から得た教訓を踏まえ、将来の医療危機に対する地域全体の備えと対応力を強化することが期待されます。

■日機装 加藤 孝一 代表取締役 社長執行役員のコメント
東アフリカにおける深刻な医療用酸素の不足に対応する、この画期的な取り組みにおいて、ユニットエイドや現地の事業者の皆さまと連携できることを光栄に思います。日機装は長年、透析装置などの医療機器の世界展開によって、グローバルヘルスの改善という課題に取り組んできました。今回、医療用酸素製造プラントという新たなアプローチで、この重要な課題に取り組むことができることを誇りに思い、その役目を果たしていきたいと考えております。
■ユニットエイド フィリップ・デュヌトン 事務局長のコメント
先進的な液化酸素の製造装置を管理・運営できるように、地元の製造業者を支援することで、地域の差し迫った医療ニーズに対応するだけでなく、将来的には外部からの支援がなくとも需要を満たすことができるような、持続可能な市場を現地に作り出しています。ケニア、タンザニア両政府や日機装のようなパートナー、そしてケニアとタンザニアの事業者のリーダーシップとともに、私たちは人々の命を救い、地域経済を強固にし、そして国境を越えて取り組むべき健康課題への革新的な先例を提示するような、長期目線の解決策を構築しています。

医療用酸素について(ユニットエイド資料「Issue Brief: Medical Oxygen」に基づく)
医療用酸素は命を救う医薬品であり、他のもので代用することはできません。手術、救急医療、重症患者ケア、さらには新型コロナウイルス感染症や肺炎といった重度の呼吸器疾患の治療にはなくてはならないものです。また、合併症のある妊婦、呼吸困難の新生児、そして重症マラリア、進行したHIV感染症、結核など、命に係わる症状を抱える人々の治療にも欠かせません。

新型コロナウイルスの影響で、2021年に入ると、必要とされる医療用酸素の量はわずか数週間で10倍に膨れ上がりました。多くの病院が医療用酸素を使い果たし、患者は治療を受けることができませんでした。そのため、救えたはずの数え切れない命が失われました。

重要な医薬品であるにも関わらず、医療用酸素は最も必要とされている場所で、往々にして入手できません。
深刻な医療用酸素の不足は数十年来の課題です。酸素を途切れることなく、いつでも使える医療施設の数は、多くの低・中所得国では半分以下です。医療インフラの未整備や酸素設備の不足、法外に高い価格などが障壁となって、医療用酸素が手に届きにくいものとなっているのです。

<日機装 会社概要>
会社名:   日機装株式会社
本社所在地: 東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号恵比寿ガーデンプレイスタワー22階
創業:    1953年12月26日
代表者:   代表取締役 社長執行役員 加藤 孝一
事業内容:  産業用特殊ポンプ・システム、医療機器、航空機部品等の製造・販売
URL:    https://www.nikkiso.co.jp/企業プレスリリース詳細へ : https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000099.000017014.htmlPR TIMESトップへ : https://prtimes.jp
編集部おすすめ